今回は、手のひらの中にひっそりと隠れた呼吸と心のコントロールセンター
魚際というツボについてご紹介します
「えっ、魚…?」と思った方、正解です
実はこの魚際というツボ、名前の由来がとってもユニークなんです
「魚際」って、どこか詩的で、ちょっと美しい響きですよね
でも、なぜそんな名前がついているのか?
そのルーツをたどっていくと…東洋医学の豊かな感性が見えてきます
まず、魚――これはさかなのこと
実は、親指の付け根のふくらみ部分
あそこをじーっと見てみると……なんと、魚の腹にそっくりなんです
ふっくらとした丸み、柔らかそうな形――
このふくらみ部分は、古くから「魚ふく」と呼ばれていました
そして「際」という字には、きわ、ふち、境目といった意味があります
つまり、「魚際」とは…
魚腹のきわ、骨と筋肉が出会う境界線にあるツボ、という意味なんです
ツボの名前って、ただのラベルじゃありません
自然や身体のかたちを見つめる中で、人の感性が生んだ詩のようなもの
「魚際」もそのひとつ
ふだん何気なく使っている手のひらに、そんな奥深いストーリーが隠れていたなんて、ちょっとワクワクしませんか?
では、魚際は一体どこにあるのか?
それは、親指のつけ根の膨らみの真ん中あたり
手のひらと手の甲の皮膚の色がちょうど切り替わる、いわゆる「せきはくにくさい」のライン上にあります
親指を少し曲げて、そのふくらみに沿って押していくと
ちょっとへこんだり、ズーンと響く場所があるはず
そこが魚際です
このツボ、実は手の太陰肺経という呼吸器に関係の深い経絡の要所なんです
だから…
✅ 咳が出る
✅ 喉が痛い
✅ 喘息や風邪でつらい
✅ 声が出しづらい
こんなときに頼りになるツボなんです
でもそれだけじゃないんです
魚際は、肺経なのにお腹にも効く!
便秘、胃腸の不調、お腹の張りにも使われることがあります
さらにさらに…
✅ スマホを使いすぎて親指が痛い
✅ 手首や手のひらがしびれる
✅ 腱鞘炎、腕のだるさ、肩のこり
✅ 頭痛が続く
こうした現代人あるあるの不調にも効果が期待できるんです
そして注目したいのが、魚際のもう一つの顔
それは…心とエネルギーのバランスを整えるツボであるということ
✅ ストレスでイライラする
✅ なかなか寝つけない
✅ 自律神経が乱れている気がする
そんなときにも、魚際で調整するんですよ
五行論では、魚際は「火」に属するツボ
つまり、体の中で燃えすぎた熱やイライラを
スーッと鎮めてくれる消火係のような役割をしてくれるのです
ただし注意点もあります
魚際は「禁灸穴」といって、基本的にお灸はNG
刺激を与えるときは、やさしく、じんわりがポイントです
魚際は、手の親指のつけ根にある呼吸と感情の調整役
咳、喉の痛み、ストレス、不眠、腱鞘炎、スマホ疲れまで
あなたの癒しのスイッチが、そこにあるかもしれません
それではまた次のツボでお会いしましょう