井島鍼灸院ブログ

2025.10.28更新

今日は、足の代表的なツボのひとつ三陰交をご紹介します。

三陰交は、足の内くるぶしの上にある有名なツボで、
婦人科の不調や冷え、むくみ、さらには消化器系のトラブルまで──幅広く効果が期待できる、
とても重要なツボです。

経絡と位置
三陰交は「足の太陰脾経」に属しますが、
その名の通り「脾経」「肝経」「腎経」という三つの陰の経絡が交わる場所にあります。
位置は、内くるぶしの上3寸、スネの骨の内側のきわ。
骨のふちをたどっていくと少し凹んだよ うに感じるところです。

ツボの名前の由来
まず「三」という字。
ただ3つという数を表すだけではありません。
古代中国の考え方では、三は「木」、つまり肝に関わる数字でもあり、
組み合わせる交わるといった意味も含まれているんです。
次に「陰)」。
これは太陽が当たらない側を表します。山の北側や川の南側のように、光が届きにくいところ。
さらに、夜、月、体の内側、五臓や深い部分を象徴する言葉でもあります。
そして「交)」。
これは交わる、会う、入り混じるという意味。
まさに何本もの流れがひとつの場所に集まる交差点をイメージすると分かりやすいですね。
では「三陰交」とはどういうことか?
それは──3つの陰の経絡が交わる場所という意味です。
具体的には、足の太陰脾経、少陰腎経、そして厥陰肝経。
この3つの経絡が集まって交わる場所だからこそ、「三陰交」と名付けられたんです。

つまり、このツボは体の中でも特別なエネルギーの交差点。
だからこそ婦人科の不調、冷えやむくみ、消化器や自律神経まで
──全身の幅広いトラブルに応用されてきたわけです。

ツボの名前には、ただの言葉ではなく、
古代の人たちが自然や宇宙をどう捉えていたのかという深い意味が込められています。
名前の由来を知ると、三陰交というツボがより神秘的で、ちょっとワクワクしてきませんか?

効果・適応症
三陰交は、とくに婦人科や生殖に関する不調に強いツボです。
たとえば、月経不順や生理中の出血トラブル、妊娠中の不安定な胎動や逆子(横産)など。

また、古典には「血暈して人事不省」という表現も見られます。
これは貧血や血の巡りが悪くて意識がもうろうとするような状態を指していて、
そういうときはツボを補って血流を盛んにする。
逆に、生理が止まってしまったり子宮に血が滞っている場合には、
瀉、(余分なものを取り除く刺激)で通じをよくする、と考えられていました。

婦人科だけではありません。
食欲不振、消化不良、胃酸過多、下痢やお腹の痛みなど、消化器系の不調にも効果が期待できます。
さらに、腎臓の病気や尿道炎、足のだるさや冷え、下肢の内側の痛み、湿気でお腹を下しやすい体質など──。
本当に幅広い症状に使われてきたんです。

つまり三陰交は、「女性の体調管理の要」であると同時に、「全身の巡りを調えるツボ」。
昔の人が大切にしてきた理由が、ここからもよくわかりますね。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.24更新

過敏性腸症候群の鍼治療症例|井島鍼灸院

過敏性腸症候群(IBS)の鍼治療症例

こんにちは、井島鍼灸院です。
今回は、過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)に対する鍼治療の一症例をご紹介します。

過敏性腸症候群とは?

