
ストレスとは本来、物質にある力がかかった時に起こるひずみの状態をしめすものとして使われていました。
カナダの生理学者セリエ(Selye)は生体の内部環境の恒常性(ホメオスターシス)に対するひずみの状態をストレスとし、それを起こす刺激をストレッサーと呼びました。ただし、現在の日本では、どちらもストレスと呼ぶことが多くなっています。
人間の身体にひずみを起こさせる刺激には、大きく分けて次の3種類があります。
1.物理・科学的ストレス 暑さ、寒さ、外傷、騒音、有害物質など
2.生理的ストレス 飢餓、感染、過労など
3.心理・社会的ストレス 各種の不安、心配、恐れ、緊張、不満、失望、怒り、人間関係の葛藤など
このうち現代においてもっとも問題になるのが、心理・社会的ストレスです。
鍼灸院を来院される患者さんの中にも、職場の人間関係や仕事の内容、家庭内の問題や学校でのいじめなど様々な問題が、直接間接に身体の状態に影響していると思われる方が多くみられます。
しかし、ストレスもなければよいというものではありません。適度なストレスは心身の発達のために欠かせない刺激剤なのです。
したがって、その人にとって過度な量のストレスをいかに解消し、良好な体調を維持していくかが重要になります。
そのために知っておかなければならないポイントは、その人のストレス耐性の強さ、実際にかかっているストレスの量と質、支えになってくれる人の存在の3つです。
鍼灸師は、その患者さんの病気とストレスとのかかわりを理解し、上記の3つのポイントを適確に把握した上で、その解消法を患者さんにアドバイスでき、鍼治療によって症状を和らげることができなければならないと考えます。
そしてさらに、鍼灸師自身がポイントBの支えになってくれる人のひとりになれるよう努力しなければならないと考えます。
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