井島鍼灸院ブログ

2012.12.03更新

東洋医学研究所®HPの中で迫井豪先生の書かれたコラムを紹介させて頂きます。


東洋医学研究所®グループ 
すずらん鍼灸院 院長 迫井 豪先生


はじめに
日本に禁煙の波が押し寄せて久しいです。

職場では完全禁煙とか、家でも吸えなかったり、新幹線が禁煙になったり...。しかし、たばこをやめる本当の理由は、外からの押し付けではなく自分自身の中にあるはずです。

たばこは、肺がんをはじめとして喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、膵がんなど多くのがんや、虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、歯周病など多くの疾患、低出生体重児や流産、早産など妊娠に関連した異常の危険因子です。

喫煙者の多くは、たばこの害を十分に認識しないまま、未成年のうちに喫煙を開始しますが、未成年期に喫煙を開始した人では、成人になってから喫煙を開始した人に比べて、これらの疾患の危険性が大きいです。

さらに、喫煙する本人だけではなく、喫煙者の人のたばこ煙による周囲の受動喫煙も、肺がんや虚血性心疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などの危険因子になります。

また、たばこに含まれるニコチンには依存性があり、自分の意志だけでは、やめたくてもやめられないことが多いです。しかし、禁煙に成功すれば、喫煙を継続した場合に比べて、これらの疾患の危険性は減少します。

ニコチン依存症
ニコチンは、喫煙による依存を生じる主な原因です。

ニコチンは中枢神経系のうちドパミンを介する脳内報酬系に作用し、とくにノルアドレナリン、セロトニン、ドパミン、アセチルコリン、γ-アミノ酪酸、グルタミン酸塩など脳内神経伝達物質の分泌がニコチン摂取で増加することや、モノアミンオキシダーゼBの活性に影響を与えるとされています。

ニコチンは、口腔内粘膜や皮膚からも極めて吸収の良い物質で、煙を吸い込んで数秒以内に脳血管障壁を通過して脳細胞に到達します。

定期的にニコチン摂取を繰り返すと、ある時期以降、脳細胞は喫煙してニコチンを吸収することでようやく以前と同レベルの活動を維持するようになります。これが「ニコチン中毒」「ニコチン依存症」と呼ばれている状態です。

ニコチンは吸収が速く、体内から消失するのも速いため、常習喫煙者では喫煙後30分程度でニコチン切れ症状を生じ「次の1本」の願望を生じるようになります。

ニコチン依存を有する喫煙者はニコチンの血中濃度をたばこを吸う頻度と深さで調節し、最適なニコチン血中濃度による精神的効果を得るとともに、ニコチン離脱症状を避けています。

つまり、喫煙者がいう「たばこによるストレスの解消」の、ストレス自体がたばこを吸わない人が感じないストレスであり、たばこそのものこそがストレスの原因なのです。まさしく、「麻薬をやるのは麻薬が切れることによるストレスの解消」とおなじです。

ニコチン依存症は、(1)周りからの影響をうけて喫煙を開始する(2)ニコチンのドパミン系への直接影響によって喫煙を続ける(3)離脱症状軽減のために喫煙を続けざるを得ないの3段階を経て喫煙開始後数年で形成されると考えられています。

成人では喫煙後5年から10年でこうした状況が形成され、その結果、喫煙者はほぼ毎日喫煙するようになります。

未成年に対しての調査では、喫煙開始後急激にニコチン依存が形成される場合が多く、必ずしもこの3段階の順番どおりとはいえないと考えられています。

禁煙に失敗した人の経験とその回数
過去に禁煙に挑戦したという喫煙者は意外と多いです。製薬会社ファイザーの調査によると喫煙者の7割弱は過去に禁煙に挑戦している(失敗している)ということが分かりました。その数では、禁煙した回数が1回の人は25.8%、2回が31.0%、3回が20.3%、5回以上も20.8%という結果になりました。

1回なら分かりますが、5回以上もという人がこれほど多いのは驚きです。

禁煙に挑戦した人の理由
・自分自身の健康が気になって・・・55.5%
・タバコによる汚れや臭いが気になったから・・・27.5%
・タバコ代を工面しにくくなったから・・・27.2%

いつもたばこを吸っていた場面、他人の喫煙シーン、困難に遭遇したときなど、たばこに対する欲求が高まり、喫煙で良いことがあった(と思い込む)体験の積み重ねが、たばこに対する心理的な依存を強化します。

心理的依存は経験や記憶によるところが大きく、喫煙年数が長いほど強固です。

この心理的依存によって一旦禁煙したものの、さまざまなストレスの場面において容易に喫煙が再開されてしまいます。

おわりに
禁煙の第一歩はニコチン依存症という病気を理解することから始まるのではないでしょうか?

たばこは嗜好品だという勘違いを続けていると、たばこをやめてもどこか何かを犠牲にしたような気になってしまい、せっかくの禁煙も失敗してしまうかもしれません。

引用・参考文献
○ 厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/
○ 日本循環器学会 禁煙推進委員会 ホームページ http://www.j-circ.or.jp/kinen/index.htm
○ 健康オールダイジェスト http://www.alldigest.net/health/

 
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投稿者: 井島鍼灸院

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