
東洋医学研究所の黒野保三先生には、毎月1回健康しんぶんを発刊して頂いています。
その中で福田裕康先生が担当されている「シリーズ東洋医学」を紹介させて頂きます。
今回は平成24年8月1日に発刊された第15刊健康しんぶんから、「四診について」です。
鍼灸医学の診察法は望、聞、問、切の四種類に大別され、これらをまとめて「四診法」と呼んでいます。
鍼灸医学が生まれた時代は診察のための器具や機器などがなかったため、五感によって診断、治療をおこなっていたと考えられます。
これは、血液検査などの客観的な検査結果とは違いますが、日々もしくは時々刻々と変わる変化をとらえるためには有効な診断方法であります。
今回は、その中の望診、聞診についてみていきます。
まず「望診」です。望とはのぞんで見るという意味で顔色や皮膚の色調、目や髪や爪の状態、姿勢や行動の様子などを観察します。特にこの望診が重要であり、訓練を積み重ねていくと本当に一目するだけでおおよその身体の状態を推測できるようになります。
鍼灸医学の特徴は一般的なすべての人に比べてどういう位置にいる(検査値でいう正常値など)ということではなく、その人の状態を日々比べながらみているため、ほんの少しの変化でも見落とす危険性が低くなるのです。
次に「聞診」です。これは耳で聞くことによる診察ですが、西洋医学のように聴診器を用いることはなく、直接耳に聞こえる兆候を対象としています。
具体的には、声の大小、ひびき、呼吸音などです。
また、腹部に触れたときに見られる腹部が鳴る様子や胃の中の水がチャプチャプと音を立てる様子などを観察します。
さらに、これには臭いも含まれます。体臭や口臭なども重要な情報になります。
例えば、胃腸が悪いときなどに口臭がひどくなることなど特徴的なこともありますが、体質からくる臭いと病的な臭いの変化もあるわけです。
このように、まず患者さんと話す前に、状況を判断しなければなりません。
いろいろな状況が病気によって出たものであるのか、もともとの体質であるのか、またはこの体質の持ち主であればこの状況が患者さんにとってどういう影響をあたえるのかなどです。
つまり、同じ病名がつくような内容であっても、鍼灸医学的にみると違いが出てきます。
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