井島鍼灸院ブログ

2025.10.18更新

今日は、耳の後ろにあるとても大切なツボ、翳風をご紹介します。
翳風は「手の少陽三焦経」という経絡に属していて、耳や顔のトラブルと深く関わるツボです。
三焦経は、手の薬指からスタートします。
そこから手の甲を通り、前腕、肘、上腕、肩を上がり、首や耳の後ろまで巡ります。
耳の後ろの翳風穴付近では、枝分かれしてさらに耳や顔に広がります。
一部の枝は耳の中や耳の前、頬、目尻まで流れていくので、耳や顔の症状と密接につながっているんです。

場所は耳たぶの後ろ、耳の後ろにある骨「乳様突起」の下のくぼみです。
簡単に言うと、耳の付け根の裏側で、耳たぶのすぐ後ろの小さなくぼみ。
下顎の骨と耳の骨の間にあるんです。
この辺りには、耳や顔の神経や血管がいっぱい通っていて、
浅いところには耳下腺や神経、深いところには顔面神経の大事な本幹が通っています。
だから、耳や顔の症状とめちゃくちゃ関係が深いんです。
じゃあ、翳風穴ってどうやって見つけるの!
コツは簡単。軽く口を開けてもらうと下顎の角がはっきりします。
耳たぶの裏に指をあてて、自然に指が落ちる小さなくぼみを探してみてください。
押したときに「響く!」って感じるところが翳風穴です。

名前の由来も面白いんです。
まず「えい」という字。
これはおおう、隠す、しまいこむという意味があります。
翳風の場所は、耳たぶの裏の小さなくぼみ。
まさに耳たぶに隠れるようにあるツボなんです。
さらに翳には、目の星・ くもりという意味もあります。
そして「ふう」。
これは、いわゆる吹く風や、外から体に入りこむ(ふうじゃ)や、風にまつわる病を指します。
有名な「風池」などと同じく、風のトラブルを治す力を持つツボという意味が込められているんです。

つまり翳風とは――
耳たぶの陰に隠れて、風も当らぬ凹みにあるツボ。外からの風邪や風の病から体を守るツボ。

さらに眼病に効果のある経穴の意味も込められているのかもしれません。

名前のひとつひとつに、東洋医学の知恵がぎゅっと詰まっていると思うと、ちょっとワクワクしませんか?

効果はとても幅広く、
実はこのツボ、耳や目のトラブルにとても縁が深いポイントなんです。
例えば――
耳の腫れや痛み、耳鳴り、聞こえにくさ。
さらに、角膜のにごりや結膜炎、眼の痛みといった眼の病気にも使われてきました。
それだけではありません。
顔の神経が麻痺してうまく動かない顔面神経麻痺や、三叉神経痛のような顔の激しい痛み。
さらには、顎関節のトラブル、中風(いわゆる脳卒中後の症状)で言葉が出にくい時や、
あごの筋肉がけいれんするような状態にも用いられてきたんです。

さらには頭痛やめまい、肩こり、自律神経の乱れにも働きかけます。

そしてうれしいことに、顔のむくみやくすみ改善、リフトアップなど美容効果まで期待できるんです。

耳の後ろの小さなツボが、耳・目・顔・そして言葉や筋肉まで広く関わっているなんて、驚きですよね。
ツボには、身体をつなぐ不思議な力が秘められています。
翳風は、ぜひ覚えておきたいツボです。

 

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.15更新

こんにちは!
今日は「2025年版・捻挫治療の最新情報」をわかりやすくお届けします
これを知っていると
もしあなたや身近な人が捻挫したとき
最短で回復に近づけますよ
まず「捻挫とは何か?」簡単に説明します
捻挫とは関節に強い力が加わったときに起こります
通常の動く範囲を超えて関節がひねられることで
靭帯や関節周辺の組織が傷つくケガのことです

例えば足首をひねったり
手をついたときに起こりやすいです
靭帯が伸びたり
部分的に切れたり
ひどい場合は完全に断裂することもあります

主な症状は、痛み、腫れ、あざ
関節の動かしづらさ、動揺感などです
安静だけじゃない!「ライス」から「ポライス」へ
昔は捻挫といえば「ライス」
安静・冷却・圧迫・挙上が定番でした
でも今は「ポライス」が主流

