井島鍼灸院ブログ

2025.08.24更新

今日は 師匠黒野保三先生に教えて頂いたとても大切な気血思想のお話をさせてください。

東洋医学の基本にある「気血(きけつ)」という考え方は、ちょっとロマンがあります。人を小さな宇宙に見立て、大きな自然の法則をあてはめて生まれたものだからです。

まず「気」。これは形のないエネルギーのようなもので、風や空気の流れにも似ています。そして「血」。こちらは目に見える命の流れで、全身をめぐる赤い生命の川のことです。気と血はまるで表と裏の関係。どちらかが欠けても、命はうまく動きません。

私たちの体は、お母さんのお腹の中で「先天の気」を授かり、その後、食べ物や呼吸によって「後天の気血」が育まれていきます。生まれてからも、呼吸や消化、免疫や代謝といったあらゆる営みは、この気血によって守られています。気は見えない糸のように全体を調え、血は目に見える力として体を動かすのです。

もしこの気血のバランスが崩れるとどうなるでしょう?心身の調子を崩し、「病は気から」と言われるように不調が生まれます。逆に、気血の流れがスムーズで調和していれば、心も体も元気いっぱいでいられるのです。

血は体を潤し、臓器や筋肉、皮膚に栄養を与えます。目は血で潤い、関節は血のおかげで滑らかに動きます。また血は精神の安定にも欠かせず、不足すると不眠や不安が出てきます。一方、気は血を動かす原動力であり、宇宙・自然・人をつなぐ大きな力でもあります。

古代の思想家たちは、気を「宇宙の気」「自然の気」「人の気」と分けて考えましたが、実はすべてがつながり合ってひとつの流れを作っています。孟子が説いた「浩然の気」は、心を正しく保つことで満ちあふれる強大な力。これは鍼灸の道にも通じており、人間性や知識、技術を磨くことで自然に備わるものとされました。

現代医学的に見ても、血液循環は酸素と栄養を全身に運び、不要なものを回収する大切なシステムです。古代の人々が語った「気血の流れ」と、現代の「酸素や代謝」の考え方は、不思議なほど響き合っています。

つまり「気血」とは単なる古い思想ではなく、今を生きる私たちの体にも流れている“いのちのリズム”。その調和を意識し、気を養い血を大切にすることが、健康でしなやかに生きる第一歩なのです。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.08.22更新

頭のてっぺんに、全身の司令塔があるって知ってましたか?
それが今回ご紹介する――
百会というツボです!
東洋医学では、百会は特別な名前で呼ばれています。
その名も、「さんようごえ」!
実はこれ、全身のエネルギーの通り道=経絡が、なんと五本も交差して集まっている場所だからなんです!

交わるのは
まずは三つの陽経
背中を通る「足の太陽膀胱経」
体の横を走る「足の少陽胆経」
そして腕から流れる「手の少陽三焦経」

それだけじゃありません
ここには陰の代表「足の厥陰肝経」も集まり
さらに体の中心を縦に貫く督脈までもが合流します

これだけ多くの経絡が一ヶ所で交差している…まさに体全体の気の流れをコントロールし、まとめあげる司令塔のような存在なんです。

じゃあ、その百会ってどうやって探すの?
両耳の先っぽ同士を頭のてっぺんで結ぶライン
額の真ん中から真っすぐ上に引いたライン
この2本の線が交わるところ!
軽く押してみて、少しくぼんでいたら…そこが百会!

そして、このツボの名前には 
実は、とても深い意味が込められているのを知っていますか?
まず「百」という字。
これはただの数字の100じゃありません。
「百」には、たくさん・あらゆるものが集まるという意味があるんです。
百人、百姓、百花繚乱…
いろんなものが広がって、にぎわっているイメージですね。
そして、「会」。
これは出会い・集まり・一致するという意味。
人と人が出会う会合の「会」、
心と体が一つになる「会う」、
まさに、集まって一つになるという感覚です。
つまり「百会」という名前は――
たくさんのエネルギーが、一点に集まる場所
ということなんです!

さらにここは「脳の玄関口」ともいえる場所。
東洋医学では、脳を「ずいかい」と表現します。
百会は、その髄海につながる出入り口。
頭のてっぺんにあるひとつの小さなツボが、
実は全身の気血と脳をつなぎ、
たくさんの経絡を束ねる
重要ポイントになっているんですね!