炎症や腫瘍などの明確な異常がないのに、
お腹の痛み・張り・便秘・下痢などが続く病気です。

命に関わることはありませんが、長引くことで学校や仕事に集中できなくなり、
生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。

高校生の患者さんのケース

今回の患者さんは、進学校に通う高校2年生。
大学受験を意識し始めた頃から、プレッシャーを感じるようになり、
お腹の張りやガスが気になるようになりました。

授業中にお腹が鳴ることが怖くて、食事を減らしたり、
ヨーグルトを試したりと、できることを一人で工夫していたそうです。

しかし、高校3年生の6月ごろには、
お腹の痛みや動悸、汗が止まらなくなるほどの緊張状態に。
ついに学校に行けなくなり、病院で「過敏性腸症候群」と診断されました。

鍼灸治療を受けるまでの経緯

薬を変えても症状は改善せず、
「このままでは終わりたくない」と思った患者さんは、
インターネットで鍼灸を知り、井島鍼灸院に来院されました。

初診時の状態

症状のつらさを示すNRS(Numerical Rating Scale)は9。
お腹のガスや張り、緊張が強く、日常生活も困難な状態でした。

体全体が硬く、背中や首にも強い張りがあり、
まさに心身が限界に近い状態でした。

治療の方針

井島鍼灸院では、2つの方針で治療を行いました。

  • ① 黒野式全身調整基本穴による全身のバランス調整:
    自律神経や腸の働きを整え、体の回復力を高める。
  • ② 局所治療:
    合谷(ごうこく)・百会(ひゃくえ)・膻中(だんちゅう)などのツボを使い、
    お腹の緊張をやわらげる。

治療の経過

治療を続けるうちに、8回目で症状が少し軽くなり、
22回目には「半分くらい楽になった」と話されました。

40回を過ぎるころには、お腹の張りや緊張がやわらぎ、
表情にも落ち着きが戻ってきました。

そして最終43回目には──
腹痛は消え、お腹のガスや音も以前の半分以下に。
食欲も戻り、体力も回復しました。

鍼灸で期待できること

過敏性腸症候群は、腸だけでなく、脳と自律神経のバランスが深く関わる病気です。
鍼治療によって体全体が整うことで、腸の動きが安定し、
緊張や不安も軽くなっていきます。

こうして、悪循環が断ち切られていくのです。

まとめ

現在、薬だけで十分に改善しない方も多い中で、
鍼治療は副作用が少なく、安全に体を整える方法として注目されています。

今回のように、薬では改善しなかった症状が軽くなり、
再び前を向けるようになったケースも少なくありません。

過敏性腸症候群で悩んでいる方へ。
鍼治療が、心と体をつなぎ直すきっかけになるかもしれません。

 

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.21更新

ヘバーデン結節とは?~指の第一関節の変形~

こんにちは。今回は、「指の第一関節が腫れて痛い」「指先がゴツゴツして曲がってきた…」といったお悩みを持つ方に、ぜひ知っていただきたいお話です。

その症状は、ヘバーデン結節と呼ばれる中高年女性に多い手の関節の変形かもしれません。ヘバーデン結節は、指の第一関節に起こる変形性関節症で、特に40〜50代以降の女性、閉経の前後に発症しやすいのが特徴です。

主な症状

  • 指先の関節が腫れて痛む
  • 曲げ伸ばしのたびに違和感がある
  • 進行すると関節がゴツゴツと盛り上がる
  • 関節の上に半透明のコブ(ミューカスシスト)ができることも

なぜ起こるの?―原因の背景

ヘバーデン結節の発症には、女性ホルモン自律神経が大きく関わっています。

  • エストロゲン(女性ホルモン)は関節の軟骨や骨、滑膜を守る働きがありますが、閉経前後に減少すると関節が傷みやすく、修復もしづらくなる。
  • 自律神経の乱れ(ストレス・疲労・睡眠不足など)は血流やホルモン分泌に影響し、関節の炎症や痛みを長引かせる。

