井島鍼灸院ブログ

2026.04.11更新

 

もし、たった一つの原則で
体のバランスを整えることができるとしたら、
知りたくありませんか。

実は、東洋医学には
それに近い考え方が、二千年近く前から残されています。

その古典が
東洋医学の重要な書物
「難経」です。

そして、その中でも
鍼灸師が特に大切にしてきた章があります。

それが
第六十九難です。

今日は、この六十九難を
専門的な知識がなくても分かるように
できるだけシンプルにお話しします。

まず、六十九難の基本になる言葉があります。

虚するものは、これを補う。
実するものは、これを瀉す。
虚でも実でもないときは、経をもってこれを取る。

少し難しい言葉ですが、
意味はとてもシンプルです。

足りないものは補う。
多すぎるものは減らす。

まずは、この大原則です。

体の不調の多くは、
エネルギーが不足しているか、
逆に滞って余っているか、
このどちらかで説明できると
東洋医学では考えます。

では、
どうやって補ったり減らしたりするのでしょうか。

ここで出てくるのが
五行という考え方です。

五行とは、
木火土金水という
自然のバランスの関係を表したものです。

この五つは、
親子のような関係でつながっています。

例えば
木は火を生みます。

つまり
木が母、火が子です。

ここから生まれたのが
母子補瀉という考え方です。

もし、子が弱っていたら
母を助ければ、子も元気になります。

反対に
あるものが強すぎるときは
その子の方向へエネルギーを流して
余りを抜くようにします。

これが
「虚するものは母を補い
実するものは子を瀉す」
という原則です。

もう一つ
六十九難には、とても大事な考え方があります。

それが
治療の順番です。

先に補って、
あとから瀉す。

これを
先補後瀉といいます。

なぜ順番が大切かというと、
もし体が弱っているのに
いきなり減らす治療をしてしまうと、
本来必要な力まで
削ってしまう可能性があるからです。

まず体を支え、
それから余分なものを整える。

この順番が大切だと
六十九難は教えています。

では最後に、
もう一つのケースです。

虚でもなく、
実でもないとき。

つまり
不足でも過剰でもないのに
その経絡だけが乱れている場合です。

このときは
その経絡そのものを整えます。

これを
「経をもってこれを取る」
といいます。

つまり
原因のある経絡から
直接ツボを取るという考え方です。

このように六十九難は

足りなければ補う
多ければ減らす

そして
母子関係を使って調整する。

さらに
治療には順番がある。

こうした原則を
とてもシンプルに
しかし深くまとめた章なのです。

この考え方が身についてくると、
治療はとても静かで
無理のないものになっていきます。

古典の言葉は短いですが、
そこには
臨床の知恵がぎっしり詰まっています。

だからこそ
二千年近くたった今でも
多くの臨床家の心を
震わせ続けているのです。

投稿者: 井島鍼灸院

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