「ポライス」とは
保護
最適な荷重
冷却
圧迫
挙上

つまり、「守りながら、できる範囲で動かす」ことが大事!
痛みが強くない範囲で少しずつ動かすことで
靭帯や筋肉が早く回復するんです
ただし骨折や重度の損傷は別
まずは医師の診断を忘れずに
物理療法の進化
治療機器もどんどん進化しています

電気刺激療法
微弱な電気で血流を改善し
腫れや痛みをやわらげ
組織の修復をサポートします
細胞の修復力が高まり、リハビリ開始もスムーズに
超音波療法
細胞を活性化して、靭帯や骨の回復を後押し
炎症やむくみにも効果的です
リハビリと再発予防
回復のスピードを上げる秘密は「計画的なリハビリ」
受傷直後から可動域訓練、筋力アップ
バランストレーニングを組み合わせます
痛みが落ち着いたら「少しずつ動かす」が再発防止のポイントです

昔の「とにかく安静」から
今は「守りながら適度に動かす」へ
さらに電気・超音波などを組み合わせた
科学的根拠のある治療が標準になっています

「捻挫=長引く」ではなく
正しい治療で早く・安全に回復できる時代です
井島鍼灸院では
一人ひとりの体質や状態に合わせた施術で
つらい症状の根本改善を目指します
お悩みの方は ぜひ一度ご相談ください

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.09更新

こんにちは
井島鍼灸院です

今回は、突発性難聴に悩む若い男性の症例をご紹介します。
この患者さんは、発症から1年半経過しても聴力の改善がみられず、
警察官試験の受験資格を失っていました。

しかし、鍼治療をきっかけに聴力検査での数値が改善し、
最終的に警察官採用試験の受験資格を得られるまでに回復されたケースです。


◆ 発症の経緯

ある朝、患者さんが目を覚ますと、左耳の聞こえに異常を感じました。
「耳鳴り」「耳が詰まったような感覚」「特定の音が響いて苦痛」――

慌てて耳鼻科を受診したところ、診断は突発性難聴
ステロイド点滴やビタミン剤による治療を行いましたが、改善はみられませんでした。

高音域(4000Hz以上)が70dB以上でないと聞こえず、耳鳴りも続いたまま
複数の医療機関を受診しても「改善の見込みは低い」と説明を受け、治療を中止していたそうです。

それから約1年半――
「どうしても警察官になりたい」という思いを捨てきれず、
当院のウェブサイトを見つけて来院されました。


◆ 初診時の状態

  • 左耳の難聴、耳鳴り、耳閉感
  • 特定の音が響く
  • 手足の冷え、顔色の悪さ
  • 首・肩・耳まわりの強い張り

これらの所見から、内耳の血行不良が関与している可能性が高いと考え、
鍼治療による全身の血流改善とバランス調整を目的に施術を開始しました。


◆ 治療方針

  1. 生体制御療法(黒野式全身調整基本穴)
    背中・お腹・肩・首など、全身13カ所のツボを使って身体のバランスを整え、
    自律神経と血流の調和を図りました。
  2. 局所治療(耳周囲)
    耳周囲のツボに鍼を打ち、筋膜への刺激や低周波通電を併用しました。
    使用した主なツボ:角孫・耳門・聴宮・聴会・翳風・外関・中渚

使用鍼は30mm・0.18mmの細い鍼で、円皮鍼も併用しました。
治療頻度は週2回・約2か月間
また、生活面では「体を冷やさないこと」を意識してもらいました。


◆ 治療経過

  • 2回目:顔色が良くなり、眠気を感じる。耳の症状は変化なし
  • 5回目:手足の冷えが軽減し、体調全体が良くなる
  • 8回目:左耳の「音が響く感覚」がやや和らぐ
  • 12回目:左耳が聞きやすくなり、耳の詰まり感が軽減
  • 15回目:聴力検査で4000Hz・1000Hzともに40dBに改善
  • 17回目:左耳の聴力が正常範囲(25dB)に回復
  • 18回目:難聴・耳閉感・響きがほぼ消失。耳鳴りは寝る前のみ軽度に

その後、警察官試験の受験資格を得られ、見事合格!
現在は警察官として勤務されています。


◆ 考察

突発性難聴は、内耳や聴神経の障害による感音性難聴の一種で、
原因は明確でないことが多い疾患です。

代表的な要因としては以下が挙げられます。

  • 内耳の血流障害
  • ウイルス感染
  • アレルギー反応
  • 内耳膜の破裂
  • 内リンパ水腫(内耳の水分バランス異常)

