井島鍼灸院ブログ

2012.10.19更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成24年4月1日に発刊された第11刊健康しんぶんから、「虚実について」です。


 東洋で発展してきた鍼灸医学は、東洋哲学ならびに東洋の自然思想の基本的考え方である「陰陽」「虚実」「五行」という考え方が
ベースにあります。

今回はこの中で、「虚実」について考えていきます。

東洋医学研究所黒野保三所長の著書「長生き健康鍼」の中には、『虚実という理論は陰陽と同じように、「二元一元論」あるいは「二極一対論」という考え方から派生したものです。

陰陽が対極的な自然思想を表すのに対して虚実はその人の状態を表しているのです。

これを用いることによって体の状態を立体的に表現することが可能で、例えば「陰虚」「陰実」「陽虚」「陽実」と分類し、またその4つをさらに組み合わせ「陰虚陽実」「陰実陽虚」などと分類し、表現してきました。』と著されています。

この概念は現代においても否定されることなく使用され、現代の医療において有効に用いることが可能であると考えています。

検査データはその一例ですが、検査を行った結果が異常であると言われた時に、同じ異常値であっても高すぎる場合や低すぎる場合もあるのです。

このような対極にあるものに、同じ薬や同じ量の薬では異常値を是正できないため、いろいろな薬が処方されます。しかしながら、どうしても個々に完全に合わせることができない点が指摘されると共に副作用も問題の一つとなっています。

それに対して、鍼治療をしますと非常におもしろい効果がでることが知られています。例えば血圧の高い人に鍼治療をすると血圧がさがります。そして、血圧が低すぎる人に鍼治療をすると血圧があがります。

このような対極にある二つのものが、相対するだけではなく、協調して働き、体内を正常に導いていくことが、五十年に亘る東洋医学研究所の研究や症例で示されています。

これこそが鍼治療の実体験から得られた「虚実」であり、医療の中で生かされた形なのです。



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投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.18更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成24年3月1日に発刊された第10刊健康しんぶんから、「陰陽について」です。


 東洋で発展してきた鍼灸医学は、東洋哲学ならびに東洋の自然思想の基本的な考え方である「陰陽」「虚実」「五行」という考え方がベースにあります。

今回はこの中で、「陰陽」について考えていきます。

東洋医学研究所黒野保三所長の著書「長生き健康鍼」の中には、『陰陽説の起源を探っていくと、もともとは古代の人々が天地や自然現象を理解して生活に活かしていくために考え出した一つの発想ということが分かります。

例えば、昼間は太陽の光がさんさんと降り注いで温かいのに対して夜間は月が夜空に輝きますが気温は下がります。

こういった対極的な働きを通して天地自然をとらえることが陰陽説の根本にあります。

しかし、対極しているものがそれぞれに勝手なことをするのではなく、対極する二つの事柄が一対となって働くと考えるため、「二元一元論」あるいは「二極一対論」という思想が生まれたと理解され、自然にあるすべてのものに陰陽が存在していると考えられました。

人体を調節する機構もこの「二元一元論」・「二極一対論」で説明するのが鍼灸医学における陰陽論の特徴なのです。

そして、患者さんの特徴を見極めることにも使われております。この考え方は物理科学分野の理論となっており、現代の医療にもとけこんで、オーダーメイド医療の基礎にもなっています。』と著されています。

このことは、「人は生まれつき陽的なタイプの人と陰的なタイプの人に分けられます。」という言葉に端的にあらわれています。

タイプがあるということは、どちらが良いとか悪いとか言うのではなく、人にはそれぞれタイプがあるということに過ぎません。

東洋医学研究所及び東洋医学研究所グループでは、そのタイプを見極め、タイプにあった鍼治療の刺激量を微妙に調節して、体内を正常に導いていくことを心がけて治療を行なっております。



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投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.17更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成24年2月1日に発刊された第9刊健康しんぶんから、「東洋医学と西洋医学 -進化過程から違いをみる-」です。

太古の医学では、世界中の人類すべてにおきまして、その治療に大きな違いはなかったと考えられます。

体に痛いところがあれば擦り、出血すればなめて消毒の代わりをし、血をとめてきました。

また、まわりの自然の中で経験によって痛みや不快感を和らげる草などを見つけ、それを食したりしてきました。

つまり東西医学の原点に違いはなかったということです。

しかしながら、その後それぞれの進化の過程において違いが起こってきたのです。西洋医学はルネッサンス(1000年)以後、客観的に自然科学で説明できるように進歩してきました。