しかも百会、すごいのは名前だけじゃありません。
百会は百病を癒すとも言われるほど、幅広い不調に対応してくれるんです
たとえば
脳にまつわるトラブル――
脳の血がドッと集まってのぼせるような感覚や
意識が遠のくような症状にも
このツボが頼りになる場面は多いんです
頭痛やめまい、耳鳴り、
脳貧血やてんかん、神経の疲れ、そして不眠まで
耳が聞こえづらい、メニエール病でふらふらする――
そんなときも活躍
さらには
鼻づまり、匂いがわからない、
目が充血している、視界がぼやける、そんな目の悩みも
首や肩のこり、腰の痛みなど、背中や腰まわりのトラブルにも
お尻の悩み――痔や脱肛
そして近年とても増えている
自律神経の乱れにも使われます
実はこのツボ
五臓六腑、つまり体の中のあらゆる働きを整えてくれる、オールラウンダー
まさに百の病を癒すために
昔から多くの鍼灸師が重宝してきたツボなんです

そして驚くべきことに、西洋医学の研究でも、
脳の神経伝達物質や血流に変化があるという報告も!
東洋も西洋も認める、百会の力。
これはもう…活用しない手はありません!

投稿者: 井島鍼灸院

2025.08.19更新

今日は、師匠、黒野保三先生に教えて頂いた、とても大切な陰陽思想のお話をさせてください。
突然ですが――
この世界は陰と陽」という、二つの力でできている。
そう聞くと、ちょっと不思議な感じがしませんか?

でも実はこれ、東洋医学の考え方の大もと。
自然の流れも、私たちの身体も、すべてが陰と陽のバランスで動いているんです。

宇宙も、あなたのカラダも、同じルールで動いている!

たとえば――
太陽は陽、月は陰。
夏は陽、冬は陰、昼は陽、夜は陰。
そして、活動的なのが陽、休んでいるのが陰。
自然界にはいつもこの2つのエネルギーがセットで存在していて、
それが入れ替わったり、影響しあったりしながら世界が成り立っています。

この二つで一つの考え方は、なんとインドや中国の紀元前から伝わる古代哲学にまでさかのぼります。
インドのウパニシャッド、中国の『黄帝内経』――
人間の身体もまた、この陰と陽のバランスが崩れたときに不調が現れる、
と考えられてきたんですね。

鍼灸医学も、陰陽のバランスを整える医術

鍼灸では、この陰陽の考え方をすごく大切にしています。

たとえば――
臓は陰、腑は陽、経絡にも陰経と陽経があります。
もっと細かくいうと、背中は陽、お腹は陰。
左が陽、右が陰…と、身体のすみずみにまで陰陽の分け方があるんです。

そして、もし風邪をひいたり、ストレスがたまったりして体のバランスが崩れると――
「陽が強すぎる」「陰が足りない」といった状態になります。
これが東洋医学でいう病気なんですね。

✨ 陰と陽のハーモニーを取り戻すために

ではどうすればいいか?
鍼やお灸を使って、体の流れを整えていくんです。
電気や磁気にプラスとマイナスがあるように、
人の体にも陰と陽の流れがあります。

鍼灸は、その見えないバランスに働きかけて、
本来のあなたの力を引き出してくれるんです。

自然とともに生きるということ

東洋医学の根っこには、人も自然の一部という考えがあります。
空や山、風や星たちと同じように、
私たちの身体も宇宙のリズムの中で動いています。

だからこそ、自然に逆らわず、
自分の体の声に耳を傾けることが大切なんです。

陰と陽――
それは、この世界に流れる見えないエネルギーのリズム。
鍼灸は、そのバランスを読みとり、調和へと導く東洋の叡智です。

もし最近、なんとなく調子が出ない、疲れが取れない…と感じているなら、
それは陰陽のバランスがちょっと崩れているサインかもしれません。

あなたの中に眠る自然のリズムを、もう一度取り戻してみませんか?