本症例では明確な器質的異常は認められませんでしたが、
手足の冷え・顔色不良・首肩の緊張などから、
内耳の血流障害による酸素不足が主な要因であったと推測されます。

内耳の「血管条」は非常に細く、ここでの血流低下は聴覚細胞の機能低下を引き起こします。
全身の血流を整え、局所の循環を改善する鍼治療は、こうした微細循環の改善に寄与した可能性が考えられます。


◆ 研究的裏づけ

2024年に発表された大規模メタ分析では、
鍼治療を取り入れた群は標準治療のみの群に比べて、
治療効果が約1.18倍高いという結果が報告されています。

さらに、聴力の平均改善幅は約10.7dB、
難治性症例でも47.1%に改善がみられたとされています。

今回の症例でも、血流や自律神経の改善を通して
聴力・耳鳴り・耳閉感が軽減し、日常生活の質が大きく向上しました。


◆ まとめ

突発性難聴は、発症から時間が経過すると回復が難しいケースが多い疾患です。
しかし、全身の血流や神経バランスに働きかける鍼治療が、
一部の患者さんに有効に作用する可能性があります。

すべての症例が同様の結果になるわけではありませんが、
今回のようなケースは、今後の臨床的検討においても貴重な示唆を与えてくれます。

井島鍼灸院では、一人ひとりの体質・状態に合わせた施術を行い、
つらい症状の根本改善を目指しています。

同じような症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.06更新

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」

京都の秋。
紅葉が少しずつ色づき始める頃、
世界遺産・仁和寺(にんなじ)では、
心が静かにときめく特別な展覧会が開かれています。

2025年10月1日から11月30日まで、
仁和寺の霊宝館で開催されているのは、
「国宝 医心方(いしんぽう)の世界〜仁和寺の祈りと学び」。

医心方は、日本最古の医学書として知られています。
1000年以上前の平安時代、
人々の“いのちを守る知恵”が一冊にまとめられた貴重な書物です。

今回の展覧会では、その国宝・医心方をはじめ、
仁和寺に受け継がれてきた祈りの文化、
そして学びの心を感じられる宝物の数々が公開されています。

医療がまだ“祈り”と深く結びついていた時代。
人の体と心をどう支えようとしていたのか――
千年前の医師たちのまなざしが、今、静かに語りかけてきます。

会場の霊宝館は、
金堂や五重塔を望む静かな庭の奥にたたずむ、気品あふれる空間。
展示ケースの中には、
長い年月を経てもなお、凛とした存在感を放つ国宝の医心方が並びます。

手書きの文字、墨のかすれ、紙の風合い。
そこに刻まれたひとつひとつが、
“日本の医学の原点”を物語っています。

また、この秋は展覧会だけではありません。

限定の御朱印も見逃せません。
秋季限定の「黒猫と将棋の秋」や、
切り絵が美しい「十五夜 秋の仁和寺」など、
この季節だけの特別な授与品がそろいます。

さらに、「盤上のオリオン」開運企画やウォーキングイベント、
福王子神社の巡幸祭など、
心と体を元気にする催しもたくさん行われます。

開館時間は朝10時から午後4時30分まで(最終受付は午後4時)。
月曜日は休館ですが、
10月13日、11月3日、24日は特別に開館します。

拝観料は大人500円、
高校生以下は無料。
「次の世代に文化を伝えたい」という仁和寺の温かい想いが込められています。

この秋、
千年の祈りと知恵が息づく「医心方の世界」を、
ゆっくりと歩きながら感じてみませんか?

仁和寺の澄んだ空気の中で、
心も体も少しやさしく整っていく――
そんなひとときを、ぜひ体験してください。

「国宝 医心方の世界〜仁和寺の祈りと学び」
会期は2025年10月1日から11月30日まで。
場所は京都・仁和寺 霊宝館。

秋の京都で、千年の知恵に出会う旅へ。
あなたも、訪れてみませんか?

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.04更新

顎関節症とは、耳の穴のすぐ前にある顎の関節や
そのまわりの筋肉に不調が出て
顎の動きがスムーズにいかなくなる病気です

代表的な症状は3つ!

