
東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。
その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。
今回は平成24年6月1日に発刊された第13刊健康しんぶんから、「気血について」です。
今回は気血について考えてみます。
気と血は一対のものとしてとらえられ、鍼灸医学では気についての考え方が重要な位置付けをしています。要するに、気は生まれる前の先天の気と、生まれてのちの後天の気によって生命の根元をなしております。
血は現代では栄養素と考えて頂くと解りやすいと思います。したがって、気と血は生命を営むための基本となっており、両要素のバランスが健康の元であるといっても過言ではありません。
東洋医学研究所黒野保三所長の著書「長生き健康鍼」の中には、『中国の戦国時代の思想家である荘子が「人の生まるるや気のあつまるなり。
あつまれば則ち生となり、散づれば則ち死す」と気が生命現象の根源であることを説き、生まれながら気を受け、やがて食物などの外部からの気をもらい、相互に働いて成長に寄与し、生命システムをなしていると考えます。』と表されています。
生命システムとは、呼吸・循環・消化・排泄・新陳代謝・免疫などの人として生活していく基本的な機能であります。
そして、その生命システムが各々勝手に働くのではなく、上手に協調させるのが気の役割と考えられます。また、気血は古来から「神(精神)は気血の性となす」と表され、精神活動に深く関与していると言われていることからも、体内の指令系に影響を与えて
いたと考えることは自然の成り行きと思われます。
それでは、気と血はどのような関係にあるのでしょう?
これは指令と実行の関係であります。気によって血を必要な場所に必要な量を速やかに送り、その臓器を養ったり動きを調整したりするわけです。
その気と血の関連性がより分かる方法として、気を元気、宗気、営気、衛気と分類しております。
元気は本来の気、いわゆる先天の気であり、指令の基であります。
その中に宗気といわれる外界から取り入れる空気、営気といわれる栄養素、衛気といわれる外界から守る免疫系の総称があり、このように考えると現代の科学の中でも気という概念ははずすことができないことが分かります。
これらのことについても、現代科学の発展とともに理解が変わってくることも尊重すべきことであります。
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