井島鍼灸院ブログ

2016.10.24更新

東洋医学研究所のホームページでは、平成27年3月より、東洋医学研究所グループの山田篤先生に糖尿病通信を担当して頂いています。

今回は、「糖尿病通信2 ‐糖尿病の診断‐」を紹介させて頂きます。



糖尿病通信2 ‐糖尿病の診断‐


 糖尿病とは簡単に言いますと、「血液中に必要以上に余った糖(高血糖)が、長い間かけてじわじわと身体中をおかしくする」とう疾病です。その糖尿病だと判定し診断されるには、「高血糖が慢性に持続している状態」を証明することが必要です。

まずは判定基準
以下①~④のいずれかが確認された場合「糖尿病型」と判定されます。
①早朝空腹時血糖値126mg/dL以上。
②75gブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値が200mg/dL以上。
③随時血糖値が200mg/dL以上。
④HbA1c が6.5%以上。

 この時点では判定されただけで、まだ診断されていません。何故でしょう?
 それは、その日1回のみの検査なので、最初に書いた通り「高血糖が慢性に持続している状
態」を証明できないからです。
 ただし、再検査で糖尿病と確認されなくても「糖尿病の疑い」は晴れないので、継続的に経過を追うことを勧められます。
確定診断のためには、後日改めて検査して、初回検査と再検査で「糖尿病型」が再確認できれば「糖尿病」と診断されます。


また、以下のように初回検査のみで「高血糖が慢性に持続している状態」を証明できれば「糖尿病」と診断できます。

・血糖値とHbA1cを同時測定し、共に「糖尿病型」であること。
・「糖尿病型」+口渇、多飲、多尿、体重減少などの糖尿病の典型的な症状があること。
・「糖尿病型」+確実な糖尿病網膜症があること。

判定基準に「糖尿病型」があれば「正常型」もあります。「正常型」の判定基準は以下の通りです。
⑤早朝空腹時血糖値110mg/dL未満。
⑥75gOGTT2時間値140mg/dL未満。
ところで、上記の判定基準をよく見てみると「糖尿病型」「正常型」いずれも属さない領域があります。この場合は「境界型」と判定されます。
「境界型」だから糖尿病ではないと思って安心という訳にはいきません。何故ならば以下のような特徴がわかっています。
・「糖尿病型」に移行しやすい。
・動脈硬化性疾患になりやすい。

 検査などで一度でも「血糖値が高い」という結果が出た場合、それが、高血糖が持続していたとしても、たまたまその時だけ血糖値が高いだけだったとしても、生体の反応として正常ではまず起こらない現象です。
その時は、「血糖値が上がりやすい身体」であることを改めて認識して、再検査や、生活習慣を見直すなど行動し、適切な対応をしましょう。

投稿者: 井島鍼灸院

2016.10.19更新

東洋医学研究所のホームページでは、平成27年3月より、東洋医学研究所グループの山田篤先生に糖尿病通信を担当して頂いています。

今回は、「糖尿病通信1 ‐血糖値について‐」を紹介させて頂きます。


糖尿病通信1 ‐血糖値について‐

糖尿病は生活習慣病の代表的な疾病の一つです。

厚生労働省の「2013年国民健康・栄養調査」の結果によると、糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる者)の割合は、男性16.2%、女性9.2%であり、ひと昔前は、糖尿病であることを言えず隠していましたが、今ではありふれた疾病になってきています。

その糖尿病とは何か?簡単に言いますと、「血液中に必要以上に余った糖が、長い間かけてじわじわと身体中をおかしくする」という疾病です。

それで、血液中の糖の量を知らないといけないので血糖値を測定する訳ですが、今回はその血糖値について少し違った見方からのお話です。

糖尿病の判定基準の一つに空腹時血糖値(食事前の空腹状態時の血糖値)があり、126mg/dl以上だと糖尿病型、つまり糖尿病が疑わしいことになります。

血糖値の単位mg/dl は、1dlの中に何mg入っているか、という意味です。126mg/dlだと1dl中126mg入っていますよ、ということです。

違う物と比較してみます。糖質が多い飲み物、例えばコーラ(レギュラー)は100ml中11.3g入っています。

mg/dlに合わせますと、100ml=1dl、1g=1000mgなので、11300mg/dlになり、コーラの中には126mg/dlの約90倍の糖質が入っていることになります。

