井島鍼灸院ブログ

2014.12.03更新

東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回けんこう新聞を発刊して頂いています。

その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。

今回は平成26年12月1日に発刊された第43刊けんこう新聞から、「鍼治療と超音波治療1」です。


東洋医学研究所®の治療には、もう一つ特徴があります。それは、鍼治療と超音波治療の併用です。

ではどのように、超音波治療が使用されるようになっていったのでしょうか?

超音波を治療で使っている根拠は、黒野保三所長が昭和48年に発表した論文にあります。超音波治療の最初は、痛みをとる鎮痛作用を目的に行われました。

どのようなことを報告したかといいますと、まずは調査研究をしました。

対象者の1 6 4 9 名に医師の診断を受けてもらい、その後、鍼と超音波の併用治療を1クール7 回として行い、1~ 2 クールごとに医師の診察を受けて判定してもらいました。

その診察結果を5段階( 著効、有効、比較的有効、やや有効、無効)にわけ、疾患ごとに集計しました。5段階の評価は以下のように定めました。

「著効」とは1 ~ 7 回の治療で訴えの大部分が消失し14回以内の治療で完全に治癒したもの、「有効」とは14回以内の治療で訴えの大部分が消失し21回以内の治療で全治したもの、「比較的有効」とは治療により症状は軽減するが治療を中止すれば戻りやすいもの、及び症状の範囲は縮小するが一部に症状が残るもの、「やや有効」とは症状がわずかに軽減するもの、「無効」とは21回以上の治療で治療前となんら変化のないものとしました。

結果です。著効を示した上位10番目まで紹介しますと、① 腰痛症(85%) 、② 落枕( ねちがい) (80%)、③ 頚肩腕症候群(79% )、④ 肩凝り症(77% ) 、⑤ 肋間神経痛(67% ) 、⑥ 胃腸疾患(66%) 、⑦ 坐骨神経痛(65%)、⑧リウマチ性疼痛(63%)、⑨ 上腕神経痛( 62 % )、⑩ 背痛症(60%)となりました。非常に高い有効率でありました。鍼治療と超音波は併用することによって高い治療効果をあげることが推測されます。

次回も結果について考察します。

投稿者: 井島鍼灸院

2014.12.02更新

毎月、東洋医学研究所のホームページでは、東洋医学研究所グループの先生方が順番にコラムを担当して頂いています。

今回は、「ドライテクニック」と題して東洋医学研究所®外部主任の中村覚先生のお話を紹介させて頂きます。

はじめに
これまでの私のコラムで は、皮膚やかゆみについて お話させて頂きました。ア トピー性皮膚炎や老人性乾 皮症によるかゆみ、ストレ スによるかゆみ、人工透析 患者さんのかゆみ。そして、 かゆみによって皮膚をひっ かき、皮膚のバリア機能を 壊してしまうことによって 更なるかゆみを引き起こす、 かゆみの悪循環があります。 その悪循環から脱するひと つの方法としてのスキンケ アについては、平成 19 年 7 月号コラム「スキンケア」 でお話をさせて頂きました。 今回は、新生児のスキン ケアである「ドライテクニッ ク」についてお話させて頂 きます。

ドライテクニックって?
ドライテクニックという 言葉を聞いて「知ってる!」という方は、最近身近に出 産された方がいるか、新聞 をしっかり読んでる方だと 思います。というのも、平 成 26 年 9 月 2 日中日新聞朝 刊に『赤ちゃんに「ドライ テクニック」胎脂を残して 皮膚保湿』と題して大きく 記事が掲載されていたから です。 私がドライテクニックを 知っていたのは、2年前に 娘が産まれたときにお世話 になった産婦人科でドライ テクニックが行われていた からで、記事のほうは、新 聞をしっかり読んでいる患 者さんから教えて頂きまし た。 ドライテクニックとは、 産まれたばかりの赤ちゃん を産湯に入れず、生後5日 目頃から体を洗い始めると いうスキンケアの方法です。 出産直後の赤ちゃんは、皮 膚を保護する胎脂が体についているので、なるべく胎 脂をはがさずに生活するこ とになります。生後すぐに 湯につかることによる体力 の消耗を避け、湿疹などの 皮膚トラブルも少なくなり ます。