顎や顔の筋肉が痛い

口が開きにくい

開け閉めのときに「カクカク」「ジャリジャリ」と音がする

普段の食事や会話に欠かせない関節だからこそ
症状が出ると日常に大きな影響が出るんです

実は、あごの関節や噛むときに使う筋肉は
頭の骨や首の骨、背骨、そして骨盤にまで
力のバランスを伝えているんです。
だから、顎関節に不調が起こると
体の中心である体幹や姿勢
さらには神経の働きにまで影響が広がってしまうんです
さらに、顎関節症で筋肉や神経のバ昔は「顎に負担がかかりすぎたから悪くなる」と考えられていました
治療も「できるだけ動かさない」「マウスピースで保護」
「場合によっては手術」など、少し強めの対処が主流でした

ランスが崩れると
全身の筋肉が緊張しやすくなったり、血流が悪くなったり
神経の伝達がスムーズにいかなくなることもあります
その結果、頭痛、腰痛、肩こり
めまい、耳鳴り、難聴
月経困難、不妊、成人夜尿症
頻尿などを引き起こすことが報告されています

顎関節症にはいくつかのタイプがあります

筋肉がこわばってしまうタイプ

靭帯に問題があるタイプ

関節のクッションがずれるタイプ

骨に変化が起こるタイプ

そして原因がはっきりしないタイプ

その背景には「歯ぎしり」「噛み合わせ」
「ストレス」「生活習慣」「ケガ」など
複数の要因が絡み合っています

昔は「顎に負担がかかりすぎたから悪くなる」と考えられていました
治療も「できるだけ動かさない」「マウスピースで保護」
「場合によっては手術」など、少し強めの対処が主流でした

ところが今は考え方が大きく変わってきています!

1、多面的な理解

顎関節症は体だけの問題ではなく
ストレスや生活習慣など
心理的・社会的な要因も関わることがわかってきました

2、治療は動かす方向へ

以前は「安静第一」でしたが、今は違います
ストレッチや運動療法、マッサージなどで
関節や筋肉を適度に動かすこと が回復のカギ!

3、姿勢や体幹も重要

顎の不調は、実は姿勢や体幹のバランスとも深く関わっています
だから顎だけでなく全身のリハビリや
姿勢改善を組み合わせるのが新しいスタンダード

4、自然に治る力を大切に

顎関節症は自然に良くなることも多いんです
だから焦って手術に頼るのではなく
体に任せてゆっくり見守ることも大切

顎関節症は、単なる顎の病気ではありません
体全体、心の状態、生活習慣までも関わる多面的な疾患です

治療の考え方も、
「動かさない」から「適度に動かして全身で治す」へ

運動・姿勢・心のケアを合わせた トータルアプローチ が
あなたの顎を守る新しい常識になっています

投稿者: 井島鍼灸院

2025.10.01更新

今回は、手のひらの中にひっそりと隠れた呼吸と心のコントロールセンター
魚際というツボについてご紹介します

「えっ、魚…?」と思った方、正解です
実はこの魚際というツボ、名前の由来がとってもユニークなんです
「魚際」って、どこか詩的で、ちょっと美しい響きですよね
でも、なぜそんな名前がついているのか?
そのルーツをたどっていくと…東洋医学の豊かな感性が見えてきます

まず、魚――これはさかなのこと
実は、親指の付け根のふくらみ部分
あそこをじーっと見てみると……なんと、魚の腹にそっくりなんです
ふっくらとした丸み、柔らかそうな形――
このふくらみ部分は、古くから「魚ふく」と呼ばれていました

そして「際」という字には、きわ、ふち、境目といった意味があります
つまり、「魚際」とは…
魚腹のきわ、骨と筋肉が出会う境界線にあるツボ、という意味なんです

ツボの名前って、ただのラベルじゃありません
自然や身体のかたちを見つめる中で、人の感性が生んだ詩のようなもの
「魚際」もそのひとつ
ふだん何気なく使っている手のひらに、そんな奥深いストーリーが隠れていたなんて、ちょっとワクワクしませんか?

