適応症

2020.05.26更新

ムチウチ症とは?

車の衝突事故のときに、体は前方に移動しますが、頭はとり残されるので急激に後ろにそり返り(下図1)、次の瞬間前方へ曲がる状態となり(下図2)、ムチのようにしなります。

ムチウチ症1 

このとき、頚椎周囲の筋肉・靭帯・椎間板・血管・神経などの組織が損傷を起こしたものをムチウチ症(頚椎捻挫)といいます。他にもスポーツ中のケガや頭部への物体の落下などにより同じような状態になったものを含みます。

受傷の数時間後、あるいは翌日になってうなじの痛み、熱感、頭が重い感じ、肩こりなどの症状が現れることが多いのですが、受傷直後に現れることもあります。逆に数週間から数ヶ月たった後に症状が現れることもあります。

症状には他に、首の痛みやこわばり、背中の痛み、腕の痛みとしびれ、意識障害、頭痛、めまい、目がかすむ、耳鳴り、難聴、腰痛などが起こることがあります。
また、症状から、以下の4つの型に分類することもあります。

 

頚椎捻挫型
4つの型のうち最も多いもので、全体の70~80%を占めています。頚椎をねんざしたもので、首や肩が痛くて動かしにくいといったように、寝違いや肩こりによく似た症状を示します。

 

根症状型
頚椎の椎間孔やその前後で、頚髄から出ている神経根が圧迫刺激されるために症状が現れるものです。首を横に曲げたり、首を回したりした時に頚部痛や腕のしびれや痛みが強くなるのが特徴です。その他、後頭部痛や顔面痛、顔にベールをかぶったような違和感などをうったえることが多いものです。

 

バレ・リーウー症状型(後部頚交感神経症候群)
後頚部やうなじの痛みのほか、めまい、耳鳴り、視力障害、眼精疲労、顔面・腕・のどの知覚異常、声がかすれる、ものを飲みこみにくいなどの症状があり、胸部の圧迫感などの心臓の症状をうったえることもあります。

 

脊髄症状型
脊髄が損傷された場合には、下肢のしびれ感や知覚異常のために歩行が障害されたり、尿や便が出にくくなったりする膀胱直腸障害が出ることもあります。
ムチウチ症の人はさまざまな症状をうったえますが、画像診断ではほとんど異常が認められないことが多いです。
また、ムチウチ症の約70%は適切な治療により6ヵ月以内に治りますが、それ以上たっても症状がとれないときは治りにくくなる可能性があります。

 

鍼と超音波の併用療法
-ムチウチに対する効果-
昭和44年4月1日より昭和47年3月1日までの3年間に東洋医学研究所ョに来院された患者の中の1336例について、黒野所長が鍼と超音波の併用療法による各種疼痛性疾患に対する効果などを詳細に研究し、これを症病別に集計しました。

その中でムチウチ症に対しての結果は、患者106名のうち49名が著効、16名が有効、10名が比較的有効、16名がやや有効、15名が無効となり91名の人に効果がみとめられたため、有効率は85.8%でした。そして、無効であった15名について検討してみると、症状が発症してから鍼治療開始までに長期間経過していることがわかりました。

以上のことから、上記のようなムチウチ症に対する鍼治療の効果が実証されています。
さらに、東洋医学研究所®グループでは上記を参考に30年間にわたりムチウチ症に対する鍼治療を行い高い成果を上げています。
是非、副作用のない鍼治療をできるだけ早期に試してみて下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.19更新

顔面神経麻痺の治療をさせて頂く際、その症状がどれくらいの期間で、どれくらい改善するかをあらかじめ予測することは大変重要です。

前回ご説明させて頂いた柳原法(40点法)や各種検査を行うことにより、予後の予測が可能となります。今回は、そもそもどうして、すぐに症状が改善する場合と、後遺症が残る場合があるのかについて、顔面神経の障害の程度からご説明させて頂きます。ベル麻痺やハント症候群は、膝神経節でウイルスの再活性化が起こるため顔面神経炎を生じますが、膝神経節の部分は顔面神経管が直径約1mmと大変狭いために神経が腫脹すると圧迫されて神経障害が起きると考えられています。

この神経障害の程度は大きく3つに分けられます。
1. 一番障害の軽い脱髄は、一過性の伝導ブロックです。圧迫が解除されれば、伝導ブロックは解除され、1ヵ月以内に回復します。

 顔面神経障害1


2. 次に障害の重い軸索断裂は、末梢側の栄養が途絶えて軸索は変性します。軸索断裂では内膜の損傷は起こらないので、神経の再生は完全で、回復には通常3週~3ヵ月を要します。

 顔面神経障害2


3. 一番障害の重い神経断裂は神経内膜まで断裂しており、膝神経節より遠心性に変性が進行します。神経断裂を含んでいる症例では、一般的に3ヶ月では完治せず、発症から12~14ヶ月頃まで持続回復し、その後症状固定します。

 顔面神経障害3

この3種類の障害度の割合が、顔面神経麻痺症状や予後に影響すると考えられています。
具体的な柳原法(40点法)や各種検査による予後の予測については、次回にご説明させて頂きます。
東洋医学研究所®及び東洋医学研究所®グループでは、顔面神経麻痺に関する情報から得られた予後予測に基づき、病気に合った的確な治療をさせて頂いております。是非、安心して鍼治療をお受け下さい。  

