過敏性腸症候群の鍼治療症例|井島鍼灸院
過敏性腸症候群(IBS)の鍼治療症例
こんにちは、井島鍼灸院です。
今回は、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)に対する鍼治療の一症例をご紹介します。
過敏性腸症候群とは?
炎症や腫瘍などの明確な異常がないのに、
お腹の痛み・張り・便秘・下痢などが続く病気です。
命に関わることはありませんが、長引くことで学校や仕事に集中できなくなり、
生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
高校生の患者さんのケース
今回の患者さんは、進学校に通う高校2年生。
大学受験を意識し始めた頃から、プレッシャーを感じるようになり、
お腹の張りやガスが気になるようになりました。
授業中にお腹が鳴ることが怖くて、食事を減らしたり、
ヨーグルトを試したりと、できることを一人で工夫していたそうです。
しかし、高校3年生の6月ごろには、
お腹の痛みや動悸、汗が止まらなくなるほどの緊張状態に。
ついに学校に行けなくなり、病院で「過敏性腸症候群」と診断されました。
鍼灸治療を受けるまでの経緯
薬を変えても症状は改善せず、
「このままでは終わりたくない」と思った患者さんは、
インターネットで鍼灸を知り、井島鍼灸院に来院されました。
初診時の状態
症状のつらさを示すNRS(Numerical Rating Scale)は9。
お腹のガスや張り、緊張が強く、日常生活も困難な状態でした。
体全体が硬く、背中や首にも強い張りがあり、
まさに心身が限界に近い状態でした。
治療の方針
井島鍼灸院では、2つの方針で治療を行いました。
- ① 黒野式全身調整基本穴による全身のバランス調整:
自律神経や腸の働きを整え、体の回復力を高める。 - ② 局所治療:
合谷(ごうこく)・百会(ひゃくえ)・膻中(だんちゅう)などのツボを使い、
お腹の緊張をやわらげる。
治療の経過
治療を続けるうちに、8回目で症状が少し軽くなり、
22回目には「半分くらい楽になった」と話されました。
40回を過ぎるころには、お腹の張りや緊張がやわらぎ、
表情にも落ち着きが戻ってきました。
そして最終43回目には──
腹痛は消え、お腹のガスや音も以前の半分以下に。
食欲も戻り、体力も回復しました。
鍼灸で期待できること
過敏性腸症候群は、腸だけでなく、脳と自律神経のバランスが深く関わる病気です。
鍼治療によって体全体が整うことで、腸の動きが安定し、
緊張や不安も軽くなっていきます。
こうして、悪循環が断ち切られていくのです。
まとめ
現在、薬だけで十分に改善しない方も多い中で、
鍼治療は副作用が少なく、安全に体を整える方法として注目されています。
今回のように、薬では改善しなかった症状が軽くなり、
再び前を向けるようになったケースも少なくありません。
過敏性腸症候群で悩んでいる方へ。
鍼治療が、心と体をつなぎ直すきっかけになるかもしれません。