つまり、一つの物事に対して余分なものを除外し、純粋なものを最高のものとして発展してきた医学です。

余分なものを排除するということは対象が段々小さくなり、体でいうなら器官から組織そして細胞、細胞の中の構成器官、構成器官を構成する物質と段々標的がしぼられていき、原因をみつけだそうとした医学へと発展してきました。

当然治療となるとその原因を取り除くということが最大の目的となるわけです。一方、東洋で発展してきた鍼灸自然思想の基本的な考え方である「陰陽」「虚実」「五行」という考え方がベースとなっています。

「陰陽」は相反する要素を2つ合わせた二元一対論としてとらえ「虚実」は「虚すればそれを補い実すれば多くなった要素を取り除く」という和を目的とする考え方。

「五行は自然要素、木・火・土・金・水の五つに分けそれがぐるぐると廻って人の健康を保ちそれがうまく廻らない時には病になる」という調和の考え方であります。

東洋哲学思想と鍼灸医学との関連は非常に大事で、鍼灸治療の根幹となりますが、形がないので理解を得難いところがあります。

西洋医学で使われる用語は共通の言語として誰にでも伝わるようになっています。

東洋医学でも専門用語(陰陽・虚実・五行など)を使うのではなく一般の方にも理解できるように説明していくことが重要であります。

50年にわたって数々の研究をして、患者さんに分かりやすく説明できるよう努めております。



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投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.16更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成23年12月1日に発刊された第7刊健康しんぶんから、「鍼灸師は鍼灸医師であった」です。

鍼灸師は鍼灸医師だったと言った時に皆さんはどう思われますか?

そんなことはない、現在の法律では鍼灸師と名のらなければならないと答えるでしょうか?

確かに現在の法律に則るとそういうことになるかもしれません。このことについて少し考察してみたいと思います。

まず歴史についてです。日本における鍼灸医学は3世紀初頭の神功皇后による朝鮮半島の交流から始まり、5世紀には允恭天皇が新羅から鍼医師の徳来を招いたことから普及しました。

それからの約千六百年間、鍼灸医学を中心とする東洋医学は日本の医療を一手に担う医師として、日本人の健康と長寿を守り病気を治してきました。

特に、室町・江戸時代には鍼灸大学校で鍼博士の資格を取得した人がたくさん活躍していたのです。

このことからも、鍼灸医学は決して民間療法として分類すべきではないということが理解できると思います。

江戸末期から明治八年にかけて西洋医学が急速に普及したことで「医師取締法」という法律ができ、医師になるには西洋医学を学んで国家試験に合格しなければならないということになりました。

つまり、それまでの鍼灸医師は医師ではないというのです。そこで、今では「鍼灸師」と名乗らなければなりません。

また、現在における社会的な認識が、リフレクソロジーやカイロプラティックといった日本の免許にない職種と同一に思われている人々が多々見受けられるようになってしまいました。

現在、東洋医学に対する期待が高まっているということは事実です。現に国公立大学医学部などの高等教育機関では東洋医学の教育を必須としています。

その時に鍼灸師が鍼灸医師だという自覚を持ち、それに伴うバックグランドの勉強や研究結果を持ち、医師と対話できる立場になれば発展していくはずです。

東洋医学研究所や東洋医学研究所グループでは、鍼灸医師という自覚を持ち、また、その自覚に対して自信をもっていえるだけの研究や勉強を継続しています。

鍼灸師は法的には医師でないとしても人びとの病を癒すという意味においてその果たす役割は大きいと思われます。



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投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.15更新

