適応症

2023.01.17更新

5年前の東洋医学研究所グループの調査によると、鍼灸院に来院される患者さんの約70%が肩こりがあると回答されていました。最近の当院による調査では、ほぼ100%に近づいてきています。治療室での肌感覚として、急激に増えている感じがします。一般に急増している認識がないため、危機感がないことが大きな問題だと思います。みんながそうだからとか、何をやっても改善しないからということで、知らない間に当たり前になっているのかも知れません。

肩こりに限らず多くの疾患は、体を悪くする速度が修復する速度を上回り、その状態がしばらく持続してから発症すると考えられます。

現在の日本では体を悪くする要素として食、ストレス、会社や学校での生活環境、生活習慣の変化など思わぬ落とし穴がたくさんあるようです。そして、パソコンやスマホの長時間使用が拍車をかけ、結果的に肩こりの急増に繋がっています。さらに、肩こりは多くの疾患と合併し悪循環します。なんとかまず肩こりを根本的に改善したいと本気で取り組んでいます。

そこで、食や、ストレス、生活習慣などについては、遺伝的素因や、家族の嗜好、会社・学校での生活環境、得意不得意など一人一人の状況を把握することがとても重要です。

肩こりの直接的な原因としては、姿勢の偏り、視力の左右差、歯の状態、仕事や趣味の内容、運動習慣、睡眠の状態、入浴方法などを検討します。

そして、肩こりの病態を知るために筋肉、筋膜、靱帯を観察します。僧帽筋、肩甲挙筋をはじめ、肩甲骨を動かす筋肉として小菱形筋、大菱形筋、小胸筋、前鋸筋などが重要です。肩周りだけでなく影響を与える可能性のある腕や腰、顎関節などにも注意が必要です。

これらの多くの情報を総合し、一人一人に合った鍼治療とアドバイスをさせて頂きます。

肩こりが珍しい世の中にし、皆様に楽しく生活して頂くことが鍼治療をさせて頂く目的の一つです。

是非、オーダーメイドの鍼治療をお試し下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

2022.03.05更新

朝日新聞 DIGITAL 3/4(金) 19:30配信より

 4月から不妊治療の保険適用が広がることを踏まえ、厚生労働省は4日、保険対象の技術とセットにして治療費の一部に保険が適用される「先進医療」技術6項目を発表した。保険対象の技術と対象外の技術を組み合わせた治療は、国が「混合診療」として保険の適用を認めていないが、先進医療の技術は対象外でも例外扱いとなる。

 今回、先進医療とされたのは、専用のカメラで受精卵を撮影して培養状態を評価する「タイムラプス」や、培養液を子宮に注入して受精卵を着床しやすくする「SEET(シート)法」、子宮内膜が受精卵の着床に適しているかを調べる「子宮内膜受容能検査」など。

 六つはいずれも不妊治療の過程で、追加の選択肢となる「オプション」と言われる。日本生殖医学会は昨年、詳しい治療技術を高い順にA、B、Cの推奨度で評価するガイドラインをまとめたが、今回の6技術はいずれもCで、厚労省が決めた保険の対象には入らなかった。ただ、先進的な技術として、安全性や有効性の検討が進んでいた。

 

不妊保険

投稿者: 井島鍼灸院

2022.02.09更新

国は2022年4月に不妊治療に対して保険適用することに決定しました。

女性は43歳未満で事実婚も対象にされます。4月から公的保険の適用対象となる主な不妊治療も明らかになりました。

勃起障害の治療薬「バイアグラ」や早発排卵防止薬「ガニレスト」、黄体ホルモン剤等の医薬品16品も保険適用されました。

また、厚生労働省では現在、不妊治療にかかる費用の一部を助成する不妊に悩む方への特定治療支援事業を実施しています。

 

不妊治療は、一般不妊治療と特定不妊治療に分かれています。

一般不妊治療には、排卵日を特定してその時に性交渉を行う「タイミング療法」と人為的に精液を生殖器に注入する「人工授精」があります。
こちらは保険が効くので、通常はこの治療法を利用します。