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.19更新

顔面神経麻痺の治療をさせて頂く際、その症状がどれくらいの期間で、どれくらい改善するかをあらかじめ予測することは大変重要です。

前回ご説明させて頂いた柳原法(40点法)や各種検査を行うことにより、予後の予測が可能となります。今回は、そもそもどうして、すぐに症状が改善する場合と、後遺症が残る場合があるのかについて、顔面神経の障害の程度からご説明させて頂きます。ベル麻痺やハント症候群は、膝神経節でウイルスの再活性化が起こるため顔面神経炎を生じますが、膝神経節の部分は顔面神経管が直径約1mmと大変狭いために神経が腫脹すると圧迫されて神経障害が起きると考えられています。

この神経障害の程度は大きく3つに分けられます。
1. 一番障害の軽い脱髄は、一過性の伝導ブロックです。圧迫が解除されれば、伝導ブロックは解除され、1ヵ月以内に回復します。

 顔面神経障害1


2. 次に障害の重い軸索断裂は、末梢側の栄養が途絶えて軸索は変性します。軸索断裂では内膜の損傷は起こらないので、神経の再生は完全で、回復には通常3週~3ヵ月を要します。

 顔面神経障害2


3. 一番障害の重い神経断裂は神経内膜まで断裂しており、膝神経節より遠心性に変性が進行します。神経断裂を含んでいる症例では、一般的に3ヶ月では完治せず、発症から12~14ヶ月頃まで持続回復し、その後症状固定します。

 顔面神経障害3

この3種類の障害度の割合が、顔面神経麻痺症状や予後に影響すると考えられています。
具体的な柳原法(40点法)や各種検査による予後の予測については、次回にご説明させて頂きます。
東洋医学研究所®及び東洋医学研究所®グループでは、顔面神経麻痺に関する情報から得られた予後予測に基づき、病気に合った的確な治療をさせて頂いております。是非、安心して鍼治療をお受け下さい。  

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.13更新

現在の日本において、主に使用されている検者が患者を視診で判断する顔面運動評価法は柳原法です。
柳原法は、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。
ベル麻痺やハント症候群は顔面の左右どちらか一方に症状が発生します。麻痺側の動きを健側と比較し肉眼的に評価することは、顔面神経麻痺の診断として最も簡便かつ重要です。 柳原法は安静時の左右対称性と9 項目の表情運動を4 点(ほぼ正常),2 点(部分麻痺),0 点(高度麻痺)の3 段階で評価します。微妙な場合は中間の3点、1 点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便ですし、検者間の誤差が少なくなるため,より妥当な偶数点に変更し2 進法で評価します。
柳原法は,顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに,経時的な部位別評価をすることができます。
40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、いっしょに目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定しています。
そして、柳原法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されています。柳原法をマスターすることは,顔面神経麻痺後遺症を克服するための基本となります。
東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、柳原法をマスターし指標とすることにより、鍼治療を行ったベル麻痺・ハント症候群患者の症状が改善することを、(公社)生体制御学会学術集会などで報告しています。

柳原法

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.12更新

ラムゼイハント症候群は、James Ramsay Huntが1907年に自験例をまとめて報告したことに由来します。

ハント 


人口10万人当たりの年間発症数は2~3人といわれています。性差はなく、年齢別発症率は、20 歳代と50 歳代の2峰性のピークを示します。ハント症候群は5月と8月が少なく、3~4 月、6~7月に発症が増加します。ハント症候群の場合、自然経過のなかで顔面神経麻痺が完全に治癒するのは50~60%と報告され、ベル麻痺の自然治癒率に比べて治りにくいと言われています。
ハント症候群は、脳神経の神経節に、以前に感染(潜伏感染)していた水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうのウイルス:VZV)が、再活性することによって発症します。
症状としては、顔面神経麻痺に伴って、耳の穴や耳介周囲に帯状疱疹による水ぶくれができたり、強い耳の痛み、耳鳴、難聴、めまいなどが起こったりするのが特徴です。個々の症例では、これらの症状のいくつかが組み合わさって出現します。
鍼灸院に来院される末梢性顔面神経麻痺の患者はほとんどがベル麻痺かハント症候群です。そして、ハント症候群の方がベル麻痺と比べて予後が悪いことから、発症機序の違いからその鑑別について正しく理解していることは非常に重要です。
東洋医学研究所Ⓡグループでは、耳介・外耳道、頚部、舌、口腔粘膜の観察と、聴力検査や平衡機能検査、ウイルス抗体価測定(ベル麻痺を発症する単純ヘルペス1型、ハント症候群を発症する水痘帯状疱疹ウイルスの測定)などの結果を問診することにより、正確な鑑別ができるよう勉強しています。
是非、安心してご相談下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

小さな細い鍼で、大きな幸せを。JR「岐阜」駅より車で7分 / 無料駐車場完備最寄りバス停:岐阜バス「柳ヶ瀬西口」小さな細い鍼で、大きな幸せを。JR「岐阜」駅より車で7分 / 無料駐車場完備最寄りバス停:岐阜バス「柳ヶ瀬西口」
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