ミューカスシストの注意点

ヘバーデン結節で見られる透明な水ぶくれ状のコブ「ミューカスシスト」は、絶対に自分で潰してはいけません
細菌感染を起こし、指全体に炎症が広がる危険があります。

鍼治療にできること

1. 痛みの軽減

鍼でこわばった筋肉をゆるめることで血流が改善。関節や周囲に酸素や栄養が届き、痛みがやわらぎます。

2. 炎症をしずめる

腫れや熱っぽさ、動かしたときの違和感を落ち着かせます。

3. 関節の動きをスムーズに

痛みが減ると筋肉もリラックスし、指が動かしやすくなります。

4. 自律神経・ホルモンバランスのサポート

鍼は体のリズムを整え、ストレスを和らげ睡眠の質もアップ。ホルモンバランスも整い、関節の回復力を支える全身の土台が強くなります。

5. 進行の抑制と予防

変形した関節を元に戻すことはできませんが、痛みや炎症の進行を抑えることは可能です。早めにケアを始めることで、多くの方が「痛みが楽になった」「指のこわばりが減った」と実感しています。

まとめ

ヘバーデン結節は進行性の疾患ですが、早めのセルフケアと専門的な治療で、痛みや変形の進行を抑えることが可能です。手指の変化に気づいたら放置せず、ぜひ早めに専門家に相談してください。
あなたの手が、また軽やかに動く日常を取り戻せるよう、できることから始めていきましょう。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.18更新

今日は、耳の後ろにあるとても大切なツボ、翳風をご紹介します。
翳風は「手の少陽三焦経」という経絡に属していて、耳や顔のトラブルと深く関わるツボです。
三焦経は、手の薬指からスタートします。
そこから手の甲を通り、前腕、肘、上腕、肩を上がり、首や耳の後ろまで巡ります。
耳の後ろの翳風穴付近では、枝分かれしてさらに耳や顔に広がります。
一部の枝は耳の中や耳の前、頬、目尻まで流れていくので、耳や顔の症状と密接につながっているんです。

場所は耳たぶの後ろ、耳の後ろにある骨「乳様突起」の下のくぼみです。
簡単に言うと、耳の付け根の裏側で、耳たぶのすぐ後ろの小さなくぼみ。
下顎の骨と耳の骨の間にあるんです。
この辺りには、耳や顔の神経や血管がいっぱい通っていて、
浅いところには耳下腺や神経、深いところには顔面神経の大事な本幹が通っています。
だから、耳や顔の症状とめちゃくちゃ関係が深いんです。
じゃあ、翳風穴ってどうやって見つけるの!
コツは簡単。軽く口を開けてもらうと下顎の角がはっきりします。
耳たぶの裏に指をあてて、自然に指が落ちる小さなくぼみを探してみてください。
押したときに「響く!」って感じるところが翳風穴です。

名前の由来も面白いんです。
まず「えい」という字。
これはおおう、隠す、しまいこむという意味があります。
翳風の場所は、耳たぶの裏の小さなくぼみ。
まさに耳たぶに隠れるようにあるツボなんです。
さらに翳には、目の星・ くもりという意味もあります。
そして「ふう」。
これは、いわゆる吹く風や、外から体に入りこむ(ふうじゃ)や、風にまつわる病を指します。
有名な「風池」などと同じく、風のトラブルを治す力を持つツボという意味が込められているんです。

つまり翳風とは――
耳たぶの陰に隠れて、風も当らぬ凹みにあるツボ。外からの風邪や風の病から体を守るツボ。

さらに眼病に効果のある経穴の意味も込められているのかもしれません。

名前のひとつひとつに、東洋医学の知恵がぎゅっと詰まっていると思うと、ちょっとワクワクしませんか?

効果はとても幅広く、
実はこのツボ、耳や目のトラブルにとても縁が深いポイントなんです。
例えば――
耳の腫れや痛み、耳鳴り、聞こえにくさ。
さらに、角膜のにごりや結膜炎、眼の痛みといった眼の病気にも使われてきました。
それだけではありません。
顔の神経が麻痺してうまく動かない顔面神経麻痺や、三叉神経痛のような顔の激しい痛み。
さらには、顎関節のトラブル、中風(いわゆる脳卒中後の症状)で言葉が出にくい時や、
あごの筋肉がけいれんするような状態にも用いられてきたんです。