では、魚際は一体どこにあるのか?
それは、親指のつけ根の膨らみの真ん中あたり
手のひらと手の甲の皮膚の色がちょうど切り替わる、いわゆる「せきはくにくさい」のライン上にあります
親指を少し曲げて、そのふくらみに沿って押していくと
ちょっとへこんだり、ズーンと響く場所があるはず
そこが魚際です

このツボ、実は手の太陰肺経という呼吸器に関係の深い経絡の要所なんです
だから…
✅ 咳が出る
✅ 喉が痛い
✅ 喘息や風邪でつらい
✅ 声が出しづらい
こんなときに頼りになるツボなんです

でもそれだけじゃないんです
魚際は、肺経なのにお腹にも効く!
便秘、胃腸の不調、お腹の張りにも使われることがあります

さらにさらに…
✅ スマホを使いすぎて親指が痛い
✅ 手首や手のひらがしびれる
✅ 腱鞘炎、腕のだるさ、肩のこり
✅ 頭痛が続く
こうした現代人あるあるの不調にも効果が期待できるんです

そして注目したいのが、魚際のもう一つの顔
それは…心とエネルギーのバランスを整えるツボであるということ
✅ ストレスでイライラする
✅ なかなか寝つけない
✅ 自律神経が乱れている気がする
そんなときにも、魚際で調整するんですよ

五行論では、魚際は「火」に属するツボ
つまり、体の中で燃えすぎた熱やイライラを
スーッと鎮めてくれる消火係のような役割をしてくれるのです

ただし注意点もあります
魚際は「禁灸穴」といって、基本的にお灸はNG
刺激を与えるときは、やさしく、じんわりがポイントです

魚際は、手の親指のつけ根にある呼吸と感情の調整役
咳、喉の痛み、ストレス、不眠、腱鞘炎、スマホ疲れまで
あなたの癒しのスイッチが、そこにあるかもしれません
それではまた次のツボでお会いしましょう

投稿者: 井島鍼灸院

2025.09.26更新

 

夜中に突然ふくらはぎが「ギュッ!」と固まって、飛び起きるようなあの激痛
「足がつる(こむら返り)」
みなさんも、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

実は、足がつる原因はひとつではありません
よく知られているのは、筋肉の疲れ、血行不良
水分やミネラル不足、そして長時間の同じ姿勢
さらに、年齢とともに筋肉や神経が弱ることや、冷え
過度な運動、薬や病気の影響も関係しています
つまり、誰にでも起こりうる身近な現象なんですね

最近の研究で足がつる仕組みがよりはっきりしてきました
これまでは「水分やミネラルが足りないから」とよく言われていましたが
実際には、それだけでは説明できないことが多いんです
注目されているのは「神経と筋肉の制御の乱れ」
筋肉には二つのセンサーがあります
ひとつは、筋肉の長さを見張る「筋紡錘」
もうひとつは、筋肉にかかる張力を見張る「ゴルジ腱器官」

疲労や加齢によって、筋紡錘の「縮め!」という指令が強くなりすぎたり、
逆にゴルジ腱器官の「もうやめなさい」というブレーキが効かなくなると
筋肉が勝手にギュッと収縮し続けてしまう
これが足がつるメカニズムなんです

では、どうすれば防げるのでしょうか?

ストレッチ:毎日ふくらはぎや足首を伸ばすことで
筋肉の柔軟性が高まり、つる頻度も痛みも減らせます

水分補給:特に寝る前や運動後にしっかり水分をとることが重要です

冷え対策・入浴:足元を冷やさず
就寝前の入浴やマッサージで血流を良くするのもおすすめです

適度な運動:無理のない範囲で続けることで筋肉の衰えを防ぎます

足がつる原因は「水分不足」だけではありません
今では「神経と筋肉のセンサーのバランス」が大きなカギとわかってきました
実は鍼灸でも、この仕組みをうまく利用しています
筋肉そのものではなく、腱のあたりに鍼をすると
筋肉をゆるめるスイッチが入って「こり」や「張り」が和らぎやすくなるんです

鍼のときに感じる「ピクッ」とした動きが
この反応に関係していると考えられています

そして、ストレッチや栄養サポートで
リスクを減らせる時代になっているんです

夜中に足がつるのはもう仕方ない…
そんなふうに諦めなくても大丈夫
最新の知見を取り入れて
快適な毎日を目指していきましょう!

