今日ご紹介するのは、心と身体をつなぐ特別なツボ。
膻中です。
膻中はどんなツボ?
膻中は、任脈という
体の正中線を通る重要な経絡の真ん中にあるツボです。
さらに――
感情と深くつながる「心包経」のポイント。
エネルギーの集まる、はちえけつのひとつ。
そして、気のあつまる場所とも言われています。
つまり――
気・感情に深く関わる超重要ポイントなんです。
場所はどこ?
左右の乳首を結んだ線と胸の真ん中、胸骨のラインの交わるところ。
ちょうど心臓の真正面くらいにあります。
ドキドキしたとき。
ギュッと胸が締めつけられたとき。
自然と手を当てたくなる場所。
それが「膻中」なんです。
名前の由来が深い!
東洋医学では、ツボの名前にも大切な意味が込められています。
「膻中」もそのひとつです。
まず、膻という字から見てみましょう。
この字は月と、亶という文字からできています。
月は、にくづき。つまり、身体や肉体をあらわす部首です。
そして亶は、いくつかの意味が組み合わさっています。
「亠」は屋根。
「回」は周囲の囲い。
「日」は太陽。
「一」は大地を意味します。
これらを組み合わせると、
「太陽は心臓を表し、それを周囲の囲いや屋根でおおって守る」
というようなイメージになります。
つまり、「膻」という字には、
心のまわりを守るものという意味が込められているのです。
この「心を包んで守るもの」こそが、東洋医学でいう心包です。
つづいて、ちゅうという字を見てみましょう。
「中」は、ご存じのとおり「まんなか」「中心」を意味します。
でもそれだけではありません。
「一致する」「当たる」「調和」などと考えられています。
このふたつの文字――
膻中は心包のある所に一致するツボを意味します。
まさに感情や呼吸、循環を整える、心と体のハブのようなツボなんです。
どんな効果があるの?
「膻中」には、
私たちの心と体、両方に働きかけるパワーがあります。
まずは心のケアに。
膻中は、精神的な緊張やストレスによる、
「神経の疲れ」や「情緒の乱れ」によく使われるツボです。
なんだか不安になる。
気分が落ち着かない。
緊張しすぎて呼吸が浅くなる…。
そんなとき、膻中は、心にそっと寄り添ってくれます。
次に、心臓や肺など、胸の不調にも。
動悸がする。
息がしづらい。
胸の奥が、ぎゅっとつかまれるような感覚がある…。
そんなときにも、膻中は頼りになるツボです。
さらに、食道や乳腺のトラブルにも。
食べ物がつかえる感じがするとき。
あるいは、乳腺炎や母乳が出にくいときにも、
このツボが使われてきました。
そのほかにも、
胸膜炎や肋間神経痛といった、胸まわりの痛み。
左右の肋骨の間が、つっぱったように苦しくなる――
「胸脇苦満」と呼ばれる症状にも、応用されます。
そしてなにより、膻中がすごいのは…
「気」の流れが乱れたときに、バランスを整える力があること!
感情が大きく揺れたとき。
緊張とリラックスの切り替えがうまくできないとき。
そんな「気の変動」に、ぴったり対応してくれるんです。
膻中は―
ストレス社会に生きる現代人にこそ必要な、癒しとリセットのツボです。
最後までご視聴頂き、ありがとうございました。