あなたの顔には、「倉庫」があることをご存じでしょうか。
口のすぐそばに位置し、私たちが生きていくためのエネルギーを受け入れる、極めて重要な場所。
その名を、「地倉(ちそう)」と言います。
【位置と解剖学】
場所は、口角の外側、約1cm。
解剖学的に見ると、ここは非常にドラマチックな場所です。
笑うための筋肉「大頬骨筋」や、口を閉じる「口輪筋」など、表情を作る主要な筋肉が複雑に交差するジャンクション。
まさに、笑顔の司令塔とも言えるポジションに、地倉は存在します。
【穴名考:名前の由来】
「地倉」の名前に隠された意味をご紹介します。
まず「地」という字。
これは大地や土地、場所を表すだけでなく、陰の気や下にあるものという意味もあります。
つまり、生命を支える基盤のようなイメージですね。
そして「倉」は、倉庫や貯蔵庫を意味します。
穀物をためておく場所、つまり胃を象徴する言葉でもあります。
● 名前の意味
この二つを合わせると……地倉とは、
「大地の力を受け取り、胃に食物を取り込む入口にあるツボ」
という意味になります。
少しイメージすると、口の横にあるこのツボは、体に栄養やエネルギーを取り込むゲートのような存在。
食べ物や水分を体に取り入れる入り口として、顔の外側に位置しているのです。
名前のひとつひとつに意味が込められている――それが、地倉というツボの面白さであり、奥深さでもあります。
口の横にある、小さな生命エネルギーの入口。
古代の人々は、この小さな一点に、生命維持の根源を見ていたのです。
【経絡:胃との繋がり】
興味深いことに、このツボは「足の陽明胃経」というルートに属しています。
つまり、顔にありながら、消化器である「胃」とダイレクトに繋がっているのです。
「胃の調子が悪いと口元が荒れる」そんな経験はありませんか?
それは、このエネルギーラインが、内臓と顔面を高速道路のように繋いでいる証拠なのです。
そして、陰翹脈(いんきょうみゃく)や、陽翹脈(ようきょうみゃく)、手の陽明大腸経ともつながる交会穴で、(※複数の経絡が交わるターミナル駅のようなツボ)
顔面の神経や感覚をコントロールする重要なポイントでもあります。
【効果・トピックス】
古くからこのツボは、顔面神経麻痺や神経痛の治療において、特効穴として重宝されてきました。
現代では、口角を支える筋肉へのアプローチとして、スター的な扱いを受けています。
「食べる」ことと「笑う」こと。
人間が人間らしく生きるための機能が、この「地倉」に集約されているのです。
▼ こんな症状に応用されます
- 口の動きをスムーズにし、舌の動きをサポート
- 口内炎や歯の痛み、食べにくさ
- 頭痛、胃炎、吐き気の緩和
- 半身の動きが悪いとき
- 目の病気、鼻の症状、耳の不調
あなたの口元にある、大地の倉庫。
次に食事をする時、あるいは鏡で笑顔を作る時、この小さなツボが働いている神秘を、少しだけ想像してみてください。
人体の地図は、私たちが思うよりずっと、奥深いのです。











