師匠 黒野保三先生の著書 長生き健康「鍼」 P20~23の内容をご紹介します。
鍼灸医学は東洋医学の一部門ですから、人の健康についての基本的な考え方は鍼灸医学も東洋医学も共通しています。東洋医学には主に三つの部門があると考えると分かりやすいでしよう。
第一に養生。東洋医学では養生を踏まえた生活習慣の整備もまた立派な治療であると考えています。
第二に物理療法(物理的刺激による治療法)としての鍼灸医学。これは体表のッボ(経穴)と呼ばれる箇所に緘や灸による刺激を与える治療です。
第三に化学療法・薬物療法としての漢方医学。これは、自然界に存在する薬用植物などを活用する治療です。
これらのアプローチはいずれも、人体に本来備わっているバランスを維持しようとする働きを活性化して自然治癒力を高めます。それによって、未病治と長寿、ならびに病気からの回復がなされるのです。
東洋医学は今でこそ、西洋医学の手が届かない部分を補う医療として、代替医療(西洋 医学以外の医療を総称する言葉)の一部門として位置づけられていますが、元々、日本で は東洋医学を行う者こそが「医師」であり、本来であれば「鍼灸医師」と呼ばれるべき存在です。
そこで私は、それを業とする者は今でも医師としての自覚と責任感を持つて治療に当たるべきだと考えています。
ここで、日本における鍼灸医学の歴史を簡単に振り返ってみましょう。
鍼灸医学が日本に持ち込まれたのは、3世紀初頭の神功皇后による朝鮮半島との交流がその最初であり、5世紀には允恭天皇が新羅から鍼医師の徳来を招いたことで本格的な普及が始まりました。
それからの約1600年間、鍼灸医学をはじめとする東洋医学は日本の医療を一手に担い、日本人の健康と長寿を守ってきました。特に、室町・江戸時代には鍼灸大学で鍼博士の資格を取得した人がたくさん活躍していたのです。このことからも、鍼灸医学は決して民間療法として分類すべきではないということが理解できると負います。
ところが、その後、江戸末期から明治時代にかけて西洋医学が急速に普及したことで 「医師取締法」という法律ができ、医師になるには西洋医学を学んで国家試験に合格しなければならないということになりました。つまり、それまでの鍼灸医師は医師ではないというのです。そこで、今では我々は「鍼灸師(はり師・きゆう師)」と名乗らなければな りません。
しかし、それでも私たちは鍼灸医師という自覚を持ち、また、その自覚を忘れてはならないと思います。法的には医師でないとしても、その双肩にかかる責任の重さは西洋医学の医師と同等かそれ以上であるからです。
今、時代が再び変わろうとしているように感じます。
本当に健康、幸せになるためにはどうすべきなのか、黒野先生がずっと探究されていた真実が世の中に広がり始めました。
食と医療に疑問を持って下さい。もっと言えば、教育、歴史、科学、政治、情報の真実を今一度確認して下さい。
絶対に健康で幸せになれるはずです、日本の皆様、目を覚まし行動して下さい。