井島鍼灸院ブログ

2016.10.01更新

 東洋医学研究所のホームページでは、東洋医学研究所グループの先生方が順番にコラムを担当して頂いています。
  今回は、「第34回(公社)生体制御学会学術大会 市民公開講座」と題して東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院の皆川宗徳先生のお話を紹介させて頂きます。


 

第34回(公社)生体制御学会学術大会
        市民公開講座


東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院
          院長 皆川宗徳
 

 第34回(公社)生体制御学会学術集会が平成28年8月28日(日)に名古屋市立大学医学部さくら講堂において開催されました。台風10号の影響が心配でしたが天候に恵まれました。
今回、市民公開講座として、愛知医科大学学際的痛みセンター教授の牛田享宏先生に「なぜ『長引く痛み』がおこるのか?」、元名古屋市立大学長NPO法人健康な脳づくり理事長の西野仁雄先生に「脳を活性化し認知症を予防しよう」と題してご講演頂きました。
 
 牛田享宏先生は、愛知医科大学学際的痛みセンターを研究拠点として、厚生労働省の痛みに関する班会議の班長を歴任され、現在、慢性痛の診療・教育のシステム構築に関する研究班と子宮頸がんワクチン薬害研究班の班長という疼痛に関する主要な研究において、日本の中心的メンバーであります。

 講演の中で、「慢性痛は、急性痛を治療したあとも3~6か月以上も痛みが続き、日常生活に支障を来たす。痛みに対する不安や恐怖を感じ、不安や恐怖が長く続くと脳が痛みに対して過敏になってしまい、痛みの悪循環が生じる。」と話され、その対処法として運動療法の紹介がありました。運動には痛みを直接和らげるエンドルフィンというホルモンを分泌する効果があると
いうことで、外から与えられるモルヒネとは違い、脳内で分泌されるので副作用はないというお話がありました。

 また、プラシーボ効果の説明があり、偽の鎮痛剤(偽薬)を投与するだけで、最高8mgのモルヒネと同等の効果があったとの報告に驚きました。慢性痛患者の精神的な情動に与える部分がいかに大きいかを改めて認識いたしました。

 西野仁雄先生は、脳生理学を専門分野とされ、脳生理学の教育・研究の経験を生かして、脳のすばらしさ、柔軟性等を理解する手助けとなるように、地域や学校やいろいろな集会に出前授業に出かけられる一方で、4年前にN P O法人「健康な脳づくり」を立ち上げ、いかに脳を活性化して認知症を予防するかの研究を行っています。

 軽度認知障害、認知症では、アミロイドベーター(Aβ)やタウ蛋白といった異常物質が脳に蓄積し、脳神経のネットワークに障害が起き、やがて脳神経そのものの構造に変異が起きること、また、何の症状も出ていない時期から、すでに原因物質が脳内で蓄積し始めていることが分かっているというデーターを示して頂きました。一見正常な健康人の脳のなかで、すでに病的な変化が起こり始めていること、つまり、四十代、五十代の脳の中で、すでに原因物質の蓄積が始まっている可能性があるというお話しがありました。

 大脳の運動野と感覚野は、口と手の領域が広いということから、手と口を動かすことによって脳を活性化し、認知症を予防する予防医学の重要性を話されました。特に、日常生活で感謝の気持ちを持つことが脳を一番活性化すると強調され、感慨深きものがありました。

 牛田享宏先生、西野仁雄先生の講演を拝聴し、物事の捉え方、考え方、行い方がいかに大事かを痛感し、感性・感覚を養うことが重要であることがわかりました。

 今後、黒野保三先生からご指導頂いた中で「科学は先人の業績を紐解くことによって発展する」を肝に銘じて進んでまいりたいと思います。

 黒野保三先生の研究業績は、鍼に関する原著論文が50編あります。もう一度、読み直して研究に関する感性を養って行きたいと思います。

投稿者: 井島鍼灸院

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