ドライテクニックで皮 膚トラブルが激減
「胎脂は天然の保湿クリー ム」といわれ、胎脂を残す ことによって肌のきめが良 くなり、へその部分も化膿 しにくくなったようです。 生後すぐに沐浴していた頃 は、肌のかさつきや白い膿 を伴った新生児中毒疹など のトラブルが頻発していた とのことです。 私がお世話になった産婦人 科でも、ドライテクニック 導入前は、毎日新生児約 20 人を沐浴させ、皮膚トラブ ルを避けるため、全身にロー ションを丁寧に塗っていた が、それでも湿疹が起こり、薬を使うこともしばしばあ り、助産師や看護師の仕事 量は膨大だったようです。 ドライテクニックを導入後 は、沐浴なし、丁寧なロー ション塗りなし、皮膚トラ ブル激減となり、これまで の業務の手間が大幅に省か れた分、赤ちゃんの成長と 母親を支える仕事に専念で きるようになったそうです。 産まれたばかりの赤ちゃん は皮膚も弱く、外気にさら されることにも慣れていな いため、かなりのストレス を受けています。そんな中、 あまり手を加えずに、静か に過ごすことが、赤ちゃん の負担を軽くすることにな ると思います。ドライテク ニックは、生後すぐの赤ちゃ んに負担をかけないことに もつながっています。

「アトピー性皮膚炎保湿剤 で乳児の発症率3割減少」
平成 26 年 10 月 1 日毎日新聞 に上記のタイトルで記事が 掲載されました。 乳児に保湿剤を毎日、約 8カ月間塗ることでアトピー 性皮膚炎の発症率を3割減 らせたと、国立成育医療研 究センター(東京都世田谷 区)のチームが発表しまし た。保湿剤に予防効果があ ることを示したのは世界で初めてです。チームは20 10年から約3年間、両親 や兄弟にアトピー性皮膚炎 の患者や経験者がいる乳児 118人を、①1日1回以 上、入浴後などに保湿剤を 全身に塗るグループ②特別 なスキンケアをしないグルー プに分け比較したところ、 保湿剤を塗ったグループの アトピー性皮膚炎発症率は、 特別なスキンケアをしなかっ たグループと比べ、 32 %減 ることが分かりました。 アトピー性皮膚炎は一度 発症すると完治が難しい疾 患といわれていますので、 まずは発症させないことが 大切です。 また、アトピー性皮膚炎 のある乳児は、食物アレル ギーを持っていることが多 く、アトピー性皮膚炎発症 予防は食物アレルギー発症 予防にもつながります。産 まれてすぐからスキンケアをすることの重要性がはっ きりした報告だと思います。 現在、日本では、3人に1 人はなんらかのアレルギー を有しているといわれてお り、アレルギー児は増加し 続けてますが、今回の発表 が少しでもアレルギー児増 加の歯止めになることを願っ ています。

おわりに
ドライテクニックは19 70年代に米国小児科学会 が感染症を減らすために提 唱した方法ですが、日本で の普及はまだ進んでいない ようです。その背景には、 日本では、産まれてすぐ産 湯につけることが、穢れを 払い、鎮守の神の守りを受 けるなどの儀式的・文化的 意味や、見た目の清潔感な どがあるようです。私がお世話になった産婦人科では 2012年からドライテク ニックを導入していますが、 地元の他の産婦人科ではま だ行っていません。記事に よると国内では関東圏を中 心にドライテクニックを導 入する医療機関が増えてい るとのことです。 乳児の湿疹の鍼治療は、 臨床の現場でよく経験しま す。乳児などの子供は、敏感で反応もよく、比較的早 期に改善されることが多い と思います。また、成人・ 高齢者においても、鍼治療 をすることによって身体が 元気になり、肌の色・艶・ 肌理(きめ)・張りも良く なります。 これから、乾燥する季節 になりますので、乾燥肌に ならないように鍼治療でス キンケアしましょう。

投稿者: 井島鍼灸院

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