ご興味がある方は、井島鍼灸院までぜひご相談ください。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.08.13更新

今日は、元気が集まる場所といわれる、特別なツボ。
黒野式全身調整基本穴のひとつ「気海穴」についてご紹介します。

最近、疲れやすい。
風邪をひきやすくなった。
体が冷えやすい。
そんなお悩みがある方に、ぜひ知っていただきたい内容です。

気海は、東洋医学で、元気の海と呼ばれるほど、
全身のエネルギーに深く関わる、重要なツボです。

体の真ん中を流れる、「任脈」という経絡に属していて、
生命力を整える、大切な役割があります。

では、気海は、どこにあるのでしょうか?

場所は、おへそから1寸5分ほど下のところ。
体の正中線、つまり、真ん中のライン上にあります。

このあたりをやさしく押してみると、少し凹んで感じたり、
じんわり温かくなるような感覚がある方もいらっしゃいます。

このツボ、じつは名前の中にとっても深い意味が込められているんです。

まず「気」──これは“氣”の略字で、もともとは空気や風、雨、昼や夜など、
自然のめぐりを表していました。
でも、私たちの体にとっての「気」とは、もっと特別な意味を持っています。

それは……
生命のエネルギー。

呼吸したり、動いたり、考えたり──
そんな生きていることすべてを支える活動力こそが、「気」なんです。

そして「海」。
海といえば、たくさんの川が集まってくる場所。
水がどこまでも広がっている、スケールの大きな場所ですよね。
この「海」には、“多くが集まる場所”という意味があります。

つまり「気海」とは──
体じゅうの気が集まる、エネルギーの海のような場所ということ。

実際にこのツボは、おへその少し下、いわゆる丹田と呼ばれる位置にあります。
ここは、東洋医学で体の元気の源とされる、とっても大事なエリア。

疲れが取れない、なんだか元気が出ない……そんなとき、
この「気海」にやさしくアプローチすることで、
体の内側から“ふわっ”と元気がわいてくることもあるんですよ。

では、気海を刺激すると、どんな効果があるのでしょうか?

一言で言えば……
元気が足りない人を、助けてくれるツボです。

たとえば、こんな症状に使われます。

疲れやすい。だるい。不安やイライラが強くなる。
お腹をこわしやすい。下痢になりやすい。
手足が冷える。
生理痛や、婦人科の不調。
頻尿や、膀胱炎などの泌尿器トラブル。
そして、免疫力が落ちていると感じるとき。

最近、なんとなく調子が悪い……
そんなときに、頼りになるツボなんです。

井島鍼灸院でも、必ず使うツボのひとつです。

それでは、最後にまとめです。
気海は、体の真ん中にある、「元気の海」。
疲れやすい、冷えやすい、不調が続く……
そんな方の体を、根本から支えてくれる、頼もしいツボです。
気になる方は、ぜひ、井島鍼灸院までご相談ください。
あなたの「元気」を、取り戻すお手伝いをいたします。

 

投稿者: 井島鍼灸院

2025.08.09更新

なんだか肘がズキッと痛む
そんな経験ありませんか
実はその肘の痛み
ただの使いすぎや年齢のせいだけではないかもしれません

肘痛の主な原因は大きく分けて四つあります
ひとつ目はオーバーユース、つまり使いすぎです
デスクワークやスポーツ
家事などの繰り返し動作によって
肘まわりの筋肉や腱に小さな傷が積み重なり
炎症や痛みが起きやすくなります
ふたつ目は加齢や変性です
年齢とともに腱や靱帯の柔軟性が低下し
日常のちょっとした動作でも痛みが出やすくなります
みっつ目はケガや外傷です
転んで肘をぶつけた
強くひねった
そんな衝撃が原因になることもあります
よっつ目は神経の圧迫です
とくに肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されると
小指や薬指にしびれや痛みが出ることがあります

肘の痛みには名前がついているものもあります
たとえばテニス肘
これは肘の外側に痛みが出るもので
手首をよく使う人に多い症状です
反対に、ゴルフ肘は肘の内側に痛みが出ます
これも繰り返しの使いすぎが原因になりやすいです
さらに、肘部管症候群という状態もあります
これは神経の通り道が圧迫されて
指のしびれや肘の痛みを引き起こします
肘の痛みを予防し管理するには
まず使いすぎを避けることが大切です
ストレッチや軽い運動で筋肉のバランスを整え
違和感があるときは無理せず休ませることが必要です

