師匠黒野保三先生にとても大切な心得として、いつも教えていただきました。
医療の原点、それがヒポクラテスの誓い
一般に「治療を受ける」とき、無意識のうちに信じているもの。それは“この人なら命を預けられる”という安心感です。その信頼の原点となる考えが、実は2500年以上も前のギリシャに存在していました。それこそが、ヒポクラテスの誓いです。
誓いの中に込められた7つの約束
ヒポクラテスの誓いには、心を打つ約束が詰まっています。
- 師匠を家族のように敬うこと
- 師の子孫には無償で医術を伝えること
- 知識を限られた者にだけ継承すること
- 害のある治療を絶対に行わないこと
- 人を傷つける薬を与えないこと
- 清く正しい姿勢で生涯を過ごすこと
- 秘密を決して漏らさないこと
どの言葉にも、命と向き合う覚悟がにじんでいます。
2500年の時を越え、今なお語り継がれる理由
この誓いが生まれたのは、紀元前5世紀の古代ギリシャ。医学の父・ヒポクラテスとその弟子たちが生んだ精神は、今なお医療の道を志す者たちの道標です。
特に以下の3点は、現代医療にも深く結びついています。
- 患者の利益を最優先に考える
- 守秘義務を徹底する
- 医師としての誇りと責任を忘れない
一方で、「知識の門戸を閉じる姿勢」や「医師の判断が絶対」という考えは、時代の流れとともに見直されつつあります。
現代の医療とヒポクラテスの誓いの共鳴
いま、医療の現場では患者の意思決定が大切にされています。かつてのように「医師がすべて決める」時代ではありません。
- インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)
- セカンドオピニオン(他の医師の意見も聞く)
- 患者中心の医療
これらは、誓いの精神を土台にしながら進化した考え方です。
誓いが唱えられた時代にはなかった言葉ですが、その核心は同じ。“患者のために”という姿勢に、時代は関係ありません。
医療に携わるすべての人へ届けたいメッセージ
ヒポクラテスの誓いは、単なる歴史ではありません。今も医師や医療従事者にとって心の支えであり、信頼の証でもあります。
「目の前の患者に、最善を尽くす」
この想いが、医療のすべてをつくっているのです。
まとめ:2500年前の誓いが、明日の医療を支える
ヒポクラテスの誓いは、形を変えながらも現代の医療に息づいています。
その精神は、命を守るすべての現場にとっての原点です。
これからも、信頼と倫理を大切にする医療が広がることを願ってやみません。
そして私たち一人ひとりが、その誓いの意味を知ることこそ、安心して医療と向き合う第一歩になるのではないでしょうか。