井島鍼灸院ブログ

2026.05.25更新

尺沢穴(しゃくたくけつ)とは?

肺のトラブルを整える重要なツボ

東洋医学には、咳や喉の違和感、呼吸の浅さなど、肺の不調を整えるために使われる代表的なツボがあります。
その一つが「尺沢穴(しゃくたくけつ)」です。

尺沢は、手の太陰肺経に属するツボで、肺経の五番目に位置しています。
さらに五行では「水」に属し、「合穴(ごうけつ)」という重要な分類に入ります。

合穴とは、経絡の気が深く入り込み、集まる場所のこと。
そのため尺沢は、肺の状態を深い部分から調整する働きを持つツボとして、古くから重視されてきました。

尺沢の場所

尺沢は、肘の内側にあります。

肘を軽く曲げるとシワができますが、その親指側、上腕二頭筋腱の外側に小さなくぼみがあります。
押すとズーンと響くような感覚が出る方もいます。

古典には「動脈の上にある」とも記されており、脈拍を触れることもあるため、正確な位置を見つけることが大切です。

「尺沢」という名前の意味

「尺」は前腕を意味し、「沢」は水が集まる場所を表します。

つまり尺沢とは、
「前腕にある、水の気が集まる場所」
という意味になります。

肺経における“水の性質”を持つ重要な調整点として考えられてきました。

尺沢が使われる症状

尺沢は特に、肺に熱がこもるような症状によく用いられます。

たとえば、

咳が長引く
喉が痛い
黄色い痰が出る
発熱を伴う咳
喉のイガイガ感
呼吸が浅い

などです。

東洋医学では、肺に熱がこもると、咳や炎症症状が強くなると考えます。
尺沢には、その熱を冷まし、呼吸を整える作用があるとされています。

風邪の初期に軽く刺激すると、咳が落ち着くこともあります。

肘や腕の痛みにも使われる

尺沢は肺だけでなく、腕の症状にもよく使われます。

テニス肘
肘の痛み
前腕のだるさ
肩や首の張り

などです。

熱や炎症を鎮める性質があるため、炎症性の痛みに向いていると考えられています。

近年では、理学療法の分野でも注目されており、筋肉に力を入れた状態で尺沢を刺激すると、筋緊張がやわらぐ可能性も研究されています。

呼吸と感情の関係

東洋医学では、「肺」は悲しみや憂いと深く関係すると考えられています。

胸がつかえる
深呼吸しづらい
気持ちが晴れない
呼吸が浅い

そんな時に尺沢を使うと、呼吸が深くなり、気持ちが落ち着く方もいます。

肺は「気の出入り口」。
尺沢は、その流れを整える“調整弁”のような存在とも言えるでしょう。

注意点

尺沢の近くには動脈や神経があるため、強く押しすぎないことが大切です。

セルフケアでは、

軽く押す
心地よい程度に刺激する
深呼吸しながら行う

ことがおすすめです。

まとめ

尺沢は、


喉の痛み
肺の熱症状
肘や腕の痛み
呼吸と感情の調整

などに用いられる、肺経の重要なツボです。

呼吸が浅い時。
咳が長引く時。
腕が疲れている時。

そんな時は、「尺沢」というツボを思い出してみてください。

私たちの体には、必要な調整ポイントが、昔からちゃんと備わっているのです。

投稿者: 井島鍼灸院

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