なぜ昔の人は百歳まで元気だったのか──『上古天真論』が伝える養生の知恵
こんにちは。
岐阜市の井島鍼灸院です。
みなさんは、
「なぜ昔の人は百歳まで元気だったのか」
そんな問いを聞いて、気になったことはないでしょうか。
実はこの問い、
今からはるか昔の医学書に、すでに書かれています。
それが、
『黄帝内経素問』の中にある
**「上古天真論(じょうこてんしんろん)」**です。
今日は、この上古天真論を、
現代の私たちの生活にもつながるように、できるだけわかりやすくお話しします。
上古天真論が伝えていること
結論から言うと、上古天真論が伝えているのは、
人は自然の流れに逆らいすぎると衰えやすくなり、
自然と調和して生きるほど、本来の生命力を保ちやすい
という考え方です。
とてもシンプルですが、今聞いても非常に深い内容です。
黄帝が抱いた「なぜ人は早く衰えるのか」という疑問
この篇は、黄帝が名医・岐伯(きはく)に問いかけるところから始まります。
「昔の人は百歳になっても元気に動いていたのに、
今の人は五十歳くらいで衰えてしまう。
これは時代のせいなのか。
それとも生き方に問題があるのか。」
非常に鋭い問いですよね。
これに対して岐伯は、
昔の人が長生きできたのは、特別な薬があったからではなく、
日々の養生を大切にしていたからだと答えます。
養生の基本とは何か
では、その養生とは何でしょうか。
上古天真論では、長生きの基本として、いくつかの大切な原則が示されています。
食べすぎ・飲みすぎを避ける
まず一つ目は、暴飲暴食を避けることです。
どれだけ良いものを食べても、過剰になれば体に負担をかけます。
東洋医学では、「ほどほど」がとても大切にされています。
生活のリズムを整える
次に大切なのが、自然に合わせた生活です。
昼に活動し、夜はしっかり休む。
季節に応じて体を整える。
現代では当たり前のように夜更かしができますが、古典では、生活リズムの乱れは生命力を消耗すると考えられていました。
心を消耗しすぎない
さらに上古天真論では、
怒り
欲望
ストレス
に振り回されすぎないことも重要だとされています。
心の消耗は、そのまま体の消耗につながる。
これは現代にも通じる考え方かもしれません。
女性は七、男性は八のリズムで変化する
この篇で特に有名なのが、
人の成長と老化には一定のリズムがある
という考え方です。
古典では、
女性は「七」の倍数
男性は「八」の倍数
で、体が大きく変化するとされています。
女性の変化
女性は、
7歳
14歳
21歳
28歳
と成長し、
35歳頃から少しずつ変化が現れ、
49歳で大きな節目を迎えるとされています。
男性の変化
男性は、
8歳
16歳
24歳
32歳
と充実し、
40歳頃から衰えが見え始め、
64歳で大きな変化を迎えるとされています。
もちろん、これは現代医学の年齢区分と完全に一致するわけではありません。
ですが大切なのは、
「人には成長の波があり、ピークを過ぎれば少しずつ変化していく」
という自然の流れを、古代の人々がすでに見つめていたことです。
「腎気」と「天真」という考え方
ここで重要になるのが、
「腎気(じんき)」と「天真(てんしん)」という考え方です。
腎気とは
腎気とは、東洋医学でいう生命力の土台です。
成長
発育
生殖
老化
などに深く関わるエネルギーとされています。
天真とは
天真とは、生まれながらに授かった純粋な生命力のことです。
上古天真論では、
この大切な力を無理に消耗しすぎないことが、健康長寿の基本だと説かれています。
老化を否定しているわけではない
上古天真論は、「老化を止めよう」と言っているわけではありません。
人は自然に年を重ねていく。
それは誰にも避けられないことです。
けれど、
どう生きるかによって、
衰え方は大きく変わる。
そこに、この篇の大きなメッセージがあります。
現代だからこそ必要な古典の知恵
現代はとても便利な時代です。
ですがその一方で、
夜更かし
食べすぎ
働きすぎ
情報の浴びすぎ
によって、心も体も消耗しやすい時代でもあります。
だからこそ、上古天真論の教えは、昔の話ではなく、今の私たちにこそ必要なのかもしれません。
まとめ
長生きの秘訣は、特別なことではありません。
自然に逆らいすぎず、
無理を重ねすぎず、
自分の生命力を大切にしながら生きること。
『上古天真論』は、その大切さを今に伝えてくれる古典です。
岐阜市の井島鍼灸院では、これからも東洋医学の古典に眠る知恵を、現代の生活に結びつけながら、わかりやすくお伝えしていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。