一方、特定不妊治療は、一般不妊治療でも妊娠できなかった場合に行うもので、通常は体内で行われる受精を体の外で行う「体外受精」と「顕微授精」があります。
こちらは保険が一切利かず、数十万規模の高額は医療費を払う必要があり、大きな経済的負担になってしまいます。

そこで、厚生労働省は、特定不妊治療を行う夫婦に対して、高額な医療費の一部を助成することにしました。

主な要件は以下となります。

 

対象者

定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された夫婦
※治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦
※所得制限はありません

 

支給額

(1)女性の不妊治療の場合
 原則1回30万円

 ※凍結胚移植(採卵を伴わないもの)及び採卵したが卵が得られない等のため中止したものついては1回10万円

 ※通算回数(1子ごと)
 初めて助成を受けた際の治療期間初日における妻の年齢が
 40歳未満であるときは通算6回まで
 40歳以上43歳未満であるときは通算3回まで

(2)男性の不妊治療の場合
 原則30万円
 ※精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術

4月から公的保険の適用対象となる主な不妊治療

・人工授精
・体外受精
・顕微授精
・胚移植
・胚培養
・胚凍結保存
・採卵
・精巣内精子採取

4月から公的保険の適用対象となる医薬品

 医薬品16品目

 バイアグラ 4種  シアリス 3種  レコベル 3種  ガニレスト  セトロタイド  

 ルテウム  ウトロゲスタン  ルティナス  ワンクリノン

 詳しくは厚生労働省の情報をご確認下さい。

 

 当院では昨年度、女性25名 男性3名の赤ちゃんを望む新患さんにご来院頂きました。

 鍼灸院で治療させて頂く不妊症は、はっきりとした原因がないのに妊娠にいたらない機能性不妊の場合がほとんどです。

何らかのストレスにより自律神経に乱れが生じ、全身の血液循環の悪化や、ホルモン分泌のアンバランスなどが起こり、機能性不妊になると考えられています。さらに不妊症であることのストレスや、病院への通院、治療が繰り返されることでの生活環境の乱れなどで不妊悪循環をおこしてしまいます。

私自身の治療経験からも、不妊症の患者さんは様々なストレスを抱えてみえる場合が多いですし、全身の血液循環の悪化からくると思われますが、冷え性で手足が非常に冷たい方が多いと感じます。まわりからのいろいろな意見に振り回されることなく、必要以上にあせることなく、本来、自分の身体の持つ力を最大限に発揮できるようにしていくことが大切であると考えます。そこで、鍼灸治療により自律神経の安定を図ることで、血流の改善をはかり、不妊悪循環をたちきることが期待できます。

 また、腰や頭が痛いなど母体の調子が悪い状態は、妊孕力(妊娠する力)に影響すると考えられます。妊娠して出産するのに充分に耐えられる体であることが重要だからです。その他にも、不妊症の検査結果から、卵子の状態、ピックアップ機能、子宮経頚管粘液、着床などの問題を考慮し、男性側の状況、遺伝的素因、生活習慣など様々な観点から問題点を分析し、鍼治療でお役にたてることを考えます。

 このように、妊孕力を上げるための細かいポイントを積み重ね、結果を出していくことを目指します。結果がでたときは、患者さんにも喜んで頂け、自分自身が大変うれしいので、本当に感謝しております。さらに、努力を重ねていきたいと思います。