投稿者: 井島鍼灸院

2025.09.23更新

ツボの名前には、ただの記号じゃない
東洋の叡智と、カラダへの深いまなざしが込められています
今日は、経穴名がツボの位置を表す代表を紹介します。
その名も——完骨
完骨は、足の少陽胆経という経絡に属するツボ
この胆経は、目の横からスタートして、耳の後ろや首、肩、胴体、足の外側を通って
最後は足の薬指の外側へとつながっています

完骨という名前、どのようにツボの位置を表すと思いますか?
まず「完」という字には、欠けたところがない、完全なもの、守るもの、治るもの…そんな意味が込められています
まるく、やわらかく、包み込むようなイメージです
そして「骨」はもちろん“ほね”
でも、ただの骨ではありません
動物の支柱となる堅くて力強い存在
中心であり、要であり、ときに尖り、ときに鋭さや勢いも表します
つまり——完骨は、まあるく、完全な、力強い骨
体の軸、そして精神の支えのような意味が込められているのです
そして、昔の人たちはこの場所のことをどう表現したかというと…
ある書物には、こんなふうに書かれています
「耳の後ろに、まるでニワトリが足を持ち上げて丸めたような骨がある。それを完骨と呼ぶ」
——ニワトリの足?
そう、ツボの位置にある乳様突起という骨のふくらみが
鶏が足の指をくっと丸めた時の形に似ていることから、名付けられたと言われているんです
また、別の古書には「耳の後ろにある大きな骨。それが完骨だ」とも記されていて
このツボがいかに目立ち、重要な場所とされていたかがわかります
完骨とは、まさにまるくて力強い骨の下にある、大切なツボ
首と頭のつなぎ目に位置し、体の構造的な節目を守るポイント
だからこそ、体と心のバランスを保つ、東洋医学における支柱のような役割を果たしているのです
このツボの名前には
目に見えない深い意味と、先人たちの観察眼が詰まっています
ツボの名前を知れば、体の声がもっと聞こえてくるかもしれません
完骨——それは、まるくて、強くて、やさしい支えのような存在です

気になる効果は——
ズキズキと響く頭痛や片頭痛
急にグラリとくるめまいやメニエール病
寝違えやむち打ち、肩こりや腕のだるさといった首まわりの不調にも
さらに、顔のむくみや顔面神経のけいれん
三叉神経痛、耳の痛み、耳鳴り、歯の痛みまで…
まるで、「顔から首まわりのトラブル解決ボックス」!
そして、ちょっと重たい話になりますが——
てんかんや脳の充血、言葉が出づらくなる症状にも
このツボが活用されてきたという記録があるんです
そのうえ、目の奥が痛い、かすむといった眼の疾患にも!
まるで、頭部から首・顔まわり全体の司令塔のような存在ですね
東洋医学では、症状のひとつひとつを見るだけでなく
体のつながりを大切にします
だからこそ、このツボは——
「なんとなくつらい」を、「そういえばラクになったかも」に変える力を秘めているのかもしれません
あなたの毎日を、少しでも軽やかに
そんな想いとともに、このツボは今日も静かに働いています

投稿者: 井島鍼灸院

2025.09.17更新

みなさん「五十肩」という言葉を聞いたことがありますか?
正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれるもので
肩の痛みと、動かしにくさが大きな特徴です

代表的なのはこんな症状です

腕を上げたり後ろに回したりすると強い痛みが走る

肩の可動域が狭くなり、服を着る、髪を洗う
物を棚に上げるといった動作が難しくなる

夜寝ているときにもズキズキ痛み
目が覚めてしまう「夜間痛」

こうした症状のため、日常生活に大きな支障が出やすいんです


五十肩は大きく3つの段階をたどります

まず「炎症期」
肩がズキズキして、安静にしていても痛む時期

次に「拘縮期」
痛みは少し落ち着くものの
肩がガチガチに固まって動かなくなる

そして「回復期」
少しずつ動きが戻り、痛みも和らいでいきます

この流れは多くの方に共通しますが
回復までには数か月から1年以上かかることもあります

ここからが本題です
「五十肩は肩の中では何が起きているのか?」
最新の研究でどんどん明らかになっているんです!

