東洋医学研究所のホームページでは、東洋医学研究所グループの先生方が順番にコラムを担当して頂いています。
今回は、眼圧と循環器ファクター と題して東洋医学研究所®グループ弥富鍼灸院の服部輝男先生のお話を紹介させて頂きます。
眼圧と循環器ファクター
東洋医学研究所Ⓡグループ弥富鍼灸院
院長 服部輝男
日本人の平均眼圧は14.5mmHgであり、正常の眼圧は10~20mmHgであることが報告されています。緑内障は眼圧が高くなり、視神経が慢性的に圧迫されることにより視神経の障害(緑内障性視神経陥凹)を発し放置すると視野欠損を生じ、重症例では失明するといわれております。
緑内障は、厚生労働省研究班の調査によると、わが国の失明原因の第1位を占めており日本の社会において大きな問題として考えられています。
最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は5%であることが報告されております。つまり40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障と診断される患者さんがいるということになります。
また緑内障の有病率は循環器疾患の高血圧同様年齢とともに増加していくことが知られており、日本の高齢化に伴い、今後ますます患者さんの数は増えていくことが予想されます。
年齢を重ねるごとに増えるとされている緑内障と高血圧は、眼圧と血圧という指標で良い悪いが判断されます。そこで、この眼圧と血圧について考えてみたいと思います。
眼圧と血圧は同じように圧力をはかるものですが、関係があるのでしょうか?また、一体何をはかっているのでしょうか?
眼圧は眼の中の血圧をはかっているのではありません。血圧は心臓から血液が押し出されるとき,血管内に生ずる圧の状態であり、眼圧は眼球の中を満たしている房水の圧の状態なのです。つまり、まったく違う指標なので、関係がないことになります。つまり、いくら血圧が上がったからといっても眼圧があがるわけではありません。
これで一件落着と思いたいところですが、実はそうはいかないところがあるのです。
高血圧をひきおこす習慣には眼圧をあげるものがあるのです。
喫煙、アルコール、ストレス、暴飲暴食、運動不足などは、高血圧をひきおこす代表的な生活習慣です。
その上で、日常生活において眼圧に影響する因子をみてみますと、年齢、性別、屈折(近視や遠視の程度)、人種、体位、運動、そして循環器ファクターがあげられます。この眼圧に影響する循環器ファクターとして、心拍数、収縮期血圧がとくに影響し、毎分86回以上の高心拍数が悪影響を及ぼしていたという報告があることから、血圧の高い人、心拍数の多い人、血圧・心拍数ともに高い人は循環器疾患のみならず眼科疾患にも注意が必要であることがわかりました。
まとめますと、血圧があがることが直接、眼圧をあげることはありませんが、血圧が上がってしまっている人の生活習慣には眼圧をあげるものが含まれていることから、慢性的に血圧が高い人は眼圧を疑う必要もでてくるわけです。
今回は、循環器疾患の観点から眼について考察してみました。自分自身の健康を保つためにはいろいろな視点で考える必要があると思われます。
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