投稿者: 井島鍼灸院

2021.05.30更新

当院では顔面神経麻痺に対して積極的に治療を行っております。

平成30年度 15名  令和元年度 19名  令和2年度 18名  令和3年度は現在までで4名の治療をさせて頂いております。

Bell麻痺、ハント症候群、ZSHと考えられる症例、手術損傷性など様々な原因の顔面神経麻痺を経験させて頂きました。

さらには、両側性や反復性の患者さんもおみえになりました。

そのお陰で、現在では初診の際に、顔面神経麻痺の状況や、鍼治療の役割、経過の見込みについても詳しく説明させて頂けるようになりました。

治療の効果については、第68回(公社)全日本鍼灸学会学術大会(愛知大会)や、第36回公益社団法人生体制御学会学術集会シンポジウム 

「顔面神経麻痺に対する西洋医学と東洋医学の連携」などで報告させて頂きました。

現在もその後の症例について検討をしており、より効果的な治療を目指しております。

顔面神経麻痺の治癒する経過には神経損傷の度合いによりパターンがあり、ある程度予後の予測ができます。

また、顔面神経麻痺はそもそも何かの心理的・身体的問題がありヘルペスウイルスが活性化し発症することが多いため、顔面に対する治療だけでなく全身の状態を良くすることが大変重要であると考えます。

副作用のない鍼治療は有効な治療手段であると思います。

是非一度、お試し下さい。

 

 

 

 

 

 

投稿者: 井島鍼灸院

2020.06.16更新

 

東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、令和元年5月10日~12日に名古屋国際会議場で開催された第68回(公社)全日本鍼灸学会学術大会(愛知大会)において、顔面神経麻痺に関する発表を5題報告させて頂きました。

顔面神経麻痺

No.1の「鍼治療(筋膜上圧刺激)による末梢性顔面神経麻痺症状の改善効果 -柳原法(40点法)を用いた症例集積-」は、No.2~5などの一例報告を集めて検討した症例集積研究です。
平成14年12月2日から平成29年10月25日までに、東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループの鍼灸院に来院し、鍼治療を受療した末梢性顔面神経麻痺患者18名19相(Bell麻痺15例、Hunt症候群4例 平均年齢 49.0±14.5歳)を対象にしました。鍼治療は週1回以上の頻度で、黒野式全身調整基本穴と、症状の改善を目的とした顔面の経穴に対し筋膜上圧刺激を行い、柳原法を用いて治療効果の経過観察を行いました。
結果は19症例のうち17症例は、柳原法において36点以上に改善しました。その中には、すでに薬の服用を中止し、良好な回復を示した症例が3症例ありました。さらに発症から来院するまでに3年半や6年経過している症例にも改善が認められました。

東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、現在も積極的に症例を集積し、その治療効果を検討し、できるだけ早く後遺症を残さず、顔の表情を取り戻すことのできる鍼治療を研究しております。
是非、安心して鍼治療をお受け下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

2020.06.06更新

顔面神経麻痺の治療には、生体の統合的制御機構の活性化(体全体の調子を整える)を目的とした生体制御療法と、症状に対する局所療法、生活指導が重要となります。
今回は、顔面神経麻痺の症状に対する局所療法としてよく使用される経穴を紹介させて頂きます。
・太陽(タイヨウ):眼精疲労などの目の疾患や、頭痛などにも使用されます。
・迎香(ゲイコウ):鼻水、鼻づまりなど鼻の疾患にも使用されます。
・地倉(チソウ):胃の働きを整える作用もあります。
・陽白(ヨウハク):目の疾患や、頭痛、不眠症などにも使用されます。
・四白(シハク):目の疾患や、めまい、上歯痛などにも使用されます。
・下関(ゲカン):耳の疾患や、頭痛、めまいなどにも使用されます。
・翳風(エイフウ):顔面神経麻痺の他、特に耳の疾患に使用されます。
・頬車(キョウシャ):下歯痛や耳の疾患などにも使用されます。 
鍼灸治療に、経穴は切っても切れないものです。東洋医学研究所Ⓡ所長の黒野保三先生は、「経穴の形状は、皆それぞれの形を作っていて一定ではない。また人の体格や病態によっても変化がある。
鍼の先の感覚で経穴の深さを正確にとらえ、適切な刺激をあたえる技術が重要である。」と述べておられます。
東洋医学研究所Ⓡグループの先生方は、経穴の位置・形状・深さを正しく把握し、豊富な知識に基づいて、適度な鍼刺激を与えることができます。
是非、安心して鍼治療をお受け下さい。

