井島鍼灸院ブログ

2026.09.25更新

肩を上げると途中だけ痛い?インピンジメント症候群とは

肩を上げると、ある角度だけ「ズキッ」と痛む。

ところが、その角度を越えると、なぜか少し楽になる。

このような特徴的な肩の痛みは、
**インピンジメント症候群**と呼ばれる状態でみられることがあります。

以前は「肩の腱が骨に挟まることで痛みが起こる」と
説明されることが多くありました。

しかし現在では、単純な「挟み込み」だけで説明できるものではなく、
腱の状態や筋力、肩甲骨の動き、日常生活やスポーツでの負荷など、
さまざまな要因が関係すると考えられています。

インピンジメントとは?

インピンジメントとは、英語で「衝突」や「挟み込み」を意味する言葉です。

肩の上には**肩峰(けんぽう)**という骨があり、
その下には腕を安定させる**腱板**や、
摩擦を減らす**肩峰下滑液包**があります。

腕を上げるときには、三角筋だけが働いているわけではありません。

腱板が上腕骨の頭を関節の中心へ引きつけ、
さらに肩甲骨が上向きに回転しながら後ろへ傾くことで、
腕をスムーズに上げることができます。

こうした複数の動きがうまく連動して、はじめて肩は滑らかに動きます。

なぜ肩に痛みが出るのか

肩を繰り返し使い過ぎたり、腱板の筋力が低下したり、
肩甲骨の動きが乱れたりすると、腱板や滑液包に負担がかかりやすくなります。

また、猫背や胸郭の硬さなどが肩の動きに影響することもあります。

さらに、

仕事やスポーツによる負担、急激な運動量の増加、
加齢に伴う腱の変化なども関係します。

つまり、

**「肩の隙間が狭くなっているから痛い」**

という単純な問題ではないのです。

特徴的な症状「ペインフルアーク」

インピンジメント症候群でよくみられる特徴の一つが、
**ペインフルアーク**です。

腕を横から上げていくと、およそ60度から120度の範囲で痛みが強くなり、
それより高く上げると痛みが少し軽くなることがあります。

日常生活では、

洗濯物を干す、髪を洗う、上着を着る、高い棚に手を伸ばすといった動作で、
肩の前側から外側に痛みが出ることがあります。

検査だけで原因を断定することはできない

肩の状態を調べる検査には、
**ニアーテスト**や**ペインフルアークテスト**などがあります。

ただし、これらの検査が陽性だからといって、

「この腱が傷んでいる」
「この部分が挟まっている」

と、一つの検査だけで原因を断定することはできません。

肩の可動域や筋力、どの動作で痛みが出るのか、
首からの関連痛がないかなどを含め、総合的に判断することが大切です。

治療では「負荷の調整」と「運動」が重要

治療では、まず強い痛みを繰り返す動作を見直します。

仕事やスポーツで肩を使う場合には、回数や重量、
腕を上げる角度などを調整しながら、
痛みの少ない範囲から少しずつ動かしていきます。

そして、腱板や肩甲骨周囲の筋肉を鍛えながら、
肩が負荷に耐えられる状態へ段階的に戻していきます。

無理に安静にし続けるのではなく、
症状に応じて適切に動かしていくことが重要です。

鍼治療ではどのように考える?

鍼治療は、肩周囲の痛みや筋緊張を和らげ、
肩を動かしやすくするための補助的な方法として活用されることがあります。

施術では、

棘上筋、棘下筋、三角筋、小円筋、僧帽筋、肩甲挙筋、小胸筋など、
肩や肩甲骨の動きに関係する筋肉の状態を確認します。

必要に応じてこれらの筋肉への緊張を調整し、肩を動かしやすい状態を目指します。

ただし、鍼治療だけで腱板の筋力や、
肩が負荷に耐える能力そのものが十分に回復するわけではありません。

そのため、痛みを調整しながら、
運動療法や日常動作の見直しを組み合わせていくことが重要です。

まとめ

インピンジメント症候群は、
単純に「骨と腱が挟まっている状態」と考えるだけでは十分ではありません。

肩にかかっている負荷、腱の状態、筋力、肩甲骨や胸郭の動きなど、
さまざまな要因を確認する必要があります。

大切なのは、痛みを抑えることだけではなく、

**再び無理なく動かせる肩へ、段階的に戻していくことです。**

肩を上げる途中だけ痛む状態が続いている場合や、夜間痛、筋力低下、
強い可動域制限などがある場合には、自己判断だけで済ませず、
整形外科などで一度状態を確認することも大切です。

投稿者: 井島鍼灸院

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