10月14日(日)は、岐阜県郡上市高鷲町鷲見「牧歌の里温泉 牧華」(ぼっかのさとおんせんぼっか)に日帰り入浴してきました。

東海北陸自動車道ひるがの高原SAスマートI.Cから、約5分で牧歌の里温泉 牧華"に到着しました。



まわりの景色は岐阜市内に比べ、秋の気配が色濃く漂い、肌寒い感じがしました。



牧歌の里温泉 牧華は、岐阜県奥美濃標高1000mにある花と緑と牧場のテーマパークひるがの高原「牧歌の里」に隣接する日帰り温泉施設です。

・入浴料:大人800円、小人400円
・日帰り入浴時間:(平日)11:00~21:00
 (土日祝)10:00~21:00(受付は20:30迄)
・休館日:4月第1,2,3、11月第4、12月第1~4週の各木曜日
 ※牧歌の里営業期間中は無休
・源泉名:牧歌の里温泉
・泉質:単純温泉(低張性-弱アルカリ性温泉-低温泉)
・泉温:29.4℃
・pH値:8.06   と案内がありました。  

大浴場は天井が高く広々としていました。その他にミントミストルーム、ハーブバス(杉の香り)、フィンランドサウナ、露天風呂がありました。

どの施設もスペースが広く、ゆったりとできました。

露天風呂も外の景色が、私の好きな山なので、とてものんびりできました。

今日からの診療、また、頑張れそうです。

投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.13更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成23年11月1日に発刊された第6刊健康しんぶんから、「予防医療としての鍼灸の価値とは」です。

病気になる前になんらかの対策を行うという概念は、本来、東洋医学といわれる鍼灸医学が得意とする分野であるはずです。

「未病治」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、鍼灸医学の古典文献では「上医(最上の医師)は未だ病まざる病を治す、中医(中級の医師)は人を治す、下医(下級の医師)は病を治す」という内容が約二千五百年前に著わされています。

実際に鍼灸院に訪れる患者さんは、どのような症状で来院されるでしょう?多くの場合は肩が痛い、腰が痛い、膝が痛いなどの疼痛疾患ではないでしょうか。

現在、保険診療の適応も神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症に限定されています。本当に上記の肩・腰・膝という疾患にしか鍼灸治療は効かないのでしょうか。

WHO(世界保健機関)が鍼灸治療の対象とした疾患には運動器系疾患、消化器・呼吸器系疾患、疼痛疾患、循環器疾患、泌尿器・産婦人科系疾患、その他の疾患など49種類があげられています。

しかしながら、いろいろな病院へ行き治療をしたあげくに最終的な方法として鍼灸治療を受けられる方が多いのが現実ではないでしょうか。

前述したように鍼灸診療の得意分野が予防であり、予防というからには全身の疾患が対象になり、そういった患者さんの割合が増えるのが本来の姿であると考えます。

東洋医学研究所及び東洋医学研究所グループには予防も含め、種々(東洋医学研究所ホームページ適応症参考)の疾患の患者さんが来院されています。

これらの患者さんを受け入れるだけの研究結果については、このシリーズで随時掲載していきます。


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投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.12更新

私は黒野名誉会長のお蔭で、(公社)生体制御学会の生体防御免役疾患班の班長をさせて頂いております。

昨日、10月11日(木)はその研究日でした。

内容は、

1 免疫に関係する情報  「運動と免疫について」
 担当 丸山源司 先生
  軽い運動と、激しい運動について、その後の免疫力の変化について、文献とご自身の研究から詳しく説明して頂きました。
          
2 最新情報        「肺カルチノイドについて」 他     
     担当 橋本高史 先生
  金子哲雄さんが亡くなられた原因である肺カルチノイドについて詳しく説明して頂きました。
    
3 免疫学用語解説    「Toll様レセプターについて」     
  担当 中村 覚 先生
  自然免疫だけでなく獲得免疫についても重要な役割を担うToll様レセプターについて説明して頂きました。  
           
4 免疫学の基礎知識  「細胞性免疫・液性免疫のまとめ」  
  担当 井島晴彦 
  体にウイルスが入った場合と、細菌が入った場合の基本的な免疫について、まとめて紹介させて頂きました。

これからも、免疫の基本的な勉強をコツコツ積み重ねていきたいと思います。

     
  
     
 

投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.10更新

10月7日(日)に、名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室で行われた(公社)生体制御学会の定例講習会に参加しました。
      
内容は、

1)基礎生理学
(公社)生体制御学会経理部長
(公社)生体制御学会研究副部長 甲田久士 先生

「感覚受容器と閾値」と題し、スライドを使用し、鍼治療の入力に関係する感覚受容器の基礎的性質を分かりやすく説明された。また、鍼治療の効果を効率よく発揮させる受容器の閾値について基礎実験結果を示しながら、詳細な説明がなされた。

