頬車(きょうしゃ)とは?場所・名前の由来・咬筋との関係をわかりやすく解説
奥歯を強く噛みしめたとき、頬の奥に硬く盛り上がる部分を感じることがあります。
そこにある代表的な筋肉が「咬筋」です。
今回は、この咬筋の近くにある経穴「頬車(きょうしゃ)」について、
場所や名前の由来、あごの動きとの関係をわかりやすくご紹介します。
頬車はどこにある?
頬車は、あごの角にあたる「下顎角」のやや前上方にあります。
目安としては、下顎角から前上方へ指一本分ほど進んだところです。
探すときは、まず奥歯をぐっと噛みしめてみてください。
すると、頬の後方に硬く盛り上がる筋肉が触れます。
これが咬筋です。
そのまま力を抜くと、盛り上がっていた部分に、
わずかなくぼみを感じる場所があります。
そのあたりが頬車のおおよその位置です。
噛みしめたときの筋肉の盛り上がりと、力を抜いたときのくぼみを目印にすると、
比較的位置を確認しやすくなります。
頬車は足の陽明胃経に属する経穴
頬車は、「足の陽明胃経」という経脈に属する経穴です。
胃経と聞くと、胃やお腹の働きを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、足の陽明胃経は顔面から体幹、さらに下肢まで広く走る経脈です。
そのため、顔や口、あごの周辺にも胃経に属する経穴がいくつもあります。
頬車も、その代表的な経穴の一つです。
「頬車」という名前の意味
「頬車」という名前は、「頬」と「車」という二つの漢字から成り立っています。
「頬」は、文字どおり「ほお」を意味します。
一方、「車」という字は、
古くはあごや歯を支える部分を表す「牙車」という言葉にも使われていました。
そのため、頬の下方、下顎角付近にあることから
「頬車」と呼ばれるようになったと考えられています。
経穴の名前には、このように体の位置や形、
働きなどが反映されているものが少なくありません。
頬車の近くにある「咬筋」とは
頬車のすぐ近くには、咬筋という筋肉があります。
咬筋は、下あごを持ち上げて口を閉じたり、
物を噛んだりするときに重要な働きをしています。
食事をするとき、私たちのあごは単純に上下するだけではありません。
食べ物を細かくすりつぶすために、前後や左右にも動いています。
顎関節では、
・回転するような動き
・前後へ滑るような動き
が組み合わさっています。
こうした複雑なあごの動きを支える筋肉の一つが咬筋です。
範囲としてはそれほど大きくありませんが、
毎日の食事や会話などで繰り返し使われています。
頬車はどのようなときに使われてきたのか
頬車は、古くから顔やあご、
歯の周辺に関係する症状に用いられてきた経穴です。
たとえば、
・歯の痛み
・あごのこわばり
・口が開きにくい
・頬の腫れ
・口もとの動かしにくさ
などに用いられることがあります。
また、顔面の動きに関わる症状に対して、
ほかの顔面部の経穴と組み合わせて使われることもあります。
ただし、あごや顔面の不調は原因や経過が人によって大きく異なります。
一つの経穴だけで症状が改善するとは限らず、
実際には症状の出方や筋肉の緊張、あごの動きなどを確認することが大切です。
咬筋が緊張しているとどうなる?
食いしばりや歯ぎしりの癖がある方では、
咬筋に強い緊張がみられることがあります。
また、仕事や勉強などに集中しているときに、無意識に上下の歯を接触させたり、
あごに力を入れていたりすることもあります。
本人には食いしばっている自覚がなくても、
知らないうちに咬筋が緊張していることがあります。
このような状態では、頬車の周辺を触ると、
・片側だけ硬く感じる
・左右で筋肉の張り方が違う
・押したときに違和感や圧痛がある
といった左右差を感じることもあります。
普段どちら側でよく噛んでいるのか、
無意識にあごへ力が入っていないかを振り返るきっかけにもなります。
あごは食事以外でも使われています
あごを動かすのは、食事のときだけではありません。
会話をしたり、声を出したりするときにもあごは動きます。
普段はほとんど意識していない場所ですが、
実際には一日の中で何度も働き続けています。
そのため、食いしばりや歯ぎしりだけでなく、
仕事や生活の中であごに力を入れる癖が続いていると、
咬筋周辺に負担がかかることがあります。
頬車への鍼治療
鍼治療では、頬車だけを見るのではなく、
咬筋の緊張やあごの開閉のしやすさ、左右差なども確認します。
必要に応じて、
・頬車周辺
・側頭部
・あごの周囲
・首や肩
なども確認しながら治療を行います。
あごの不調には、筋肉だけでなく顎関節や歯、
噛み合わせなどが関係している場合もあります。
そのため、症状によっては歯科や口腔外科などでの確認が必要になることもあります。
まとめ
頬車は、足の陽明胃経に属する、下顎角のやや前上方にある経穴です。
すぐ近くには咬筋があり、噛む、
口を閉じるといったあごの動きと深く関わっています。
食いしばりや歯ぎしり、日中の無意識な噛みしめなどによって、
咬筋周辺に負担がかかることもあります。
左右の頬を軽く触り比べてみると、
筋肉の硬さや感覚に違いがあることに気づくかもしれません。
頬車は、昔から「あご」や「噛む」という動作と
関係の深い経穴として使われてきました。
あごのこわばりや口の開けにくさなどでお悩みの場合は、
一つのツボだけを見るのではなく、あごの動きや筋肉の状態、
日常生活での癖などを含めて確認することが大切です。
岐阜市の井島鍼灸院では、体の状態を確認しながら、
症状に応じた鍼灸治療を行っています。