さらには頭痛やめまい、肩こり、自律神経の乱れにも働きかけます。

そしてうれしいことに、顔のむくみやくすみ改善、リフトアップなど美容効果まで期待できるんです。

耳の後ろの小さなツボが、耳・目・顔・そして言葉や筋肉まで広く関わっているなんて、驚きですよね。
ツボには、身体をつなぐ不思議な力が秘められています。
翳風は、ぜひ覚えておきたいツボです。

 

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.15更新

こんにちは!
今日は「2025年版・捻挫治療の最新情報」をわかりやすくお届けします
これを知っていると
もしあなたや身近な人が捻挫したとき
最短で回復に近づけますよ
まず「捻挫とは何か?」簡単に説明します
捻挫とは関節に強い力が加わったときに起こります
通常の動く範囲を超えて関節がひねられることで
靭帯や関節周辺の組織が傷つくケガのことです

例えば足首をひねったり
手をついたときに起こりやすいです
靭帯が伸びたり
部分的に切れたり
ひどい場合は完全に断裂することもあります

主な症状は、痛み、腫れ、あざ
関節の動かしづらさ、動揺感などです
安静だけじゃない!「ライス」から「ポライス」へ
昔は捻挫といえば「ライス」
安静・冷却・圧迫・挙上が定番でした
でも今は「ポライス」が主流

「ポライス」とは
保護
最適な荷重
冷却
圧迫
挙上

つまり、「守りながら、できる範囲で動かす」ことが大事!
痛みが強くない範囲で少しずつ動かすことで
靭帯や筋肉が早く回復するんです
ただし骨折や重度の損傷は別
まずは医師の診断を忘れずに
物理療法の進化
治療機器もどんどん進化しています

電気刺激療法
微弱な電気で血流を改善し
腫れや痛みをやわらげ
組織の修復をサポートします
細胞の修復力が高まり、リハビリ開始もスムーズに
超音波療法
細胞を活性化して、靭帯や骨の回復を後押し
炎症やむくみにも効果的です
リハビリと再発予防
回復のスピードを上げる秘密は「計画的なリハビリ」
受傷直後から可動域訓練、筋力アップ
バランストレーニングを組み合わせます
痛みが落ち着いたら「少しずつ動かす」が再発防止のポイントです

昔の「とにかく安静」から
今は「守りながら適度に動かす」へ
さらに電気・超音波などを組み合わせた
科学的根拠のある治療が標準になっています

「捻挫=長引く」ではなく
正しい治療で早く・安全に回復できる時代です
井島鍼灸院では
一人ひとりの体質や状態に合わせた施術で
つらい症状の根本改善を目指します
お悩みの方は ぜひ一度ご相談ください

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.09更新

こんにちは
井島鍼灸院です

今回は、突発性難聴に悩む若い男性の症例をご紹介します。
この患者さんは、発症から1年半経過しても聴力の改善がみられず、
警察官試験の受験資格を失っていました。

しかし、鍼治療をきっかけに聴力検査での数値が改善し、
最終的に警察官採用試験の受験資格を得られるまでに回復されたケースです。


◆ 発症の経緯

ある朝、患者さんが目を覚ますと、左耳の聞こえに異常を感じました。
「耳鳴り」「耳が詰まったような感覚」「特定の音が響いて苦痛」――

慌てて耳鼻科を受診したところ、診断は突発性難聴
ステロイド点滴やビタミン剤による治療を行いましたが、改善はみられませんでした。

高音域(4000Hz以上)が70dB以上でないと聞こえず、耳鳴りも続いたまま
複数の医療機関を受診しても「改善の見込みは低い」と説明を受け、治療を中止していたそうです。