関節包の線維化・収縮

まず注目すべきは、肩を包む袋「関節包」

炎症が続くことで、袋の壁がどんどん厚く
硬くなり、縮んでしまいます

まるでゴム風船がカチカチに固まって
膨らまなくなるような状態

この変化が、肩の動きをガチっと制限して
痛みを引き起こしているんです


モヤモヤ血管の登場

これは炎症を繰り返すうちに
勝手に増えてしまう異常な毛細血管なんです

五十肩の痛みが長く続くのは
モヤモヤ血管から痛みを感じさせる成分が出て
肩の神経を刺激するためです

画像検査で細かくいびつな血管が
タバコの煙のようにもやもやとした形で映ることが特徴です


腱板筋群の関与

そして肩を支える「腱板」とくに棘上筋という筋肉

この筋肉は年齢や炎症で弱りやすく
部分的に傷んでしまうこともあります

腱板にトラブルがあると
腕を上げるだけで痛みが走ったり、力が抜けたり

五十肩の影には、こうした筋肉のトラブルが隠れていることも少なくないんです


神経・免疫の視点

さらに最新研究では「痛みの正体」は
筋肉や関節だけでは説明できないことも分かってきました

モヤモヤ血管といっしょに神経が異常に増えたり
免疫細胞が暴走したり
体の中で痛みを強化してしまうことがあるんです

つまり五十肩は「関節だけの病気」ではなく
「体全体のシステムが関わる病気」といえるんですね

投稿者: 井島鍼灸院

2025.09.13更新

今日ご紹介するのは、心と身体をつなぐ特別なツボ。
膻中です。

膻中はどんなツボ?
膻中は、任脈という
体の正中線を通る重要な経絡の真ん中にあるツボです。
さらに――
感情と深くつながる「心包経」のポイント。
エネルギーの集まる、はちえけつのひとつ。
そして、気のあつまる場所とも言われています。
つまり――
気・感情に深く関わる超重要ポイントなんです。

場所はどこ?
左右の乳首を結んだ線と胸の真ん中、胸骨のラインの交わるところ。
ちょうど心臓の真正面くらいにあります。
ドキドキしたとき。
ギュッと胸が締めつけられたとき。
自然と手を当てたくなる場所。
それが「膻中」なんです。

名前の由来が深い!
東洋医学では、ツボの名前にも大切な意味が込められています。
「膻中」もそのひとつです。
まず、膻という字から見てみましょう。
この字は月と、亶という文字からできています。
月は、にくづき。つまり、身体や肉体をあらわす部首です。
そして亶は、いくつかの意味が組み合わさっています。
「亠」は屋根。
「回」は周囲の囲い。
「日」は太陽。
「一」は大地を意味します。
これらを組み合わせると、
「太陽は心臓を表し、それを周囲の囲いや屋根でおおって守る」
というようなイメージになります。
つまり、「膻」という字には、
心のまわりを守るものという意味が込められているのです。
この「心を包んで守るもの」こそが、東洋医学でいう心包です。
つづいて、ちゅうという字を見てみましょう。
「中」は、ご存じのとおり「まんなか」「中心」を意味します。
でもそれだけではありません。
「一致する」「当たる」「調和」などと考えられています。
このふたつの文字――
膻中は心包のある所に一致するツボを意味します。
まさに感情や呼吸、循環を整える、心と体のハブのようなツボなんです。

どんな効果があるの?
「膻中」には、
私たちの心と体、両方に働きかけるパワーがあります。
まずは心のケアに。
膻中は、精神的な緊張やストレスによる、
「神経の疲れ」や「情緒の乱れ」によく使われるツボです。
なんだか不安になる。
気分が落ち着かない。
緊張しすぎて呼吸が浅くなる…。
そんなとき、膻中は、心にそっと寄り添ってくれます。
次に、心臓や肺など、胸の不調にも。
動悸がする。
息がしづらい。
胸の奥が、ぎゅっとつかまれるような感覚がある…。
そんなときにも、膻中は頼りになるツボです。
さらに、食道や乳腺のトラブルにも。
食べ物がつかえる感じがするとき。
あるいは、乳腺炎や母乳が出にくいときにも、
このツボが使われてきました。
そのほかにも、
胸膜炎や肋間神経痛といった、胸まわりの痛み。
左右の肋骨の間が、つっぱったように苦しくなる――
「胸脇苦満」と呼ばれる症状にも、応用されます。
そしてなにより、膻中がすごいのは…
「気」の流れが乱れたときに、バランスを整える力があること!
感情が大きく揺れたとき。
緊張とリラックスの切り替えがうまくできないとき。
そんな「気の変動」に、ぴったり対応してくれるんです。

膻中は―
ストレス社会に生きる現代人にこそ必要な、癒しとリセットのツボです。
最後までご視聴頂き、ありがとうございました。

投稿者: 井島鍼灸院

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