井島鍼灸院ブログ

2013.10.25更新

東洋医学研究所®グループの甲田久士先生の書かれたコラムを紹介させて頂きます。

痛みは生体のホメオスターシス(恒常性)をくずす

東洋医学研究所グループ二葉はり治療院
                   院長 甲田久士 先生



はじめに
「痛み」という言葉は、一般的に、また診療の場でよく使われますが、その本体となると、よくわかっていません。痛みは体からの警告信号ですが、早期に治療を受けないと慢性的な痛みに変わり、自律神経系にも影響を及ぼします。今回は「痛みは生体のホメオスターシス(恒常性)をくずす」について考えます。

痛みとは何か
 苦痛をともなう感覚の一種であることは誰でもわかっているのですが、その本体や機序(しくみ)となると、ごく一部しか解明されていません。痛みは苦痛ですし、不快なものです。不快なものはストレスとして働きます。痛みが持続すると、自律神経やホルモンの調節を行う視床下部を介して、身体のホメオスターシス(生体がさまざまな環境の変化に対応して、内部状態を一定に保って生存を維持する現象-恒常性)が失われ、心身の障害の悪循環が形成されてきます。痛みストレスは交感神経活動を介し心臓・血管に障害をもたらす急性の痛み刺激は、末梢神経のAδ神経を刺激し、その刺激は神経を伝わり、脊髄内に入り交感神経ニューロンを興奮させ、血管運動神経のインパルスとなり血管を収縮させます。これは一種の反射です。血管が収縮すると血圧は上がります。血圧が上がれば心臓の仕事量は増えて、心臓の負担になります。痛みストレスは交感神経活動を介し皮膚の血流を低下させる痛みによって交感神経系の興奮がおこり、全身の血管に作用することはよく知られています。
 この痛みが持続する慢性痛では、この交感神経活動も持続して、末梢の血流が低下します。血流の低下がもたらす身体の代表的な反応として皮膚温度の低下があり、これによって皮膚は少し湿潤します。また、交感神経の興奮は汗の分泌をうながしますので、皮膚が湿っぽく冷たくなります。体の一部でこのような状態が続くと、皮膚は栄養が悪くなり、次第に皮膚は薄くなり、外からは薄く光って見えるようになります。
 痛みストレスは交感神経を介し、筋肉の硬直をもたらす交感神経の緊張によって、乳酸などが貯まると、筋肉を過剰に刺激し、筋肉は異常に収縮します。首・肩のこりや腰痛など、また、手や足のこりも、こうして起こることが多いのです。血管を拡張して血流を改善させることで、多くの場合このような症状はなくなります。痛み刺激によってこのように筋肉の過剰な収縮が生じ硬直が起こると、今度はその刺激が交感神経を刺激して、ここにも悪循環が生じます。痛みストレスはうつ病のもとになる痛みの刺激は不快な情動をともないますが、不快な状態が持続すると、大脳辺縁系から大脳全体にその刺激が伝わり、うつ症状の原因になります。うつの原因には種々のストレスがありますが、そのなかで慢性の痛みによるストレスが、大きな原因の1つになっていることが多く見られます。また、不安やストレスで筋緊張が高まり、その結果、慢性の痛みを生じ、交感神経過緊張を招くことになります。

おわりに
 肩こりや首の痛みとこりなどの原因に、ストレスからくる交感神経緊張があり、そのストレスの原因が慢性の痛みになることが、しばしば見られます。逆にストレスが交感神経過活動を引き起こし、それが筋肉の硬直をもたらし、それによって生じた慢性の痛みがストレスとなって、交感神経緊張をもたらす悪循環を形成します。それぞれが助長し合うことになります。したがって、その悪循環をどこかで早期に断ち切る必要があります。鍼治療は鎮痛効果があり、その鎮痛効果が自律神経系、免疫系、内分泌系にフィードバックされ、生体のホメオスターシス(恒常性)の歪みを元に戻そうとします。
 東洋医学研究所所長黒野保三先生は各種疼痛疾患について鍼治療と超音波の併用治療で約92%の有効率を報告されています。鍼治療は副作用もありません。黒野保三先生の治療方法は神経生理学・解剖学の基礎実験から実証医学的に証明された裏付けのある治療方法です。痛みを感じたら我慢せずに鍼治療をお勧めします。

投稿者: 井島鍼灸院

2013.10.02更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回けんこう新聞を発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成25年10月1日に発刊された第28刊けんこう新聞から、「風邪の治療」です。

鍼治療が風邪を治したり、風邪を予防できるでしょうか?

この疑問については、東洋医学研究所黒野保三所長が1978年から注目し、10年間研究され(社)全日本鍼灸学会等に基礎研究として6回学会発表して文献にされました。

今回はこの基礎研究を基に、実際に患者さんは風邪に対してどのようになったかというアンケート結果をお示ししたいと思います。

調査対象は2003年5月16日~同年8月16日及び2004年9月10日~同年10月16日の期間に東洋医学研究所グループの12施設に来院された患者のうちアンケート調査に協力いただいた81名(男性90名、女性191名、年齢14~91歳、平均年齢60±16歳)としました。

その中には記入漏れなどがあった31名と調査を行う前の1年に全く風邪をひかなかった27名を対象からはずして、223名の患者で検討しました。

アンケート項目の内容としては①鍼治療前の1年の風邪罹患回数、②鍼治療後の風邪罹患回数の変化、③鍼治療来院期間について調査させていただきました。

この結果、結論から言いますと、3つの項目から半年以上鍼灸治療を続けると半数以上の方が風邪がひきにくくなったと実感しております。

詳細を述べますと、鍼灸治療で風邪がひきにくくなったと回答した割合は、半年未満で17%、半年以上で50%、3年以上で60%、5年以上で82%でありました。

この結果は明らかに、風邪に鍼治療の効果があったことを示しており、その効果を最大限に引き出す基礎研究が必要なこともわかりました。

さらに鍼治療は治療だけではなく予防として利用でき、日頃の健康管理の一助になりえることも示してくれました。

投稿者: 井島鍼灸院

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