井島鍼灸院ブログ

2026.10.07更新

梨状筋症候群とは?お尻の奥の痛み・しびれと鍼治療について

「お尻の奥がズーンと痛む」

「長く座っていると、お尻から脚にかけて痛みやしびれが出てくる」

このような症状の原因のひとつに、
「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」があります。

梨状筋症候群では、お尻の深いところにある梨状筋や、
その近くを通る坐骨神経が関係していると考えられています。

今回は、梨状筋症候群とはどのような状態なのか、
症状の特徴や原因、鍼治療ではどのように考えるのかを、わかりやすくご紹介します。

梨状筋とはどんな筋肉?

梨状筋は、お尻の深いところにある筋肉です。

骨盤の中央にある仙骨から始まり、
太ももの骨の上部にある大転子へ向かって走っています。

筋肉の形が西洋梨のように見えることから、「梨状筋」と呼ばれています。

梨状筋は、股関節を外側へひねる動きなどに関わっています。

歩く、立つ、方向を変えるといった日常動作にも関係している筋肉です。

また梨状筋は、体格などによって差がありますが、
皮膚表面から数センチの深さに位置する深部の筋肉です。

梨状筋の近くには坐骨神経が通っている

梨状筋を理解するうえで重要なのが、「坐骨神経」との位置関係です。

坐骨神経は、人体の中でも非常に太い末梢神経のひとつです。

骨盤からお尻を通り、太ももの後ろから下腿へ向かって走っています。

この坐骨神経が、梨状筋のすぐ近くを通っています。

多くの場合、坐骨神経は梨状筋の下を通りますが、神経の走行には個人差もあります。

そのため、梨状筋やその周囲に緊張や負担が生じると、
近くを通る坐骨神経が刺激され、お尻や脚に症状が現れることがあります。

梨状筋症候群ではどんな症状が出る?

梨状筋症候群では、代表的に次のような症状がみられます。

・お尻の奥の痛み
・太ももの後ろへ広がる痛み
・脚のしびれ
・長時間座っていると症状が強くなる
・車の運転で痛みが増す
・歩行や運動でお尻に違和感が出る

特に特徴的なのが、「座っているとつらくなる」という症状です。

長時間椅子に座っていたり、車を長く運転したりすると、
お尻の奥の痛みやしびれが強くなることがあります。

なぜ梨状筋に負担がかかるのか

梨状筋に負担がかかる原因は、一つではありません。

たとえば、

・長時間の座位
・長時間の運転
・ランニング
・自転車
・股関節を繰り返し使うスポーツ
・骨盤や股関節の動きの偏り
・殿部の筋肉の過緊張

などが関係することがあります。

こうした負担が続くことで梨状筋や周囲の組織に緊張が生じ、
その近くを通る坐骨神経が刺激されると、お尻の奥の痛みや脚への放散痛、
しびれなどにつながる可能性があります。

お尻から脚が痛い=梨状筋症候群とは限らない

ここで特に注意したいことがあります。

お尻から脚にかけて痛みやしびれが出ているからといって、
すべてが梨状筋症候群とは限りません。

似た症状は、

・腰椎椎間板ヘルニア
・腰部脊柱管狭窄症
・腰椎由来の神経症状
・股関節の疾患

などでも起こることがあります。

そのため、症状が出ている梨状筋だけを見るのではなく、
腰、骨盤、股関節、神経の状態なども確認する必要があります。

「痛い場所が梨状筋だから梨状筋症候群」と単純に判断するのではなく、
ほかの原因を考えながら評価することが重要です。

梨状筋症候群に対する鍼治療

では、梨状筋症候群に対して、鍼治療ではどのように考えるのでしょうか。

鍼治療では、梨状筋だけでなく、その周囲にある殿筋群や腰部、
股関節周囲などの状態を確認します。

そのうえで、過度に緊張している筋肉などに鍼刺激を行い、

・筋肉の緊張をやわらげる
・痛みを軽減する
・股関節や骨盤周囲を動かしやすくする

ことなどを目指します。

深部にある梨状筋へアプローチできるのが鍼の特徴

梨状筋は、お尻の表面ではなく深いところにあります。

そのため、表面から手で触れるだけでは状態を把握しにくい場合があります。

鍼治療では、解剖学的な位置関係を確認しながら、
必要に応じて深部の筋肉へ刺激を加えることができます。

これは、鍼治療の特徴のひとつです。

ただし、梨状筋の近くには坐骨神経など重要な組織があります。

そのため、施術では解剖学的な知識をもとに、
鍼の方向や深さなどに十分配慮する必要があります。

鍼刺激と痛みの仕組み

鍼刺激によって、局所の血流や筋活動に変化が生じる可能性が研究されています。

筋肉の緊張がやわらぐことで、
坐骨神経周囲への負担が軽減する可能性も考えられています。

また鍼による刺激は、局所だけに作用するものではありません。

刺激が脊髄や脳へ伝わることで、
人間の身体にもともと備わっている痛みを調節する仕組みに働きかける
可能性も研究されています。

つまり鍼治療では、

「緊張している筋肉へのアプローチ」

と、

「痛みを感じる仕組みへのアプローチ」

という二つの側面から治療を考えることができます。

梨状筋症候群に対する鍼治療の研究

梨状筋症候群を対象とした臨床研究では、
鍼治療後に痛みや日常生活機能の改善がみられたとする報告もあります。

ただし、研究の数や規模には限りがあり、
「鍼をすれば必ず梨状筋症候群が治る」と言える段階ではありません。

症状の程度や原因には個人差があるため、鍼治療を行う場合も、
状態を確認しながら治療方法を考えることが重要です。

大切なのは「なぜ梨状筋に負担がかかったのか」

梨状筋症候群を考えるうえで大切なのは、
痛みのある筋肉だけを見ることではありません。

なぜ梨状筋に負担がかかったのかを考える必要があります。

たとえば、

・腰や骨盤の動きに問題はないか
・股関節の使い方に偏りはないか
・長時間同じ姿勢を続けていないか
・ランニングや運動の負荷が大きくなっていないか
・左右の筋肉の使い方に差がないか

などを確認していきます。

症状が出ている場所だけを治療しても、
負担を生み出している原因が残っていれば、
再び症状が現れることがあります。

そのため、治療とともに日常生活や体の使い方を見直すことも大切です。

まとめ

梨状筋症候群は、お尻の深部にある梨状筋と、
その近くを通る坐骨神経が関係して起こると考えられている状態です。

長く座っているとお尻が痛む、車の運転で痛みが強くなる、
太ももの後ろに痛みやしびれが広がるといった症状がみられることがあります。

ただし、
同じような症状は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などでも起こります。

そのため、梨状筋だけを見るのではなく、
腰、骨盤、股関節、神経の状態まで確認することが重要です。

鍼治療では、緊張している梨状筋や殿筋群などに刺激を行い、
筋肉の緊張や痛みの軽減を目指します。

そしてさらに大切なのが、

「なぜ梨状筋に負担がかかったのか」

という背景まで考えることです。

痛みがある場所だけを追いかけるのではなく、身体全体のつながりを見る。

そこに、繰り返すお尻の痛みと向き合うための大切なヒントがあります。

投稿者: 井島鍼灸院

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