井島鍼灸院ブログ

2012.07.04更新

東洋医学研究所®HPの中で山田耕先生の書かれたコラムを紹介させて頂きます。

当院にも心の病気で悩んでおられる方が来院されています。

東洋医学研究所®グループ 山田鍼灸治療院

院長  山田 耕先生

人間の一生は、生を受けて初めに両親との人間関係(親子関係)をもち、幼稚園、小・中・高校、大学さらに社会人として会社やその他の仕事に従事し、結婚、出産、育児、養育、死と、いやでも人間関係(コミニュケーション)を持ち続けて生活してゆかなくてはなりません。

 この一生の中には、様々な人間関係(自分以外の者、つまり両親・子供・友人・恋人・周りの人)において無意識の場合や、意識的な場合に気を使いますが、これが本来の人間のあるべき姿だろうと思います。

 つまり、人は人間関係を欲しています。また、それなしではむしろストレスとなります。人間関係は難しい、苦痛だといいながらも人間関係を切り離し、そこから抜け出してもストレスのない平穏な生活が待っているわけではありません。

人は人間関係を欲しており、その質が問題です。皮肉にも誰もが人間関係を求めているにもかかわらず、誰もが人間関係を苦痛に感じ、大きなストレスとなっている場合があることも事実です。

 こころの病気もこうしたことからおこってきます。

1.正常と異常

 正常か異常かということは状況によっていくらでも変わる可能性があります。

 一般的に人を殴り続けること(夫が妻になど)は異常な行動としてとられますが、ボクサーが試合で相手を殴り続けることは正常な行動です。そういうふうに、状況に応じて境界線の引き方がかわってきます。では、どうやってその境界線を引くのでしょうか?

境界線の尺度として(1)量的(2)質的(3)調和が用いられます。

(1)量的尺度

 もともと私たちの持っているものが、量が増えすぎたり少なすぎたりすると異常だといえます。
 この尺度は私たちの正常心理の延長線上にあります。

 たとえば、愛する人が突然交通事故でなくなったとすると、そこであなたはどんな行動にでるでしょうか?

 多くの人が悲しみに打ちひしがれて、泣いたり仕事も手につかないような状態になることでしょう。それが自然というものです。

 しかし、そういう悲しみから徐々にですが立ち直り、もとの生活に戻ってゆく、それが社会生活を営むものとしての行動だと思います。通常このような時に仕事を休むのは1週間ぐらいなものでしょう。

 ところが、3,4ヶ月も仕事に戻れないような状況が続いたり、自殺を図ったりしたらどうでしょうか?

 こういったような量的な異常も正常心理の延長線上にあるものなのです。

(2)質的な異常

 私たちが経験したことのないような異常、妄想、幻聴などがこれにあたります。

 誰でも、仕事に失敗したり、失恋したりすると、気が滅入ってしまい、うつむきがちな生活になることはあります。

 誰かが自分の失敗をバカにしてるのではないのかといったような被害妄想的な感情を一時的に体験することはあっても、そんなに長くは続かず、日が経つにつれて自分の思い過ごしだったのではと思えるようになってきます。

 ところが妄想や幻聴などは、カラスが自分をバカにしてると言ったように、誰にも聞こえない音がその人だけに聞こえてくるのです。

 こういったものが出現するだけで異様な感じを受けます。正常心理の延長線上にないことが特徴です。


2.不安とは?

 漠然とした未分化な(よくわからない)怖れの感情と言い、恐怖とは別のものと定義されます。

 恐怖がはっきりとした外的なモノを対象としているのに対して、不安は内的な矛盾から生じます。

 不安は多かれ少なかれ身体的に症状が出てきます。それは、動悸や胸が締めつけられる感じ、発汗などのいわゆる自律神経症状となって出てきます。
 
 どうして不安になるのでしょうか?

 不安を感じたことのない人はいないでしょう?

 なぜ不安を感じるのかというと、それは人間にとって、普遍的な避けることのできない心理現象だからです。しかも、自己保存本能からくる危険信号の役割を持っていて有用なのです。

 いくら人体に有用な信号でも、この量が増えすぎるとちょっと困ります。

 また、その場面場面に合わないような不安が反復してあらわれてくることを病的不安と言います。

 病的不安にも生理的(中度、重度のうつ状態に見られる焦燥型の不安や不安神経症 に見られるパニック障害)や欲求不満や内的葛藤が適切に処理できないことから発する心理的な不安もあります。

3.神経症とは?
 「主として心因性に起きる心身の機能障害」と定義されます。「主として」とあるのは、心因(心理的要因)以外にも、その人の素質や性格も関与してくるからです。