顔面のツボ

投稿者: 井島鍼灸院

2020.06.02更新

今回は具体的な柳原法による予後の予測について名古屋市立東部医療センター病院長の村上信五先生の研究をご紹介させて頂きます。


1)対象
麻痺発症後1週間以内に名古屋市立大学耳鼻咽喉科を受診したBell麻痺患者で、麻痺が治癒するまで、治癒しなかった場合は1年以上経過観察できた392例を対象とした。男性193人、女性199人で年齢は5歳~87歳(平均46.7±17.9歳)であった。
2)方法  
Bell麻痺患者392例を、最終スコアで治癒群(38~40点)、改善良好群(32~36点)、改善不良群(30点以下)の3群に分類して、各群の経時的な麻痺の回復曲線を作成した。
村上先生は、麻痺発症から1年間スコアをつけていくと、軽い症例はすぐに点数が良くなって早く治ることがわかった。一方で重症例はその治癒曲線になかなか追いついてこなかった。40点法で一週間以内に12~14点以上あれば治る、あるいは1ヶ月経っても20点を超えている人は治るなど、将来どのような経過をたどるかを予測することができると報告されています。

 ベル麻痺

東洋医学研究所Ⓡグループでは、このような情報から得られた予後予測に基づき、顔面神経麻痺の病態に合った的確な治療をさせて頂いております。そして、第36回(公社)生体制御学会学術集会における

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.26更新

ムチウチ症とは?

車の衝突事故のときに、体は前方に移動しますが、頭はとり残されるので急激に後ろにそり返り(下図1)、次の瞬間前方へ曲がる状態となり(下図2)、ムチのようにしなります。

ムチウチ症1 

このとき、頚椎周囲の筋肉・靭帯・椎間板・血管・神経などの組織が損傷を起こしたものをムチウチ症(頚椎捻挫)といいます。他にもスポーツ中のケガや頭部への物体の落下などにより同じような状態になったものを含みます。

受傷の数時間後、あるいは翌日になってうなじの痛み、熱感、頭が重い感じ、肩こりなどの症状が現れることが多いのですが、受傷直後に現れることもあります。逆に数週間から数ヶ月たった後に症状が現れることもあります。

症状には他に、首の痛みやこわばり、背中の痛み、腕の痛みとしびれ、意識障害、頭痛、めまい、目がかすむ、耳鳴り、難聴、腰痛などが起こることがあります。
また、症状から、以下の4つの型に分類することもあります。

 

頚椎捻挫型
4つの型のうち最も多いもので、全体の70~80%を占めています。頚椎をねんざしたもので、首や肩が痛くて動かしにくいといったように、寝違いや肩こりによく似た症状を示します。

 

根症状型
頚椎の椎間孔やその前後で、頚髄から出ている神経根が圧迫刺激されるために症状が現れるものです。首を横に曲げたり、首を回したりした時に頚部痛や腕のしびれや痛みが強くなるのが特徴です。その他、後頭部痛や顔面痛、顔にベールをかぶったような違和感などをうったえることが多いものです。

 

バレ・リーウー症状型(後部頚交感神経症候群)
後頚部やうなじの痛みのほか、めまい、耳鳴り、視力障害、眼精疲労、顔面・腕・のどの知覚異常、声がかすれる、ものを飲みこみにくいなどの症状があり、胸部の圧迫感などの心臓の症状をうったえることもあります。

 

脊髄症状型
脊髄が損傷された場合には、下肢のしびれ感や知覚異常のために歩行が障害されたり、尿や便が出にくくなったりする膀胱直腸障害が出ることもあります。
ムチウチ症の人はさまざまな症状をうったえますが、画像診断ではほとんど異常が認められないことが多いです。
また、ムチウチ症の約70%は適切な治療により6ヵ月以内に治りますが、それ以上たっても症状がとれないときは治りにくくなる可能性があります。

 