それから約1年半――
「どうしても警察官になりたい」という思いを捨てきれず、
当院のウェブサイトを見つけて来院されました。


◆ 初診時の状態

  • 左耳の難聴、耳鳴り、耳閉感
  • 特定の音が響く
  • 手足の冷え、顔色の悪さ
  • 首・肩・耳まわりの強い張り

これらの所見から、内耳の血行不良が関与している可能性が高いと考え、
鍼治療による全身の血流改善とバランス調整を目的に施術を開始しました。


◆ 治療方針

  1. 生体制御療法(黒野式全身調整基本穴)
    背中・お腹・肩・首など、全身13カ所のツボを使って身体のバランスを整え、
    自律神経と血流の調和を図りました。
  2. 局所治療(耳周囲)
    耳周囲のツボに鍼を打ち、筋膜への刺激や低周波通電を併用しました。
    使用した主なツボ:角孫・耳門・聴宮・聴会・翳風・外関・中渚

使用鍼は30mm・0.18mmの細い鍼で、円皮鍼も併用しました。
治療頻度は週2回・約2か月間
また、生活面では「体を冷やさないこと」を意識してもらいました。


◆ 治療経過

  • 2回目:顔色が良くなり、眠気を感じる。耳の症状は変化なし
  • 5回目:手足の冷えが軽減し、体調全体が良くなる
  • 8回目:左耳の「音が響く感覚」がやや和らぐ
  • 12回目:左耳が聞きやすくなり、耳の詰まり感が軽減
  • 15回目:聴力検査で4000Hz・1000Hzともに40dBに改善
  • 17回目:左耳の聴力が正常範囲(25dB)に回復
  • 18回目:難聴・耳閉感・響きがほぼ消失。耳鳴りは寝る前のみ軽度に

その後、警察官試験の受験資格を得られ、見事合格!
現在は警察官として勤務されています。


◆ 考察

突発性難聴は、内耳や聴神経の障害による感音性難聴の一種で、
原因は明確でないことが多い疾患です。

代表的な要因としては以下が挙げられます。

  • 内耳の血流障害
  • ウイルス感染
  • アレルギー反応
  • 内耳膜の破裂
  • 内リンパ水腫(内耳の水分バランス異常)

本症例では明確な器質的異常は認められませんでしたが、
手足の冷え・顔色不良・首肩の緊張などから、
内耳の血流障害による酸素不足が主な要因であったと推測されます。

内耳の「血管条」は非常に細く、ここでの血流低下は聴覚細胞の機能低下を引き起こします。
全身の血流を整え、局所の循環を改善する鍼治療は、こうした微細循環の改善に寄与した可能性が考えられます。


◆ 研究的裏づけ

2024年に発表された大規模メタ分析では、
鍼治療を取り入れた群は標準治療のみの群に比べて、
治療効果が約1.18倍高いという結果が報告されています。

さらに、聴力の平均改善幅は約10.7dB、
難治性症例でも47.1%に改善がみられたとされています。

今回の症例でも、血流や自律神経の改善を通して
聴力・耳鳴り・耳閉感が軽減し、日常生活の質が大きく向上しました。


◆ まとめ

突発性難聴は、発症から時間が経過すると回復が難しいケースが多い疾患です。
しかし、全身の血流や神経バランスに働きかける鍼治療が、
一部の患者さんに有効に作用する可能性があります。

すべての症例が同様の結果になるわけではありませんが、
今回のようなケースは、今後の臨床的検討においても貴重な示唆を与えてくれます。

井島鍼灸院では、一人ひとりの体質・状態に合わせた施術を行い、
つらい症状の根本改善を目指しています。

同じような症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.09更新

こんにちは
井島鍼灸院です

今回は、突発性難聴に悩む若い男性の症例をご紹介します。
この患者さんは、発症から1年半経過しても聴力の改善がみられず、
警察官試験の受験資格を失っていました。

しかし、鍼治療をきっかけに聴力検査での数値が改善し、
最終的に警察官採用試験の受験資格を得られるまでに回復されたケースです。


◆ 発症の経緯

ある朝、患者さんが目を覚ますと、左耳の聞こえに異常を感じました。
「耳鳴り」「耳が詰まったような感覚」「特定の音が響いて苦痛」――

慌てて耳鼻科を受診したところ、診断は突発性難聴
ステロイド点滴やビタミン剤による治療を行いましたが、改善はみられませんでした。

高音域(4000Hz以上)が70dB以上でないと聞こえず、耳鳴りも続いたまま
複数の医療機関を受診しても「改善の見込みは低い」と説明を受け、治療を中止していたそうです。

