井島鍼灸院ブログ

2026.01.29更新

あなたの顔には、「倉庫」があることをご存じでしょうか。

口のすぐそばに位置し、私たちが生きていくためのエネルギーを受け入れる、極めて重要な場所。
その名を、「地倉(ちそう)」と言います。

【位置と解剖学】

場所は、口角の外側、約1cm

解剖学的に見ると、ここは非常にドラマチックな場所です。
笑うための筋肉「大頬骨筋」や、口を閉じる「口輪筋」など、表情を作る主要な筋肉が複雑に交差するジャンクション。

まさに、笑顔の司令塔とも言えるポジションに、地倉は存在します。

【穴名考:名前の由来】

「地倉」の名前に隠された意味をご紹介します。

まず「地」という字。
これは大地や土地、場所を表すだけでなく、陰の気や下にあるものという意味もあります。
つまり、生命を支える基盤のようなイメージですね。

そして「倉」は、倉庫や貯蔵庫を意味します。
穀物をためておく場所、つまり胃を象徴する言葉でもあります。

● 名前の意味

この二つを合わせると……地倉とは、
「大地の力を受け取り、胃に食物を取り込む入口にあるツボ」
という意味になります。

少しイメージすると、口の横にあるこのツボは、体に栄養やエネルギーを取り込むゲートのような存在。
食べ物や水分を体に取り入れる入り口として、顔の外側に位置しているのです。

名前のひとつひとつに意味が込められている――それが、地倉というツボの面白さであり、奥深さでもあります。
口の横にある、小さな生命エネルギーの入口。
古代の人々は、この小さな一点に、生命維持の根源を見ていたのです。

【経絡:胃との繋がり】

興味深いことに、このツボは「足の陽明胃経」というルートに属しています。

つまり、顔にありながら、消化器である「胃」とダイレクトに繋がっているのです。

「胃の調子が悪いと口元が荒れる」そんな経験はありませんか?
それは、このエネルギーラインが、内臓と顔面を高速道路のように繋いでいる証拠なのです。

そして、陰翹脈(いんきょうみゃく)や、陽翹脈(ようきょうみゃく)、手の陽明大腸経ともつながる交会穴で、(※複数の経絡が交わるターミナル駅のようなツボ)
顔面の神経や感覚をコントロールする重要なポイントでもあります。

【効果・トピックス】

古くからこのツボは、顔面神経麻痺や神経痛の治療において、特効穴として重宝されてきました。
現代では、口角を支える筋肉へのアプローチとして、スター的な扱いを受けています。

「食べる」ことと「笑う」こと。
人間が人間らしく生きるための機能が、この「地倉」に集約されているのです。

▼ こんな症状に応用されます

  • 口の動きをスムーズにし、舌の動きをサポート
  • 口内炎や歯の痛み、食べにくさ
  • 頭痛、胃炎、吐き気の緩和
  • 半身の動きが悪いとき
  • 目の病気、鼻の症状、耳の不調

あなたの口元にある、大地の倉庫。
次に食事をする時、あるいは鏡で笑顔を作る時、この小さなツボが働いている神秘を、少しだけ想像してみてください。

人体の地図は、私たちが思うよりずっと、奥深いのです。

投稿者: 井島鍼灸院

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