井島鍼灸院ブログ

2022.05.21更新

 師匠 黒野保三先生の著書  長生き健康「鍼」 P59~61の内容をご紹介します。

「西洋医学と異なる人体へのアプローチ

 鍼灸医学の診察法は「望」「聞」「問」「切」の四種類に大別され、これらをまとめて 「四診法」と呼んでいます。診察のための器具や機器などがなかった時代に生まれた鍼灸医学では、鍼灸師が五感に よって病気の兆候を確認し、陰陽・虚実の判定や病邪(病気を引き起こしている邪気)の 所在を明らかにし、治療方針を決定してきました。

 これを時代遅れと考える人もいるかもしれませんが、西洋医学の検査で見落とされるよ うな異変を鍼灸診療で早期に見つけることがあるのも事実です。ここでは、鍼灸医学と西洋医学とでは人体へのアプローチの仕方が異なるのだと理解してみてください。

 まず、「望診」について説明しましょう。望とは望む・見るという意味で顔色や皮膚の 色調、目や髪や爪の状態、姿勢や行動の様子などを観察します。また、「舌診」という舌 の状態から臓腑の調子を推測する鍼灸医学ならではの診察法もここに含まれます。

 次に「聞診」です。これは耳で聞くことによる診察ですが、西洋医学のように聴診器を用いることはなく、直接耳に聞こえる兆候を対象としています。具体的には、声の大小や ひびき、呼吸音、体臭や口臭、腹部が鳴ったり胃の中の水がチャプチャプと音を立てる様 子などを観察します。

「問診」は西洋医学と同じく患者への質問によって自覚症状を聞き出すものですが、鍼灸医学独自の考え方に基づいているため、質問内容はかなり違ってきます。鍼灸医学では発埶ひとつをとっても、微熱・大熱・往来寒熱・身熱・潮熱・悪熱・煩熱・湿熱・瘀熱と分類 されており、そのうちのどれに当たるのかを判別できるような仕方で患者に質問しなけれ ばならないのです。

「切診」は鍼灸師が患者に対して直接手を触れて診察する方法のことで、代表的なものに 「脈診」「腹診」「背診」「切経」があります。そのうち脈診は鍼灸医学の診察法の中で最も 重要で、人の生命現象の源とされる気血をはじめ、陰陽・虚実の状態を直接認知するため の方法です。
 一方、腹診は腹部の触診(触れることによる診察)、背診は背中の触診、切経は気の通 り道とされる経絡やッボ(経穴)への触診をそれぞれ指しています。」

 

検査機器に頼ることにより、かえって診えなくなることがあります。

感覚を研ぎ澄ますことにより、診えるようになることがあります。

日常の生活から精進してまいります。

 

投稿者: 井島鍼灸院

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