それから約1年半――
「どうしても警察官になりたい」という思いを捨てきれず、
当院のウェブサイトを見つけて来院されました。


◆ 初診時の状態

  • 左耳の難聴、耳鳴り、耳閉感
  • 特定の音が響く
  • 手足の冷え、顔色の悪さ
  • 首・肩・耳まわりの強い張り

これらの所見から、内耳の血行不良が関与している可能性が高いと考え、
鍼治療による全身の血流改善とバランス調整を目的に施術を開始しました。


◆ 治療方針

  1. 生体制御療法(黒野式全身調整基本穴)
    背中・お腹・肩・首など、全身13カ所のツボを使って身体のバランスを整え、
    自律神経と血流の調和を図りました。
  2. 局所治療(耳周囲)
    耳周囲のツボに鍼を打ち、筋膜への刺激や低周波通電を併用しました。
    使用した主なツボ:角孫・耳門・聴宮・聴会・翳風・外関・中渚

使用鍼は30mm・0.18mmの細い鍼で、円皮鍼も併用しました。
治療頻度は週2回・約2か月間
また、生活面では「体を冷やさないこと」を意識してもらいました。


◆ 治療経過

  • 2回目:顔色が良くなり、眠気を感じる。耳の症状は変化なし
  • 5回目:手足の冷えが軽減し、体調全体が良くなる
  • 8回目:左耳の「音が響く感覚」がやや和らぐ
  • 12回目:左耳が聞きやすくなり、耳の詰まり感が軽減
  • 15回目:聴力検査で4000Hz・1000Hzともに40dBに改善
  • 17回目:左耳の聴力が正常範囲(25dB)に回復
  • 18回目:難聴・耳閉感・響きがほぼ消失。耳鳴りは寝る前のみ軽度に

その後、警察官試験の受験資格を得られ、見事合格!
現在は警察官として勤務されています。


◆ 考察

突発性難聴は、内耳や聴神経の障害による感音性難聴の一種で、
原因は明確でないことが多い疾患です。

代表的な要因としては以下が挙げられます。

  • 内耳の血流障害
  • ウイルス感染
  • アレルギー反応
  • 内耳膜の破裂
  • 内リンパ水腫(内耳の水分バランス異常)

本症例では明確な器質的異常は認められませんでしたが、
手足の冷え・顔色不良・首肩の緊張などから、
内耳の血流障害による酸素不足が主な要因であったと推測されます。

内耳の「血管条」は非常に細く、ここでの血流低下は聴覚細胞の機能低下を引き起こします。
全身の血流を整え、局所の循環を改善する鍼治療は、こうした微細循環の改善に寄与した可能性が考えられます。


◆ 研究的裏づけ

2024年に発表された大規模メタ分析では、
鍼治療を取り入れた群は標準治療のみの群に比べて、
治療効果が約1.18倍高いという結果が報告されています。

さらに、聴力の平均改善幅は約10.7dB、
難治性症例でも47.1%に改善がみられたとされています。

今回の症例でも、血流や自律神経の改善を通して
聴力・耳鳴り・耳閉感が軽減し、日常生活の質が大きく向上しました。


◆ まとめ

突発性難聴は、発症から時間が経過すると回復が難しいケースが多い疾患です。
しかし、全身の血流や神経バランスに働きかける鍼治療が、
一部の患者さんに有効に作用する可能性があります。