2)痛みの基礎 (社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
栄かとうクリニック院長 加藤泰久 先生

「痛い?痛くない? 糖尿病と合併症について」と題し、スライドを使用し、糖尿病の基礎や臨床について最新の情報を交えて詳細な説明がなされた。また、東日本大震災における実際の救援医療活動から災害時に必要な患者や医療情報の管理について説明がなされた。

3)疼痛疾患の基礎・臨床、診断と治療
(公社)生体制御学会監事
(公社)生体制御学会研究部疼痛疾患班班長   河瀬美之 先生

「腰痛に対するアプローチ法について」と題し、腰痛をおこす代表的な疾患の病態を説明され、腰痛の治療におけるポイントについて詳細な説明がなされた。

4)疼痛疾患に対する症例報告及び症例検討
(公社)生体制御学会教育部長 福田裕康 先生

「交通事故に起因する疼痛・不定愁訴の改善が認められた症例」と題し、症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。

というものでした。

どの講義も内容がたいへん分かり易く、研究や臨床を行っていくうえでとても役に立ちました。

特に心に残ったのは、2時間目の加藤泰久 先生の講義でした。

糖尿病について本当に分かり易い講義の最後に、東日本大震災発生直後に救援に行かれた時の話をして頂きました。

加藤先生はこの時の体験から、「マニュアル的な治療」ではなく、「良い加減の治療」をめざし、今年の5月に勤務医を退職し、栄かとうクリニックを開院されたそうです。

実体験に基づいた言葉と、その体験から行動を起こされた結果に感動しました。

私も良心に従い、恐れず行動していきたいと感じました。



投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.09更新

昨日、三重県桑名市長島町駒江漆畑270にあるなばなの里に行って来ました。



上の写真が、朝一番に乗った地上45メートルの高さまで上がるアイランド富士です。

ぬけるような青空で、なばなの里だけでなく、濃尾平野が一望できる壮観な眺めでした。

その後にベゴニアガーデンに入りました。





とにかく大輪の花がいっぱいで、別世界でした。

花広場にはコスモスとダリアがきれいに咲いていました。









見たこともないような大輪のダリアが美しく咲き、空気も澄み、小鳥の鳴き声も時折聞こえました。

花は短い間ですが、本当に精一杯咲いて人々の心を和ませます。

美しいとほめる人もいれば、「私この花嫌い」とか、「もう枯れている」とかいう人もいます。

でも、花は他人の評価は関係なく、ただ一生懸命咲きます。

太陽も同じです。昨日は大変暑く、太陽にクレームを言っている人がいました。

でも太陽は、ひたすら恵みを与え続けます。

自然の大きさやすごさを感じました。

自然の一部である本来の自分に近づきたいと願います。






投稿者: 井島鍼灸院

2012.10.02更新

東洋医学研究所®HPの中で内藤真次先生の書かれたコラムを紹介させて頂きます。

記憶の不思議1
~年をとっても脳は年老いていない~

東洋医学研究所®グループ 

いちえ鍼療院 院長 内藤真次 先生


はじめに
 もっと頭が良くなりたいというのは、誰もが一度は抱く願望ではないでしょうか。

しかし、よくよく考えると、頭の良さというのは色々あります。テストでいい点を取るには、主に記憶力が大事ですが、数学などは、記憶力だけではなく、通常は結びつかない記憶同士を結びつけるひらめきのようなものが必要です。

また小説家のように、全く一から何かを作り出すなどの創造力や抽象化力といったものも、頭の良さのひとつではないでしょうか。

他の人より要領よく仕事を片付けることができるのも、重要なことを的確に判断できることも頭の良さといえるでしょう。

こう考えると、誰もが他人より少しは優れた、その人なりの頭の良さをもっているものです。しかし、それを薬か何かを使って記憶力だけを高めることができたらいいなと思ってしまうのも人の弱さかもしれません。

人は忘れやすい
 あなたは、"人間は忘れる動物である"と聞いたことはありませんか?

