今回は、眼圧と循環器ファクター と題して東洋医学研究所®グループ伸誠鍼灸院の加納俊弘先生のお話を紹介させて頂きます。
女性の虚血性心疾患の特徴
東洋医学研究所Ⓡグループ伸誠鍼灸院
院長 加納俊弘
胸痛、顎の痛み、喉の痛み、倦怠感、腹痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、背部痛、肩の痛み、呼吸困難、めまい、これらの不定愁訴は女性の急性冠症候群(狭心症)と急性心筋梗塞の自覚症状でもあります。男性では胸痛が圧倒的に多く女性に見られる他の愁訴の発現は少ないといわれています。
これらの愁訴を訴えて医療機関を受診した場合、100%虚血性心疾患を診断していただけるでしょうか?
残念なことに循環器専門医でさえ急性冠疾患の何割かは見過ごしてしまうことがあるそうです。
大規模研究によると急性心筋梗塞の男女比は7:3(もしくは8:2)と女性の罹患率は低く特に閉経前の女性の罹患はまれであります。この理由は女性ホルモンが直接的及び間接的に心血管系を保護していることにあります。
しかし一旦、虚血性心疾患となると心電図に病変波形が出にくい症例が多く存在することが報告され、冠状動脈の動脈硬化病変の進行も早く(不安定プラーク:びらん状で剥がれやすく詰まりやすい)、男性の罹患に比べ重症化しやすく予後もよくないことが知られてきています。
また女性は生理・出産など男性よりも倦怠感に対する耐性が比較的高く、急性発症から受診までの時間も遅延する要因ともなっています。

もっとも多い症状である胸痛においても実際にその原因が心疾患で受診されるのは16 ~20%に過ぎず、他に原因(食道・胃・骨格筋領域・肺や胸膜)の胸痛とほぼ同数であることから、先にご紹介した不定愁訴を含めると診断の領域も広範囲であり短時間での正確な診断には困難を伴います。
先日、ある患者さんの経営する従業員の女性が夜、胸が苦しくなり救急車で某救急病院へ搬送されました。
しかし、搬送された頃には胸痛も収まり医師の診察の結果も特に異常は認められず、帰宅しました。
ところがその深夜にまた胸痛発作が起こり亡くなられてしまいました。
女性は50歳で、既往としては高血圧とやや血糖が高めである他は異常が無かったそうですが、最近は忙しく倦怠感を訴えその日も早退していたそうです。
この事例はやはり女性の冠動脈病変の発症は男性に比べ「怖い」という不幸な症例であります。
これらのことから女性の虚血性心疾患の予防・治療はどう心がければよいでしょう?

狭心症(急性冠症候群)・急性心筋梗塞の自覚症状の性差比較
やはり何より食生活と運動(コラム2012年1月1日号・2014年1月1日号参照)と動脈硬化病変を進行させる病態の正確な
診断と治療、具体的には専門医の受診と治療が大切になります。
高血圧症・不定愁訴に対しても当ウェブサイトにも紹介されているように有効率86%の鍼治療と管理がもっとも理想的な予防であり治療でもあると思います。