今これを読んでいて、
背中がムズッとしてきませんか?
実はかゆみは伝染するんです。
実験でも、
誰かが掻いている映像を見るだけで、
自分もムズムズすることが確認されています。
今日は、この不思議な
「かゆみ」の正体を解説します。
◆かゆみは「弱い痛み」じゃない
昔は、
優しい刺激=かゆみ
強い刺激=痛み
だと考えられていました。
でも今では、
別物だと判明しています。
皮膚の下には、
痛みの神経とは別に、
かゆみだけを感じる神経が存在します。
かゆみは、
独立したシステムなんです。
◆なぜ掻くと気持ちいいのか?
蚊に刺されて掻きむしると、
ちょっと快感がありますよね。
あれ、
実は脳がご褒美を与えているから。
掻くと脳の報酬系が働き、
セロトニンやドーパミンなど、
気持ちよさを感じる物質が分泌されます。
でも、ここに落とし穴。
セロトニンは、
かゆみ神経を敏感にする作用もある。
だから、
かゆい → 掻く → 気持ちいい → もっとかゆくなる
これが止まらない
かゆみの悪循環。
イッチ・スクラッチ・サイクルです。
◆鍼灸院で、かゆい場所に刺さない理由
「かゆいならそこに刺すの?」と
思われがちですが、
炎症で弱った皮膚に
鍼を刺すのは逆効果。
さらに刺激になり、
悪化のリスクがあります。
だから、
かゆい場所には刺さない。
離れたところの鍼で意味あるの?
ポイントは2つ。
① 神経の門を先に閉める
かゆみ神経は、
伝わるスピードが遅く、
鍼の刺激は速い。
速い信号が先に脊髄に到達して、
「門」を閉めることで、
後から来るかゆみの信号が、
脳へ届きにくくなります。
さすって痛みが和らぐのを、
より深いレベルで行うイメージです。
② 脳と自律神経を整える
さらに鍼刺激は、
内因性オピオイド系を活性化し、
ダイノルフィンなどが分泌されて、
かゆみを抑えます。
副交感神経も優位になり、
過敏になった脳の
かゆみセンサーをクールダウン。
◆かゆみとの上手な付き合い方
「たかがかゆみ」と思われがちですが、
睡眠の質や集中力を奪い、
生活の質を大きく下げます。
悪循環にハマらないために、
冷やす・保湿するなどで、
脳の衝動を落ち着かせることが大切です。
次にどこかがかゆくなったら、
「今、脳がセロトニンで
自分を騙しにきてるな…」
そう思い出せれば、
掻く手が少し緩むかもしれません。