鍼と超音波の併用療法
-ムチウチに対する効果-
昭和44年4月1日より昭和47年3月1日までの3年間に東洋医学研究所ョに来院された患者の中の1336例について、黒野所長が鍼と超音波の併用療法による各種疼痛性疾患に対する効果などを詳細に研究し、これを症病別に集計しました。

その中でムチウチ症に対しての結果は、患者106名のうち49名が著効、16名が有効、10名が比較的有効、16名がやや有効、15名が無効となり91名の人に効果がみとめられたため、有効率は85.8%でした。そして、無効であった15名について検討してみると、症状が発症してから鍼治療開始までに長期間経過していることがわかりました。

以上のことから、上記のようなムチウチ症に対する鍼治療の効果が実証されています。
さらに、東洋医学研究所®グループでは上記を参考に30年間にわたりムチウチ症に対する鍼治療を行い高い成果を上げています。
是非、副作用のない鍼治療をできるだけ早期に試してみて下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.19更新

顔面神経麻痺の治療をさせて頂く際、その症状がどれくらいの期間で、どれくらい改善するかをあらかじめ予測することは大変重要です。

前回ご説明させて頂いた柳原法(40点法)や各種検査を行うことにより、予後の予測が可能となります。今回は、そもそもどうして、すぐに症状が改善する場合と、後遺症が残る場合があるのかについて、顔面神経の障害の程度からご説明させて頂きます。ベル麻痺やハント症候群は、膝神経節でウイルスの再活性化が起こるため顔面神経炎を生じますが、膝神経節の部分は顔面神経管が直径約1mmと大変狭いために神経が腫脹すると圧迫されて神経障害が起きると考えられています。

この神経障害の程度は大きく3つに分けられます。
1. 一番障害の軽い脱髄は、一過性の伝導ブロックです。圧迫が解除されれば、伝導ブロックは解除され、1ヵ月以内に回復します。

 顔面神経障害1


2. 次に障害の重い軸索断裂は、末梢側の栄養が途絶えて軸索は変性します。軸索断裂では内膜の損傷は起こらないので、神経の再生は完全で、回復には通常3週~3ヵ月を要します。

 顔面神経障害2


3. 一番障害の重い神経断裂は神経内膜まで断裂しており、膝神経節より遠心性に変性が進行します。神経断裂を含んでいる症例では、一般的に3ヶ月では完治せず、発症から12~14ヶ月頃まで持続回復し、その後症状固定します。

 顔面神経障害3

この3種類の障害度の割合が、顔面神経麻痺症状や予後に影響すると考えられています。
具体的な柳原法(40点法)や各種検査による予後の予測については、次回にご説明させて頂きます。
東洋医学研究所®及び東洋医学研究所®グループでは、顔面神経麻痺に関する情報から得られた予後予測に基づき、病気に合った的確な治療をさせて頂いております。是非、安心して鍼治療をお受け下さい。  

投稿者: 井島鍼灸院

2020.05.13更新

現在の日本において、主に使用されている検者が患者を視診で判断する顔面運動評価法は柳原法です。
柳原法は、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。
ベル麻痺やハント症候群は顔面の左右どちらか一方に症状が発生します。麻痺側の動きを健側と比較し肉眼的に評価することは、顔面神経麻痺の診断として最も簡便かつ重要です。 柳原法は安静時の左右対称性と9 項目の表情運動を4 点(ほぼ正常),2 点(部分麻痺),0 点(高度麻痺)の3 段階で評価します。微妙な場合は中間の3点、1 点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便ですし、検者間の誤差が少なくなるため,より妥当な偶数点に変更し2 進法で評価します。
柳原法は,顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに,経時的な部位別評価をすることができます。
40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、いっしょに目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定しています。
そして、柳原法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されています。柳原法をマスターすることは,顔面神経麻痺後遺症を克服するための基本となります。
東洋医学研究所Ⓡ及び東洋医学研究所Ⓡグループでは、柳原法をマスターし指標とすることにより、鍼治療を行ったベル麻痺・ハント症候群患者の症状が改善することを、(公社)生体制御学会学術集会などで報告しています。

柳原法

投稿者: 井島鍼灸院

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