耳鳴り・突発性難聴について
耳鳴りについて
耳鳴りとは、外界から音が耳に入っていないのに関わらず音を感じる症状をいいます。
多くは耳の病気と一緒に起こりますが、全身的な病気によるものや、心理的な要因がきっかけで耳鳴りを生じていることもあります。
耳鳴りには以下の3つの分類があります。
健康な方にも感じるものです。たとえば、まったく音のない環境(防音室や無音室)や、夜など周囲が極めて静かなときに「シーン」と感じるものです。これは聴覚の異常ではありません。
耳の機能に特に異常がないにも関わらず、片側もしくは両耳で、特定の音をうるさく感じるもので、ときどき、または続けて鳴ります。耳鳴りを訴える人のほとんどがこのタイプです。
まれに口の周囲の筋肉や耳の中の骨、筋の収縮音、中耳の貯留液の動く音、血管の雑音などを耳鳴りとして感じることです。
耳鳴りに対する鍼治療の効果に関しては、症状が起きたらすぐに治療を始めることが大切です。耳鳴りの種類や患者さまの疲れ具合、ストレスの状況などによって違いは見られますが、発症してすぐの鍼治療ではかなりの確率で症状を止めることができます。なるべく早期の受診をおすすめします。
突発性難聴について
「突発性難聴」とは、突然起こる原因不明の難聴です。
ある朝起きると片側の耳が聞こえなくなっていたり、耳が詰まる感じがしたり、耳鳴りを感じたりする病気です。
一般的には50~60歳代に多く、男女差はありません。聴力検査では感音難聴を示します。発症前に疲労感を感じていることが多いといわれています。
難聴には、普通の話し声が聞こえにくい「中程度」のものや、ほとんど聞こえない「高度」のものがあります。しかし、ご自身が難聴に気付かなかったり、気付いていても放置していたりする程度の軽い難聴の場合もあるといわれています。このような場合は自然に治ってしまっている可能性があります。
また難聴とともに起きる耳鳴りや、耳の中が詰まった感じのする耳閉感がある場合、重くなるとめまいや吐き気、嘔吐も起こることがあります。
耳鳴り・突発性難聴の原因
耳鳴りの原因
自覚的耳鳴りの原因には、全身的な疾患や薬の副作用、またはストレスや疲労で起こることもあり、以下の3つに分類されます。
内耳、聴神経、聴覚中枢(脳幹、大脳皮質)に障害があることが原因となるものをいいます。内耳炎、メニエール病、老人性難聴、突発性難聴、騒音性難聴、聴神経腫瘍などがこれにあたります。また、ストレイプトマイシン、シンプラチンなどの抗がん剤などの薬物は内耳を冒し、耳鳴りを生じさせます。
低血圧や高血圧など循環器系の病気や、血液・リンパ系動脈硬化、糖尿病、さらに脳神経系の疾患に伴って耳鳴りが現れるものをいいます。
心身のストレスによって耳鳴りが起きたり、増殖して感じたりすることがあります。
また、生理的耳鳴りの原因は、無音状態により鼓膜が緊張することにあり、他覚的耳鳴りの原因は、耳の周囲の不調(顎関節症や顎の筋肉の腫れなど)にあります。
突発性難聴の原因
突発性難聴の原因は、まだはっきりわかっていません。
現在推定されている原因の最も有力なものは、「ウイルス感染説」と、「内耳への血液循環が悪くなることが原因とする説」です。
突発性難聴の発症前に風邪のような症状を訴える患者さまが多いことや、おたふく風邪、はしかなどのウイルス疾患が突発的な高度難聴を起こすことなどが根拠となっている説です。
この説の根拠は、内耳血管の痙攣や塞栓、血栓、出血などによる循環障害が、突発性難聴の発症をうまく説明できることです。ただこの説では、突発性難聴の特徴である再発がほとんどないことに対する説明がなされていません。
また突発性難聴は、過労、睡眠不足、風邪などが引き金となって発症することもあります。
当院の施術について
当院の基本である「黒野式全身調整基本穴」の13の経穴への治療を行い、全身のバランス調整を行った上、耳鳴りや難聴に効果のある「翳風(えいふう)」「聴宮(ちょうきゅう)」「聴会(ちょうえ)」などの経穴へ局所療法を行います。
当院による研究報告
第62回(公社)全日本鍼灸学会学術大会(九州大会)
「突発性難聴に対する鍼治療の1症例」を報告しています。
この症例は、医療機関において突発性難聴の症状は改善の見込みがないと告げられ、治療をあきらめて約1年半経過しており、警察官の採用試験を受けるに当たり、聴力を少しでも改善したいと当院を受診されました。
その結果、8回目来院時ころから症状が軽くなりはじめ、16回目来院時後に行われた聴力検査で、左聴力が4000Hz 1000Hz ともに25dBで聞こえるようになり正常となりました。
その他の耳鳴り・耳閉感・特定の音が響く症状も、寝る前の耳鳴りが少し残っていることを除き、すべて改善及び消失しました。
そして、10日後の18回目来院時にも左耳の良い状態が安定していることを確認できました。
その後、警察官の試験にも合格され、大変喜んでおられました。