 「機能障害」とは、身体の形が変わってしまうような形態的変化のある「器質障害」ではなく、元に戻ることのできる病態という意味です。

 神経症は、表面にでてくる症状によってさらにタイプが分けられます。

 不安が前景に立つ不安障害、身体症状が前景に立つ身体表現性障害、離人症状が前景に立つ解離性障害などです。

 また、精神病(特に統合失調症)でないことを確認することも必要となってきます。

発生の要因

 神経症の発生要因には、個体側の要因(性格や素質)と、環境側の要因(ストレス状況)の二つを考えないといけません。

 神経症は状況次第では、誰にでも起こりうる病気なので、その点から考えるとどんな性格の持ち主でも生ずるといえます。

 神経症になりやすい性格としては

(1)神経質傾向

 大人に見られる普通の神経症によく出現します。

 この性格傾向は親からの体質的・遺伝的に受け継がれる部分もあれば、幼小児期の親のしつけや幼稚園・小学校の先生の指導など、環境的な因子から形成される部分もあります。

 この神経質な面がよい方向に発揮されると、社会では模範的な人物になります。取り越し苦労が多く、石橋を叩いても渡らないほど慎重で、失敗も少ないのです。

しかし、悪い面が出ると、自己中心的で、他人に対する配慮が欠け、愚痴っぽいので周囲の人から敬遠されがちになります。

 このような人が神経症になると、非建設的な生活を送るようになり性格のよい面は薄れて、悪い面ばかりが表面に出ます。うぬぼれが強く、見栄っ張りな性格は劣等感のかたまりと化します。

(2)ヒステリー性格

 ヒステリー性格の特徴は、わがまま、強い依存心、虚栄心、見栄っ張り、自己中心的、極度の負けず嫌い、虚言傾向、短絡的などです。なんだかとても悪い性格のように見えますが、もちろんいい面もあります。負けず嫌いで虚栄心が強いので、勉強や仕事に打ち込めば立派な成績を上げます。

 環境側の要因としては、家庭、学校、職場などにおける問題が考えられます。

 家庭の問題としては、夫婦、親子、兄弟、嫁姑の問題があります。学生の悩みには、自分の能力や容姿に関する劣等感、受験勉強、友人関係などについてです。職場では、対人関係、仕事の内容、配置転換、転勤などです。

 これらの個体側の準備状態に心因が加わって生じるのが神経症です。そして、その根底には不安というものがあります。

4.身体表現性障害

 身体表現性障害は十分に医学的な検査を行っても原因が分からない症状が出るものです。

 ストレスや不安、葛藤などが原因になっていることが多く、身体症状の訴えはとても重症感があります。
 それによって社会生活などに支障をきたすものをいいます。


 身体表現性障害には大きく5つのものがあります。

(1).心気症
 患者自身が何か特別な重い病気(癌、エイズなど)にかかっていると思い込むことを特徴とします。病院で色々検査して異常が見あたらなくても安心できず、執拗に訴えるものです。

(2).転換性障害
 1つか2つの神経学的な症状(声が出ない、歩けない)によって特徴づけられます。

(3).身体化障害
 色々な身体の症状(腰痛、腹痛など)を訴えることを特徴とします。

(4).身体醜形障害
 自分の体の一部に欠陥があるという誤った考えによって、人前に出られなくなることを特徴とします。

(5).疼痛性障害
 心理的な要因で出現したり悪化したりする痛みを伴うことを特徴とします。

 身体性障害で問題となってくるのはうつ病との鑑別です。うつ病がないかどうかを調べることも必要となってきます。

 また他の精神障害と関連があることが多いので、注意する必要があります。
 
 普通、緊張したり、イライラしたり、人前に出る時、ストレスで身体が特に胸が重くなったりした場合、自然と深呼吸をすることが多いと思いますがいかがでしょうか。こんな経験は皆さんも思い当たると思います。

 ここでは、上に記したとおり、緊張・イライラ・ストレス時に行うとよい腹式呼吸法について記しましたので、是非、実行してみてください。


腹式呼吸法

1. まずはの力を抜きます。そのまま軽く息を吸 
  って、自然に息を吐きます。

2. 自然に息が出たら、お腹をゆっくりとへこませるようにして、口から 
  息を吐きます。

3. 息を吐ききったと思ったところで、さらにハーッと息を出すようにして、
  十分に吐ききって下さい。

4. 吸うときは、お腹の力を抜きます。すると自然に、息がお腹に入っ  
  てきます。

5. 十分に吸ったら、数秒間保ちます。その後、力をよく抜いて自然に 
  息を出し、2に戻ります。

 ★上記の要領でお腹を十分に使い、胸郭を意識せずに呼吸するのが腹式呼吸です。

 薬での治療が主流のように見える今日、カウンセリングや心理療法などでも治療効果があります。

また、鍼灸治療による効果も見逃せないと思います。特に東洋医学研究所の黒野保三先生はうつ病患者はもとより、神経症や自律神経失調症、不定愁訴症候群など様々な患者に対して不定愁訴カルテを使用して、鍼治療の効果を実証医学的に証明しておられます。

 治療を行う人間性が相手の心を打ち(共振)、鍼治療を行った結果、何かが脳内のセロトニン・ドーパミン等の脳内物質に影響を及ぼし、効果をあげるのではないでしょうか。

投稿者: 井島鍼灸院

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