井島鍼灸院ブログ

2025.12.21更新

 

今これを読んでいて、

背中がムズッとしてきませんか?

実はかゆみは伝染するんです。

実験でも、
誰かが掻いている映像を見るだけで、
自分もムズムズすることが確認されています。

今日は、この不思議な
「かゆみ」の正体を解説します。

◆かゆみは「弱い痛み」じゃない

昔は、
優しい刺激=かゆみ
強い刺激=痛み
だと考えられていました。

でも今では、
別物だと判明しています。

皮膚の下には、
痛みの神経とは別に、
かゆみだけを感じる神経が存在します。

かゆみは、
独立したシステムなんです。

◆なぜ掻くと気持ちいいのか?

蚊に刺されて掻きむしると、
ちょっと快感がありますよね。

あれ、
実は脳がご褒美を与えているから。

掻くと脳の報酬系が働き、
セロトニンやドーパミンなど、
気持ちよさを感じる物質が分泌されます。

でも、ここに落とし穴

セロトニンは、
かゆみ神経を敏感にする作用もある。

だから、
かゆい → 掻く → 気持ちいい → もっとかゆくなる

これが止まらない
かゆみの悪循環
イッチ・スクラッチ・サイクルです。

◆鍼灸院で、かゆい場所に刺さない理由

「かゆいならそこに刺すの?」と
思われがちですが、

炎症で弱った皮膚に
鍼を刺すのは逆効果。

さらに刺激になり、
悪化のリスクがあります。

だから、
かゆい場所には刺さない

離れたところの鍼で意味あるの?
ポイントは2つ。

① 神経の門を先に閉める

かゆみ神経は、
伝わるスピードが遅く、

鍼の刺激は速い。

速い信号が先に脊髄に到達して、
「門」を閉めることで、

後から来るかゆみの信号が、
脳へ届きにくくなります。

さすって痛みが和らぐのを、
より深いレベルで行うイメージです。

② 脳と自律神経を整える

さらに鍼刺激は、
内因性オピオイド系を活性化し、

ダイノルフィンなどが分泌されて、
かゆみを抑えます。

副交感神経も優位になり、
過敏になった脳の
かゆみセンサーをクールダウン。

◆かゆみとの上手な付き合い方

「たかがかゆみ」と思われがちですが、

睡眠の質や集中力を奪い、
生活の質を大きく下げます。

悪循環にハマらないために、

冷やす・保湿するなどで、
脳の衝動を落ち着かせることが大切です。

次にどこかがかゆくなったら、

「今、脳がセロトニンで
自分を騙しにきてるな…」

そう思い出せれば、
掻く手が少し緩むかもしれません。

投稿者: 井島鍼灸院

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