コーラと比較すると明らかに126mg/dlは少ないです。糖尿病の血液はドロドロしたイメージがあると思いますが、これくらいだと意外とサラサラしています。

126mg/dlなんて大した量ではない・・・なんて思うかもしれません。

ところが、先ほどの糖尿病の判定基準、空腹時血糖値の正常値は110mg/dl以下です。糖尿病型の126mg/dlより僅か16mg/dl少ないだけで正常値です。

人間にとって、糖質はエネルギーなど必要不可欠なものであるのと同時に、僅かな量の増減で生命に関わる危ないものです。

その危うい糖質をコントロールしているシステムに僅かでもほころびが出てしまいますと、じわじわと身体を蝕み、気付いたときには引き返せないほどの状態になることもあります。

たかが126mg/dl、されど126mg/dl。

私たちは身体の中に、糖質という毒にも薬にもなる危ないものを常に飼っています。噛みつかれないように上手に付き合っていくことが糖尿病にならない、進行させない、健康に暮らしていくことに繋がります。(文責山田篤)

投稿者: 井島鍼灸院

2016.10.01更新

 東洋医学研究所のホームページでは、東洋医学研究所グループの先生方が順番にコラムを担当して頂いています。
  今回は、「第34回(公社)生体制御学会学術大会 市民公開講座」と題して東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院の皆川宗徳先生のお話を紹介させて頂きます。


 

第34回(公社)生体制御学会学術大会
        市民公開講座


東洋医学研究所®グループ二葉鍼灸療院
          院長 皆川宗徳
 

 第34回(公社)生体制御学会学術集会が平成28年8月28日(日)に名古屋市立大学医学部さくら講堂において開催されました。台風10号の影響が心配でしたが天候に恵まれました。
今回、市民公開講座として、愛知医科大学学際的痛みセンター教授の牛田享宏先生に「なぜ『長引く痛み』がおこるのか?」、元名古屋市立大学長NPO法人健康な脳づくり理事長の西野仁雄先生に「脳を活性化し認知症を予防しよう」と題してご講演頂きました。
 
 牛田享宏先生は、愛知医科大学学際的痛みセンターを研究拠点として、厚生労働省の痛みに関する班会議の班長を歴任され、現在、慢性痛の診療・教育のシステム構築に関する研究班と子宮頸がんワクチン薬害研究班の班長という疼痛に関する主要な研究において、日本の中心的メンバーであります。

 講演の中で、「慢性痛は、急性痛を治療したあとも3~6か月以上も痛みが続き、日常生活に支障を来たす。痛みに対する不安や恐怖を感じ、不安や恐怖が長く続くと脳が痛みに対して過敏になってしまい、痛みの悪循環が生じる。」と話され、その対処法として運動療法の紹介がありました。運動には痛みを直接和らげるエンドルフィンというホルモンを分泌する効果があると
いうことで、外から与えられるモルヒネとは違い、脳内で分泌されるので副作用はないというお話がありました。

 また、プラシーボ効果の説明があり、偽の鎮痛剤(偽薬)を投与するだけで、最高8mgのモルヒネと同等の効果があったとの報告に驚きました。慢性痛患者の精神的な情動に与える部分がいかに大きいかを改めて認識いたしました。

 西野仁雄先生は、脳生理学を専門分野とされ、脳生理学の教育・研究の経験を生かして、脳のすばらしさ、柔軟性等を理解する手助けとなるように、地域や学校やいろいろな集会に出前授業に出かけられる一方で、4年前にN P O法人「健康な脳づくり」を立ち上げ、いかに脳を活性化して認知症を予防するかの研究を行っています。

 軽度認知障害、認知症では、アミロイドベーター(Aβ)やタウ蛋白といった異常物質が脳に蓄積し、脳神経のネットワークに障害が起き、やがて脳神経そのものの構造に変異が起きること、また、何の症状も出ていない時期から、すでに原因物質が脳内で蓄積し始めていることが分かっているというデーターを示して頂きました。一見正常な健康人の脳のなかで、すでに病的な変化が起こり始めていること、つまり、四十代、五十代の脳の中で、すでに原因物質の蓄積が始まっている可能性があるというお話しがありました。

 大脳の運動野と感覚野は、口と手の領域が広いということから、手と口を動かすことによって脳を活性化し、認知症を予防する予防医学の重要性を話されました。特に、日常生活で感謝の気持ちを持つことが脳を一番活性化すると強調され、感慨深きものがありました。

 牛田享宏先生、西野仁雄先生の講演を拝聴し、物事の捉え方、考え方、行い方がいかに大事かを痛感し、感性・感覚を養うことが重要であることがわかりました。

 今後、黒野保三先生からご指導頂いた中で「科学は先人の業績を紐解くことによって発展する」を肝に銘じて進んでまいりたいと思います。

 黒野保三先生の研究業績は、鍼に関する原著論文が50編あります。もう一度、読み直して研究に関する感性を養って行きたいと思います。

投稿者: 井島鍼灸院

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