そして、最近注目されているのが
モヤモヤ血管という新しい視点です
モヤモヤ血管とは
慢性的な炎症や微細な損傷が続いた結果
筋肉や腱の周囲に細く未熟な
新しい血管が異常に増える現象の通称です
画像検査ではモヤモヤっとした形に見えるため
そう呼ばれています
本来は損傷を修復するために
血管が新しく作られますが
炎症が長く続くと
それらの血管が消えずに残り
異常な状態になることがあります
そして問題なのは
そのモヤモヤ血管のまわりには
神経も一緒に増えてしまうということです
この神経が増えることで
ちょっとした動きや刺激でも
強い痛みを感じやすくなり
痛みが慢性化しやすくなります
つまり、長引く肘の痛みの背景には
このような新しい血管と神経の増殖が
隠れている可能性があるのです

井島鍼灸院では
一人ひとりの体質や状態に合わせた施術で
つらい症状の根本改善を目指します
お悩みの方は ぜひ一度ご相談ください

 

投稿者: 井島鍼灸院

2025.08.04更新

今日ご紹介するツボは、肩こりに悩むあなたにとって、救世主になるかもしれないツボ──
黒野式全身調整基本穴のひとつ、「肩井」です!

■肩井はどんなツボ?
肩井は、東洋医学で「足の少陽胆経」という経絡に属する、とても大切なポイントです。
この胆経は、なんと頭の横から体の横を通って足の外側までつながっています。
つまり、全身に関係するルートなんですね!
だからこそ、肩井を刺激することで、肩こりだけでなく、全身のめぐりや疲れにも働きかけてくれるんです。

■どこにあるの?
場所はとてもわかりやすいですよ。
首の付け根(第7頚椎)と、肩のいちばん外側の骨(肩峰)を結んだラインのちょうど真ん中あたり、少し後ろ寄りのくぼみにあります。
リラックスした状態で触ってみると、「ちょっと痛いけど気持ちいい!」というポイントがあるはず。そこが肩井です!

■なぜ「肩井」っていうの?
肩の井戸?
肩井というツボの不思議な名前のヒミツ
まず、「肩」は文字通り、肩の部分。腕と首のちょうど間にあります。
そして「井」は、井戸を意味します。
井戸といえば、水が地中から湧き出す場所。
そのイメージの通り、肩井は体の奥深くに眠る“気”や“血”といったエネルギーが湧き出すツボなんです。
この肩井という場所、実は身体のつくりをよく見るとまるで囲まれた小さな空間のようになっています。
肩甲骨、鎖骨、そして首の骨(頸椎)に囲まれてできた、くぼみの中心。
ちょうどその囲いの中にある井戸のような場所、それが「肩井」なのです。
「肩の井戸」と書いて「肩井」。
まさに、体の中で大切なエネルギーが湧き出し、全身に巡っていく出発点のような存在。
このツボに鍼でやさしく刺激を加えることで、肩こりや首のこわばりが軽くなるだけでなく、

心もスッと楽になるような感覚を味わえるかもしれません。


■どんな効果があるの?
肩井というツボ。ただの「肩こりのツボ」と思ったら大間違い!
実は──
脳の血流を整えて、充血や貧血、頭痛に
神経のバランスを調えて、癲癇や神経衰弱、ノイローゼに
目や鼻、口の不調にも…眼の充血、蓄膿、歯の痛みにも応用されることがあるんです
それだけではありません。
寝違え、むち打ち、五十肩
肩から腕のしびれや神経痛
さらには動悸、咳、扁桃炎、心臓の不安感にも!
驚くほど多くの不調に対応できる可能性があるこのツボ。

東洋医学では「全身はつながっている」と考えます。
だからこそ、ひとつのツボが全身のめぐりを変えることがあるんですね。
そして、そんなツボを使った治療ができるのが、私たち鍼灸院の魅力なんです。
「肩のこりがひどいだけだと思っていたのに、全身が軽くなった!」
そんな声をいただくことも、実は珍しくありません。
もし、今あなたがどこかに不調を抱えているなら──
そのサイン、見逃さないでくださいね。
東洋医学には、きっとあなたの体を整えるヒントが眠っています。

 

投稿者: 井島鍼灸院

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