東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。
その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。
今回は平成24年5月1日に発刊された第12刊健康しんぶんから、「五行について」です。
東洋で発展してきた鍼灸医学は、東洋哲学ならびに東洋の自然思想の基本的考え方である「陰陽」「虚実」「五行」が、ベースになっております。
今回はこの中で、「五行」について考えていきます。
まず結論になりますが、この五行は陰陽、虚実の概念とは異なり、受け入れ難いものになっております。
東洋医学研究所黒野保三所長の著書「長生き健康鍼」の中での『中国思想の考え方では、太極から陰陽が生じ、さらにその陰陽から自然界をかたち作る「五行」、つまり、木、火、土、金、水と云う流れが生じるとされております。
そして、その五行は良い循環として相生関係があり、一つ先を抑制するものとして相剋関係があります。
具体的には木が火を生ずるという関係が相生関係(母子関係)、木が土を剋するという関係が相剋関係となるわけです。この五行説は自然の営みを説明する方便として広く活用され、鍼灸医学においては、内臓や感覚器官、経絡、食物などを五つに振り分けた「五行の色体表」が考案されました。』と表されています。
では、この五行の色体表が本当に使えるのでしょうか。実際に東洋医学研究所でおこなった研究では、五行の色体表の中で検討しやすい五味(酸・苦・甘・辛・鹹)、五志(怒・喜・思・憂・恐)、五労(久進・久視・久坐・久臥・久立)との関連を調べました。
五行の例えから考えれば、酸っぱいものが好きな人は怒りやすく、動きたがるとなるはずですが、残念ながらそのような関連は認められませんでした。
もちろんこれだけで五行説を否定することはできませんが、今後さらに精度の高い研究を行って五行の色体表の有用性を検討していく必要があることは確かです。
そこでもう一度、五行がでてきた時代背景をみてみますと、五行説のルーツは殷時代から周時代にかけての政治哲学と言われる「五常」にあるといわれています。
本来は国を治める規範の一つを指したものですが、戦国時代末期に易と結びつき、五行として哲学的に解釈されるようになりました。
それが鍼灸医学にも取り入れられるようになりましたが、政治哲学から発想されたため、医学としては無理なこじつけがあったと言わなければなりません。
したがって鍼灸医学の古典文献を検証して正しい学問にしていく必要性が生じてきました。
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2012.10.20更新
五行について
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