すべての症例が同様の結果になるわけではありませんが、
今回のようなケースは、今後の臨床的検討においても貴重な示唆を与えてくれます。

井島鍼灸院では、一人ひとりの体質・状態に合わせた施術を行い、
つらい症状の根本改善を目指しています。

同じような症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.06更新

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」

京都の秋。
紅葉が少しずつ色づき始める頃、
世界遺産・仁和寺(にんなじ)では、
心が静かにときめく特別な展覧会が開かれています。

2025年10月1日から11月30日まで、
仁和寺の霊宝館で開催されているのは、
「国宝 医心方(いしんぽう)の世界〜仁和寺の祈りと学び」。

医心方は、日本最古の医学書として知られています。
1000年以上前の平安時代、
人々の“いのちを守る知恵”が一冊にまとめられた貴重な書物です。

今回の展覧会では、その国宝・医心方をはじめ、
仁和寺に受け継がれてきた祈りの文化、
そして学びの心を感じられる宝物の数々が公開されています。

医療がまだ“祈り”と深く結びついていた時代。
人の体と心をどう支えようとしていたのか――
千年前の医師たちのまなざしが、今、静かに語りかけてきます。

会場の霊宝館は、
金堂や五重塔を望む静かな庭の奥にたたずむ、気品あふれる空間。
展示ケースの中には、
長い年月を経てもなお、凛とした存在感を放つ国宝の医心方が並びます。

手書きの文字、墨のかすれ、紙の風合い。
そこに刻まれたひとつひとつが、
“日本の医学の原点”を物語っています。

また、この秋は展覧会だけではありません。

限定の御朱印も見逃せません。
秋季限定の「黒猫と将棋の秋」や、
切り絵が美しい「十五夜 秋の仁和寺」など、
この季節だけの特別な授与品がそろいます。

さらに、「盤上のオリオン」開運企画やウォーキングイベント、
福王子神社の巡幸祭など、
心と体を元気にする催しもたくさん行われます。

開館時間は朝10時から午後4時30分まで(最終受付は午後4時)。
月曜日は休館ですが、
10月13日、11月3日、24日は特別に開館します。

拝観料は大人500円、
高校生以下は無料。
「次の世代に文化を伝えたい」という仁和寺の温かい想いが込められています。

この秋、
千年の祈りと知恵が息づく「医心方の世界」を、
ゆっくりと歩きながら感じてみませんか?

仁和寺の澄んだ空気の中で、
心も体も少しやさしく整っていく――
そんなひとときを、ぜひ体験してください。

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」
会期は2025年10月1日から11月30日まで。
場所は京都・仁和寺 霊宝館。

秋の京都で、千年の知恵に出会う旅へ。
あなたも、訪れてみませんか?

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.06更新

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」

京都の秋。
紅葉が少しずつ色づき始める頃、
世界遺産・仁和寺(にんなじ)では、
心が静かにときめく特別な展覧会が開かれています。

2025年10月1日から11月30日まで、
仁和寺の霊宝館で開催されているのは、
「国宝 医心方(いしんぽう)の世界〜仁和寺の祈りと学び」。

医心方は、日本最古の医学書として知られています。
1000年以上前の平安時代、
人々の“いのちを守る知恵”が一冊にまとめられた貴重な書物です。

今回の展覧会では、その国宝・医心方をはじめ、
仁和寺に受け継がれてきた祈りの文化、
そして学びの心を感じられる宝物の数々が公開されています。

医療がまだ“祈り”と深く結びついていた時代。
人の体と心をどう支えようとしていたのか――
千年前の医師たちのまなざしが、今、静かに語りかけてきます。

会場の霊宝館は、
金堂や五重塔を望む静かな庭の奥にたたずむ、気品あふれる空間。
展示ケースの中には、
長い年月を経てもなお、凛とした存在感を放つ国宝の医心方が並びます。

手書きの文字、墨のかすれ、紙の風合い。
そこに刻まれたひとつひとつが、
“日本の医学の原点”を物語っています。

また、この秋は展覧会だけではありません。

限定の御朱印も見逃せません。
秋季限定の「黒猫と将棋の秋」や、
切り絵が美しい「十五夜 秋の仁和寺」など、
この季節だけの特別な授与品がそろいます。

さらに、「盤上のオリオン」開運企画やウォーキングイベント、
福王子神社の巡幸祭など、
心と体を元気にする催しもたくさん行われます。

開館時間は朝10時から午後4時30分まで(最終受付は午後4時)。
月曜日は休館ですが、
10月13日、11月3日、24日は特別に開館します。

拝観料は大人500円、
高校生以下は無料。
「次の世代に文化を伝えたい」という仁和寺の温かい想いが込められています。

この秋、
千年の祈りと知恵が息づく「医心方の世界」を、
ゆっくりと歩きながら感じてみませんか?

