井島鍼灸院ブログ

2022.04.07更新

 師匠 黒野保三先生の著書  長生き健康「鍼」P99~P101の内容をご紹介します。

日頃の診療のときに、すべての患者さんに使用させて頂いている「黒野式全身調整基本穴」についての説明です。

 太極療法の特徴となるのが、「黒野式全身調整基本穴」による鏡治療です。ここでいう 「穴」とはッボのこと。つまり、黒野式全身調整基本穴とは、統合的制御機構を調整する ために厳選されたッボを意味しているのです。
ここで、黒野式全身調整基本穴の誕生の由来について説明しておきましょう。
 私は昭和31年に開業して以来、受験生が暗記に使うような小さなカードに、治療で用い たッボとその有効性を記録しつづけていました。そうして昭和43年に、それまでの記録を まとめて疾患の分類とそれぞれのツボの使用頻度とを集計したところ、大変興味深い結果 が出たのです。
 集計調査にあたっては正確性を保つため、西洋医学での診断を得た内科領域の患者のう ち、同じ主訴(訴え)で5例以上そろうケースだけを扱いました。
まず、疾患の性質ごとに6パターンのグループに分類したところ、対象患者2083名 のうち、不定愁訴症候群(無徴候有訴群)が7 84名(約38%)、消化器疾患が5 3 8名26%)、呼吸器疾患が323例 (16%)と、三つのグループだけで全体の約80%を占める 結果になりました。また、患者自身の自覚症状としては、これら三つのグループにおける 第一位はいずれも「首と肩のこり」でした。
 次に、それらの症状に対して用いたツボについて調べました。150例以上使用したツ ボに絞って集計したところ、肺兪・厥陰兪がともに1474例 (70.8%)と最も多く、 次いで、天柱・風池・大杼・肩井がともに1386例 (66.5%) でした。これは、それ らのッボが肩こりと関係していることを推測させる結果です。さらに、腎兪968例 - 5%)・大腸兪9 2 7例 (44.5%)・脾兪8 9 2例 (42.8%) については、消化 器疾患との関係が推測できます。
 以上の結果から、使用頻度が40%以上の13箇所のッボを黒野式全身調整基本穴と定め、 統合的制御機構の活性化のために優先して鏡治療を施すべきッボであると定義しました。 興味深いことに、それらのッボは腹部側と背部側にバランス良く配置されています。陰 陽説では人体の腹部側を陰、背部側を陽と考えることから、全体としてとらえると、この ようなッボの配置は陰陽のバランスが整っているといえるでしょう。そのように陰陽が調 和した状態のことを「太極」といいます。

 どのような疾患を治療する際にも、体の調子を整えることは大変重要だと教えて頂きました。その上で、患者さんそれぞれにあった部分の治療(局所療法)を加えさせて頂いております。

是非、安心して鍼治療をお試し下さい。

投稿者: 井島鍼灸院

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