 ドイツの心理学者エビングハウスは、人が一体どれくらいの時間で物事を忘れるのか実験をおこない、エビングハウスの忘却曲線(図1)を発表しました。


                                          図1 エビングハウスの忘却曲線

 20分後には、42%を忘却し、58%を覚えていた。
 1時間後には、56%を忘却し、44%を覚えていた。
 1日後には、74%を忘却し、26%を覚えていた。
 1週間後には、77%を忘却し、23%を覚えていた。
 1ヶ月後には、79%を忘却し、21%を覚えていた。

 なんと我々は、覚えたことを20分で4割、次の日には7割以上も忘れてしまうのです。

 それだけ我々の脳というのは忘れやすいのです。しかし忘却曲線をよく見てみるともう一つの特徴が見えてきます。

それは、次の日には7割以上も忘れているのに、1ヶ月後に8割になりますが、次の日とそれほど変化がないのです。

つまり記憶に残った2割は意外と長時間覚えているのです。これはつまり、いらない記憶はすぐに忘れて、重要な情報や注意して覚えておかなければならないことは忘れないのです。

私たちの脳は記憶すべきものと消すべきものを選択しているということです。ただ脳の機能として記憶するよりも忘れる割合が高いということです。ですから覚えておきたいことは何度も繰返して脳に重要だということを教えてあげましょう。

記憶しすぎる弊害
 先ほどは忘れやすいということをお伝えしましたが、記憶が良すぎると一体どうなるのでしょう。実験によって記憶力を高めたマウスや記憶の天才と呼ばれる方も実は、決して良い思いをしているわけではありません。むしろ、記憶力が良すぎると、忘れることが出来なくなりそのほうがかえって大変なのです。

 例えば、マウスの実験では、普通のマウスでは恐怖の記憶として保持されないくらい弱い刺激(照明の位置やまわりの環境が少し違うだけ)でも、天才マウスはストレスに感じて混乱してしまうのです。

 また人では、一つの言葉で連想される、生まれてからの記憶のすべてが、逐一頭に浮かんできます。

そして、その記憶の波に翻弄されるため、言葉を直接的な意味で使わない比喩などを理解するのが苦手で、記憶を整理する必要がないので、物事を一般化したり、抽象化したりすることもできなくなってしまいます。忘れられないというのは、実に大変なことなのです。

年をとっても脳は年老いていない
 鍼治療をしているとたまに、最近物忘れがひどいから、頭がよくなる鍼を打ってくださいとお願いされることがあります。しかし、年をとり脳が衰えを感じるのは、脳細胞自体の機能が落ちているからではありません。実はシータ波と呼ばれる脳波が出にくくなっていることに原因があるのです。

 シータ波は新しい場所を検索したり、ものごとに注意したり、興味をもつなど「やる気」がわいているときに出る脳波です。このシータ波が出ているときは、その脳は何かを見て知り、覚えようと意欲的になっています。学習をして記憶を高めるには、このシータ波が出ている時が最も良い状態なのです。

 歳をとると注意力や探索心が少なくなるので一見衰えているように感じてしまいますが、これはシータ波の量が減っている状態なのです。これがいわゆるマンネリ化です。

実は脳が衰えたわけではなく、使わなくなり機能していないだけなのです。ですから、90歳以上の元気な人をよくみていると、とても前向きでいろんな事に挑戦している人が多いのも納得がいきます。

以前80歳から英語の勉強を始めたおばあさんをテレビで見たことがあります。やはりとてもお元気で、英語だけでなく水彩画や折り紙など多彩な趣味をお持ちでした。

 自分の好きになれる趣味を一つでも見つけ、人生を楽しみ、脳も健康でいられるようになれば、日常がもっと楽しく感じられるのではないでしょうか。

 脳がいつまでも元気でいられるように、何か新しいことに挑戦してみてはいかがですか?

引用文献・参考文献
忘却曲線 ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%98%E5%8D%B4%E6%9B%B2%E7%B7%9A
池谷祐二:脳と心.Newton 別冊.2010.11
池谷祐二:記憶力を強くする.講談社.2001.1
山本大輔:図解雑学 記憶力.ナツメ社.1998.12
甘利俊一・伊藤正男・井ノ口馨・山口陽子:脳のニューロンと記憶のしくみ.Newton.2007.2
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投稿者: 井島鍼灸院

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