仁和寺の澄んだ空気の中で、
心も体も少しやさしく整っていく――
そんなひとときを、ぜひ体験してください。

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」
会期は2025年10月1日から11月30日まで。
場所は京都・仁和寺 霊宝館。

秋の京都で、千年の知恵に出会う旅へ。
あなたも、訪れてみませんか?

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.04更新

顎関節症とは、耳の穴のすぐ前にある顎の関節や
そのまわりの筋肉に不調が出て
顎の動きがスムーズにいかなくなる病気です

代表的な症状は3つ!

顎や顔の筋肉が痛い

口が開きにくい

開け閉めのときに「カクカク」「ジャリジャリ」と音がする

普段の食事や会話に欠かせない関節だからこそ
症状が出ると日常に大きな影響が出るんです

実は、あごの関節や噛むときに使う筋肉は
頭の骨や首の骨、背骨、そして骨盤にまで
力のバランスを伝えているんです。
だから、顎関節に不調が起こると
体の中心である体幹や姿勢
さらには神経の働きにまで影響が広がってしまうんです
さらに、顎関節症で筋肉や神経のバ昔は「顎に負担がかかりすぎたから悪くなる」と考えられていました
治療も「できるだけ動かさない」「マウスピースで保護」
「場合によっては手術」など、少し強めの対処が主流でした

ランスが崩れると
全身の筋肉が緊張しやすくなったり、血流が悪くなったり
神経の伝達がスムーズにいかなくなることもあります
その結果、頭痛、腰痛、肩こり
めまい、耳鳴り、難聴
月経困難、不妊、成人夜尿症
頻尿などを引き起こすことが報告されています

顎関節症にはいくつかのタイプがあります

筋肉がこわばってしまうタイプ

靭帯に問題があるタイプ

関節のクッションがずれるタイプ

骨に変化が起こるタイプ

そして原因がはっきりしないタイプ

その背景には「歯ぎしり」「噛み合わせ」
「ストレス」「生活習慣」「ケガ」など
複数の要因が絡み合っています

昔は「顎に負担がかかりすぎたから悪くなる」と考えられていました
治療も「できるだけ動かさない」「マウスピースで保護」
「場合によっては手術」など、少し強めの対処が主流でした

ところが今は考え方が大きく変わってきています!

1、多面的な理解

顎関節症は体だけの問題ではなく
ストレスや生活習慣など
心理的・社会的な要因も関わることがわかってきました

2、治療は動かす方向へ

以前は「安静第一」でしたが、今は違います
ストレッチや運動療法、マッサージなどで
関節や筋肉を適度に動かすこと が回復のカギ!

3、姿勢や体幹も重要

顎の不調は、実は姿勢や体幹のバランスとも深く関わっています
だから顎だけでなく全身のリハビリや
姿勢改善を組み合わせるのが新しいスタンダード

4、自然に治る力を大切に

顎関節症は自然に良くなることも多いんです
だから焦って手術に頼るのではなく
体に任せてゆっくり見守ることも大切

顎関節症は、単なる顎の病気ではありません
体全体、心の状態、生活習慣までも関わる多面的な疾患です

治療の考え方も、
「動かさない」から「適度に動かして全身で治す」へ

運動・姿勢・心のケアを合わせた トータルアプローチ が
あなたの顎を守る新しい常識になっています

投稿者: 井島鍼灸院

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